みなさんは「自分の会社はブラック企業だ」と考えたことがありますか?
某D社の社員が亡くなったことも記憶に新しいですが、実際に私も過去に広告業界で働いており、長時間労働で過労死しかけた経験があります。
今現在ブラック企業に勤めている方や、転職を考えている人の参考になれば幸いです。
目次
そもそもなぜ、ブラック企業に入社してしまったのか?
資本金や社員数も多くて経営基盤がしっかりしていそうだと新卒ながらに考えていましたね。
新卒にしては給料も悪くないため内定を承諾、入社を決めました。(当時はみなし残業制度などを特に理解していませんでした)
何しろ業界内では有名な企業なので、母校の先生たちも喜んでいましたね。
当時の業務内容など
広告代理店と仕事をすることがほとんど
クライアントが依頼
広告代理店
広告制作会社
広告業界の制作会社では、ほとんどが広告代理店から仕事が降りてきます。
私の在籍していた企業は老舗なので、繋がりの深い企業からは直受けしていましたが80%以上が代理店を介した案件です。
修正依頼などに即座に対応するべく、代理店とのやり取りは深夜にも及びます。(普通に深夜3時とかにもメールや電話のやり取りがあったり・・・)
もちろん代理店の人もその時間まで勤務している訳ですが、労働時間で考えると、制作会社も広告代理店とほぼ同じかそれ以上になります。
下請けになればなるほど、労働時間が多くなるのはどこの業界でもそうかもしれません。
入社して3ヶ月もすれば、帰れなくなった
最初の1ヶ月は研修やらなんやらで定時で帰ることができていました。(友人は入社後すぐに帰れなくなったらしいので、私はマシかもしれません)
というか定時が無いといった雰囲気ですね。誰も帰らなさすぎて逆に帰るのが申し訳なくなってしまいます。
ちなみに昼休憩の時間も決まっていないので、休憩が無かったりします。休憩できる時にはするといった感じですね。
新入社員は清掃などのため出勤時間が早いのですが、朝行くと机や床で寝ている人がいたり、何日も同じ服装の人がいたりします。
最初の1ヶ月間の研修が終わると各プロジェクトに配置され、先輩に付いて回ります。
つまりは、先輩と同じスケジュールで生活していくということです。
常に帰らない先輩の下に配属されると・・・後はわかりますね?
残業時間や給与について
参考までに、入社一年目の時点でのスケジュールを載せておきます。
ざっとこんな感じです。
正直、行き帰りの時間があるくらいなら睡眠を取りたいので、あまりにも遅い時間に終わった場合(3時とか4時)は、着替えを購入して会社で寝ます。(ロッカーに3日分くらいの着替えは常にストックしていました)
風呂はボディペーパーを使ったり満喫などで済ませます。
土日祝は基本的に無い
広告の撮影などは、キャスト(芸能人など)のスケジュールに合わせなければ行けないため、土日でもおかまいなしで仕事が入ります。
1ヶ月連続で休み無しなんてのは普通です。
そのぶん代休が溜まっていくのですが、直属の上司だった8年目の先輩が「入社して初めて代休取るわ―」と言っていて驚きましたね。
このように、老舗なので代休などの制度はしっかりしていますが、何せ仕事量が多いので休むヒマが無いんですね。
代休には時効があるので、取らないと消えていきます。でも取れません。
みなし残業という最悪の制度
気になるのが残業代に関してだと思うのですが、在籍していた会社では「みなし残業」という制度が採用されていました。(勤務した時間と成果が直結しにくいクリエイティブ業界には多い)
例えば「みなし残業80時間」だとしたら、残業代として80時間分は確実に支給されます。(80時間以内の残業だとしても)
とはいえ、同業で知り合いの会社は残業代がほぼ出ていないというケースもありますし、残業代が出るだけありがたいことですね。
労働時間を時給換算すると・・・恐ろしいので辞めましょう。(普通に最低賃金以下です)
ブラック企業の激務で起こった身体の不調
しかし、結果としては激務を続けて半年ほどで身体に不調を起こしてしまいました。
なぜか帰宅途中に涙が出る
私は正直「心の病になる人は甘えているだけ」という考えの持ち主でした。
毎日深夜まで続く激務や、理不尽な上司の圧力、迫る締め切り、弱音を吐いてしまう自分の情けなさ。
いろいろな事が一気に押し寄せ、なぜか帰宅途中に泣きながら帰った記憶があります。(大人なのに)
後々考えれば、このときにはもう心を病んでいたのだと思います。
しかし、それも放置して働き続けてしまいました。
まずは身体にストップがかかった
そんな感じで働き続けたある日、突如40度近い高熱が出ました。
その時は1ヶ月以上休んでおらず、土日も出勤した後の月曜日だったことを覚えています。
会社用の携帯を見るのも怖くなってしまいました。
病院でさまざまな検査を行っていくうちに、自分の身体のボロボロ具合に気づきました。
体重は10kgも落ちていましたし、手の震えから握力がほとんど無く、寝ても寝ても疲れが取れない状態。
