失敗しない注文住宅の土地探し方法は?土地探しにかかる期間や注意点も確認

注文住宅を建てるには、まず土地が必要になります。

相続などですでに土地を所有している方は問題ありませんが、これから土地探しをはじめる方は「どうやって探せばいいの?」と迷われている方も多いのではないでしょうか。

また、いきなり土地の情報を見せられたところで「どんな土地を購入すべきか」「土地情報のなにをチェックすべきか」わからなければ、理想の家を建てるには不向きな土地を購入してしまうかもしれません。

そこで今回は、注文住宅を建てる際に失敗しない土地探しの方法について解説します。あわせて土地探しにかかる期間や、入居までの流れ、土地探しの注意点なども記載していくので、これから注文住宅の土地探しをする予定のある方はお役立てください。

注文住宅の土地を探す手段

注文住宅の土地探しは主に下記4通りの方法があります。上から順番におすすめの探し方となっています。

  1. ハウスメーカーに依頼する
  2. 不動産会社に依頼する
  3. ネットで検索する
  4. 希望エリア周辺を歩いて探す

方法①:ハウスメーカーに依頼する

一番おすすめの土地探しの方法は、ハウスメーカーに依頼して土地探しを行う方法になります。注文住宅の土地探しでは、「土地探し」「家の建築」の両方を平行して行うことが重要なため、窓口を1つにすることで全体のプランが組みやすくなります。

予算や全体のスケジュールなどトータルでサポートしてもらうことができるため、知識がない方・不安のある方・自分で調べたり計画を立てるのが面倒な方はハウスメーカーに頼るのが安心ですね。また、家の建築を軸に土地探しができるため、「思ったよりも狭い家しか建てられなかった」といったトラブルも起こりにくくなります。

方法②:不動産会社に依頼する

不動産会社に依頼して土地探しを行う方も多いかと思います。不動産会社にはたくさんの土地情報が集まっており、周辺環境やどんな施設がそろっているかなどの情報を教えてくれるため、住んでからのイメージもしやすいでしょう。また、公開されたばかりの土地情報も入手できるため、条件が良くまだ希望者がいない土地にも巡り合える可能性があります。

ただし、不動産会社と施工業者が別々であるため、連携は自分で行う必要があります。「良い土地を見つけて手付金を支払ったものの、なかなか施工業者が決まらず違約金が発生してしまった」といったことも起こりえるので注意しましょう。

方法③:ネットで検索する

ネットで検索して探す方法では、SUUMOやathomeなどの不動産のポータルサイトや、不動産会社、ハウスメーカーなどのホームページを使って自立で探すことができます。エリアや予算、広さなどの条件で検索することができるため、希望に合った土地情報を簡単に、かつたくさん調べることができます。

ただし、「情報が多すぎて絞りきれない」「実際に現地へ行ったらイメージと違った」「想定外の問題があった(近隣にゴミ屋敷があるなど)」といった問題も起こる可能性があります。

方法④:希望エリアを歩いて探す

希望エリアを歩いて探す方法ですが、偶然良い土地に巡り合える可能性はあるものの、時間がかかる上に入手できる情報が少ないため、あまり現実的ではないでしょう。とはいえ、理想の土地が見つかる可能性もゼロではありません。土地探しに行き詰った時は、散歩がてらに希望エリア周辺を歩いてみるのも良いでしょう。

また、希望エリア辺りを歩いて回るとどんな住宅がある土地なのかも確認できます。街並みが気に入るかどうか見て回るのも良いですし、まだ具体的な注文住宅のイメージが掴めていない場合は、他の方の住宅から想像を膨らませるのもおすすめです。

土地探しにかかる期間

注文住宅の土地探しにかかる期間は、6ヶ月から1年程度を見込んでおくと良いでしょう。ただし、場合によっては早く見つかることもありますし、希望条件に合う土地を見つけるまでに時間がかかることもあります。地域の需要や供給状況、予算や条件の厳しさなどによっても異なるため、個別の状況に合わせて計画を立てることが重要です。

土地探しの段階ごとにどれくらいの期間を要するのか、条件などによって変動するので目安程度ではありますがご紹介していきます。

土地探しの過程 所要期間
情報収容と予備調査 約1~3ヶ月
実地調査と物件見学 約3~6ヶ月
土地の価格交渉と契約 約1~2ヶ月
情報収集と予備調査

土地市場や希望条件についての情報収集を行い、予備調査を進めましょう。これにはインターネットでの検索や不動産情報サイトの利用、不動産業者や地元の専門家への相談などが含まれます。この段階では、1~3ヶ月程度を見積もってください。

実地調査と物件見学

選択した候補地を実際に訪れ、現地調査を行います。また、気になる物件の見学を予定し、現地を確認しましょう。これには通勤やアクセスの便、周辺環境、法的制約などを確認することが含まれます。この段階では3~6ヶ月程度を見積もってください。

土地の価格交渉と契約

希望する土地が見つかった場合、価格交渉を行います。交渉の結果、双方が合意したら土地の購入契約を結びます。価格交渉や契約の手続きには1~2ヶ月程度を見積もってください。

失敗しない土地探しのポイント

土地探しはハウスメーカーに依頼するのが一番安心ですが、すべて丸投げするのではなくある程度自分でも知識を身に着け準備しておくことが大切です。土地探しで失敗しないために準備しておくべきポイントは下記の通りです。

ポイント①:土地購入の予算をしっかり決めておく

「土地探しに予算を割きすぎて建築予算を圧迫してしまった」ということがないよう、総予算や建設予算だけでなく、土地購入の予算もしっかり決めておきましょう。

注文住宅にかかるお金はざっくりと「総予算=土地購入費+建設費+諸経費」になるため、まずは全体の予算から決めて、理想の家を建てるにはどれくらいかかるのかハウスメーカーなどで見積もりを出してもらう必要があります。

諸経費は住宅ローンやもろもろの申請費用、家の工事以外で外構工事やオプション料金など複雑なものが多いため、正確な金額を出すのは難しいですが目安料金は相談してみると良いでしょう。

ポイント②:希望条件を決めておく

あらかじめ土地の希望条件を決めておくことでスムーズに探しやすいほか、あとから「このポイントもチェックしておけばよかった」と後悔することもないでしょう。

エリア、価格、周辺環境・施設、交通アクセス、日当たり・風通しなどから絞るのが一般的です。これに加えてインフラ(道路や上下水道、電気、ガス、通信などの整備状況)、近隣の住宅・住民の様子なども合わせてチェックしておくと安心です。

ポイント③:土地のバリエーションと性質や条件を知っておく

土地には主に下記のようなバリエーションがあり、性質や条件が異なります。極端な例で言うと、平屋を建てたいのに狭小地を購入してしまうととても狭い家しか建てられなくなってしまうため、建てたい家に合った土地の種類を知っておくことが大切です。

土地の種類 特徴
狭小地 都心部で人気。
広さを確保するため3階建てや地下を建設することもある。
建設コストがかかりやすい。
都市部の土地 狭小地多め。
隣家と近いためプライバシーや採光など工夫した設計が必要。
変形地 安く購入できる。
土地の形状に合わせて設計する必要があるため、家の形状が制限されたり規格住宅は難しい可能性がある。
旗竿地 安く購入できる。
無駄なスペースができたり外構工事が高くなる可能性がある。
定期借地権付きの土地 立地の良い土地を安価で購入可能。
固定資産税がかからないなどのメリットはあるが、決められた期間で返却しなければならない。
建築条件付きの土地 売主指定の建築業者で家を建てる条件付きの土地。
指定業者をしっかり確認して希望の家を建てられるか確認する必要がある。

ポイント④:その他チェックすべき点を確認する

そのほかチェックすべき項目はいくつかあります。地質や販売図面、建ぺい率と容積率、周囲との高低差などです。それぞれどういった点を確認するべきかを、以下にまとめました。参考までに目を通しておきましょう。