結局これといった原因は見つからず、精神的なものだと判断され、心療内科を紹介して頂きました。
「うつ」だったということを初めて知る
心療内科に行き、まずはカウンセリングを受けました。
経緯を話すと「辛かったですね」「ゆっくり治していきましょう」と言われ、再び涙が止まらなくなりました。
診療を受けていく中で自分が「うつ」ということに初めて気が付きました。
「あぁ〜これがうつなんだなぁ」といった感じで、当事者意識はありませんでした。←これが「うつ」の怖いところですよね。
休職するために診断書を書いてもらい、しばらく休職。
ここで休職を決断したのは、重要なポイントだったと思っています。
休職からそのまま退職へ
休職期間中は、自分について見つめ直す良い時間が取れました。
というのも、ベッドから起き上がる気力も無いので、思考を巡らせることくらいしかやることがありません。
ここで自分にとって大切なことや、仕事との付き合い方について考えられたことで、退職を決意することができました。
そして休職中に、退職するということを上司に伝えました。
「高い倍率を勝ち抜いて入社したのにもったいないよ」と上司には言われましたが、健康の方が大事ですし、自分の代わりはいくらでもいるという結論に落ち着いていました。
ブラック企業を辞められない3つの理由
- 激務で思考が停止している
- 無職になるのが怖い(周囲からのプレッシャー)
- 金銭的な理由
1.激務で思考が停止している
周囲から見ると明らかにおかしいので「辞めればいいじゃん」という言葉が飛んできます。
確かにその通りですが、実際にブラック企業に勤めていると激務で思考停止しているんですね。
人間は現状を変えるのに大きなエネルギーを必要とします。そのため、転職や退職を考えるのを放棄し、ブラック企業で貴重な時間を搾取され続けてしまう人も少なくありません。
2.無職になるのが怖い
「早期退職してしまったら、次の就職先が無いのではないか」「仕事に穴を空けてしまったら迷惑がかかる」「親に申し訳ない」といった恐怖心からブラック企業に務め続けている人も多いです。
現在は『ハタラクティブ』のような第二新卒や既卒といった早期退職者向けのサービスが多いので、20代であればすぐに辞めてしまったとしても次の就職先に困るということはほとんどないでしょう。
3.金銭的理由で辞められない
医療費で10万円近くかかりましたし、そもそも健康な身体がなければ働くこともできません。
- 家賃がかからない実家に戻る
- 退職のために貯金をする
- 友人に頼んで居候させてもらう
- 失業保険などの制度を利用する
なぜ、ブラック企業を退職しようと思えたか?
- 「この状態はおかしい」と会社への疑問を持ち続けた
- 病気になったことで、自分について考えることが出来た
- 「とりあえず3年」「やりがいがある」などの精神論のバカバカしさに気づいた
私にとってブラック企業を辞められない一番の理由は「辞めると経済的や精神的に不安」になってしまうという点でした。
しかし「自分にとって最も大切にしたいことはなにか」を考えてみると、思考がクリアになります。
私の場合は、激務で友人・家族との時間がほとんど取れていませんでしたし、個人的に将来のキャリアを考えて勉強したいことも山程あったのですがそれも手付かずでした。
その全てを犠牲にして、何年もこの企業で働くことに価値が見い出せませんでした。
「仕事上で自分の代わりはいくらでもいる」そう割り切るのは大事ですね。
ブラック企業を退職して後悔してない?
私は現在経営者として独立していますが、ブラック企業での経験から働き方について真剣に考えるようになり、現在では様々な人のキャリア相談を受けています。
このキャリアの積み上げも、ブラック企業に勤めていたままだったら実現できなかったので、かなり早い段階で辞めることができて良かったと感じています。
今現在、ブラック企業で働いている人はどうすればいいか?
今している仕事を続けるメリットと続けた場合のデメリットを照らし合わせましょう。
自分が大切にする価値観(健康第一や趣味の時間が大切など)を明確にしたうえで、現状のまま仕事を続けるか判断しましょう。どうするか”ハッキリと決める”ことが大切です。
退職・休職・転職などプラン通りに行動を起こしましょう。
最近では退職トラブルを未然に防ぐ「退職代行Jobs」などの退職代行サービスなどもあるので上手く活用しましょう。
メンタルヘルス不調で休職や離職をしている方の復職・就職をサポートしてくれるサービスなどもあります。
メンタルヘルス不調で休職・離職している方の復職・就職をサポート|リワークセンター
正直に言って、自分の身体以上に大切なものはありません。(健康でさえいれば辞めてもなんとかなるので)
可能であれば誰かに相談するのが良いでしょう。
私のように心療内科のカウンセラーに相談してみるのも手段の1つです。
世の中に仕事はいくらでもありますが、家族・友人・恋人にとって「あなたという存在は1人しかいません」