事項 確認内容
地質 注文住宅を依頼する際地質調査を実施するため地盤の強さを確認する。
販売図面 セールスポイントを鵜呑みにせず、概要をきちんと確認する。
建ぺい率と容積率 敷地面積に対してどれくらいの広さを家の建てられるかに関わるため、販売図面を確認しておく。
周囲との高低差 道路や隣家との高低差が1メートル以上になると擁壁工事が必要になるため注意が必要。

土地探しから入居までの流れ

土地探しの開始から新居に入居するまでのおおまかな流れをご紹介します。流れを把握しているだけでも段取りの良さは大きく違ってくるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

土地探しの開始から新居に入居するまでの流れ

STEP1 予算の確定と希望条件の明確化
STEP2 土地の検索
STEP3 土地の内覧と調査
STEP4 土地の購入交渉と契約
STEP5 建築設計とプランニング
STEP6 建築契約と工事
STEP7 建築工事の進行と確認
STEP8 引き渡しと入居
STEP1:予算の確定と希望条件の明確化

予算を確定し、自身や家族の希望条件を具体的に明確にします。家族の財務状況を確認し、土地購入に充てることができる予算を把握しましょう。収入や支出、貯蓄、ローンの利用などを考慮して、購入できる土地の予算範囲を決定します。決めた予算で叶いそうな土地の広さ、形状、立地条件、周辺環境なども合わせて考慮しましょう。

STEP2:土地の探索

不動産ポータルサイトやハウスメーカー、不動産仲介業者を活用して希望条件に合致する土地を探します。地域の特徴や価格相場を調査し、候補の土地を絞り込みます。SNSやインターネットを活用して検索することもできるでしょう。見つかる望みは薄いですが、下見がてらに実際に住みたいエリアに足を運んでみるのもおすすめです。

STEP3:土地の内覧と調査

候補となる土地を実際に内覧し、現地の状況を確認します。土地の立地条件や周辺環境、法的制約などを確認するため、必要に応じて専門家の意見を聞くと良いでしょう。また、土地の内覧は一か所だけでなく複数箇所見に行くようにしましょう。実際に見に行くことで、複数の土地を比較することができます。

STEP4:土地の購入交渉と契約

複数の候補の中から選んだ土地について価格交渉を行い、条件が合意できたら土地の購入契約を行います。この時絶対に納得していないまま契約をしてしまわないように注意してください。契約を結んでからは、「やっぱりやめよう」なんてことはできません。契約書の内容や法的な手続きについて、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら進めましょう。

STEP5:建築設計とプランニング

土地を取得したら、ハウスメーカーや建築士と共に建築設計を進めます。予算や希望に基づき、間取りやデザイン、仕様などを具体化していきましょう。間取りやデザインに具体的なイメージを持ち切れていない場合、ハウスメーカーの施工事例を見てみたり、近所を散歩してみて「このデザイン良いな」と思う家を探してみると良いでしょう。

STEP6:建築契約と工事

設計が決まったら、ハウスメーカーや工務店と建築契約を行います。工事のスケジュールや細かい仕様などを確認し、工事が開始されます。契約内容はよく確認し、気になる点や不明点がある場合は契約を結ぶ前に質問し、不安をしっかりと解消してから契約するようにしましょう。

STEP7:建築工事の進行と確認

建築工事が進行する中で、定期的に現場を確認し工事の進捗状況を確認します。必要に応じて修正や変更を行いながら、建物が完成するまで進めます。工事が始まったら後は業者に任せっきりでも家は建つには建ちます。ですが、どのような人たちがどんな風に家をつくっているのか見ておくと、住んでからの安心感に繋がるのではないでしょうか。

STEP8:引渡しと入居

建物が完成したら、ハウスメーカーや工務店との引渡し手続きを行います。引渡しが完了したら、いつでも入居可能です。お気に入りの家具や照明を飾ったりガーデニングを行ったりして、夢のマイホームを実現させていきましょう!

ハウスメーカーに土地探しを依頼する際のメリット

ここでは、ハウスメーカーに土地探しを依頼する際のメリットをお伝えしていきます。紹介するメリットは4つあるので、土地探しをハウスメーカーに依頼するかどうか悩んでいる方は目を通してみましょう。

メリット①:ワンストップでのサービス

ハウスメーカーに土地探しを依頼すると、住宅建築から土地の購入までを一括してサポートしてもらえます。土地の探索、価格交渉、法的手続きなど、複数の手続きを一つの窓口で進めることができます。

土地探しから設計・建築、引き渡し後のアフターサービスまでワンストップで依頼できるので、あちこちと連絡して手続きをしなくて良いぶん、比較的スムーズにサービスを受けられるでしょう。

メリット②:専門知識と経験

ハウスメーカーは土地に関する専門知識と豊富な経験を持っています。地域の土地市場や土地の評価基準に精通しており、ニーズに合った土地を選ぶためのアドバイスや情報提供をしてくれます。建てたい家に合わせて土地を選べるところもメリットのひとつです。

ハウスメーカーに土地探しを依頼すると、複数の物件を比較検討することができるでしょう。自分で個別に不動産業者とやり取りするよりも効率的で、幅広い選択肢の中から最適な土地を見つけることが可能です。

メリット③:希望条件に合った土地の提案

ハウスメーカーは、顧客の要望や予算に基づいて、希望条件に合った土地の提案を行ってくれます。地域や物件の情報を把握しているため、ニーズにマッチした適切な土地を見つけることができます。

土地探しでは案外予算オーバーになってしまうことがあるので、ハウスメーカーにあらかじめ予算を伝えておくことで予算オーバーのリスクを軽減自身のニーズや希望条件を明確に伝えることが重要でしょう。

メリット④:土地の開発事業との連携

ハウスメーカーは、土地の開発事業者との良好な関係を持っていることがあります。そのため、新しい分譲地や開発地などの情報を早く入手し、優先的に提案してもらえる可能性があります。

ハウスメーカー所有の土地の場合、仲介手数料がかからないことも。また、住宅ローンの審査に通りやすくなることもあるでしょう。とはいえ、ハウスメーカーの選定は慎重に行い、信頼性や実績のある会社を選ぶことが大切です。

ハウスメーカーに土地探しを依頼する際のデメリット

次は、ハウスメーカーに土地探しを依頼するデメリットを紹介します。メリットばかり見ておきたくなりますが、デメリットも合わせて確認するようにしましょう。メリットもデメリットも両方を考慮しながら、ハウスメーカーに土地探しを依頼するかどうかを判断することが重要です。

デメリット①:ハウスメーカーの利益重視

ハウスメーカーは住宅建築を主要な収益源としているため、土地の仲介や販売においても自社の利益を最大化することが求められます。そのため、土地の選定や価格交渉において、顧客の利益よりも自社の利益が優先される可能性があります。建築予算を高くするために安い土地をすすられることもあるでしょう。

また、ハウスメーカーが提案する土地の中から選ぶことになるため、不動産会社と比べて土地情報の入手に時間がかかります。自身の希望条件に完全にマッチする土地を見つけることができないこともあるでしょう。ハウスメーカーが開発する分譲地や特定の地域に偏った案件を優先的に提案されることも考えられます。

デメリット②:追加費用の発生

ハウスメーカーに土地探しを依頼する場合、探し出した土地の仲介手数料や販売手数料などの追加費用が発生する場合があります。これにより、予算を超えることや、本来の住宅建築費用に割り当てることが難しくなる可能性があります。

家づくりを進めるうえで、まずはじめに予算を考える人が多いでしょう。「一生に一度の買い物だしもう少し出費しても良いかな?」と思うような機会も出てくるでしょうが、最初に考えた予算はよく覚えておくようにしましょう。きっと、住んでからの生活のことも踏まえて考えた予算のはずです。

デメリット③:地域情報の偏り

ハウスメーカーは主に特定の地域で活動していることがあり、その地域の土地情報に精通しています。しかし、地域によってはハウスメーカーの情報が限られており、他の不動産業者や地元の専門家と比べて幅広い選択肢を得ることが難しい場合があります。

どのハウスメーカーに依頼するかどうかにもよるので、事前に依頼したいハウスメーカーがどの辺りの地域に強いのか確認しておくようにしましょう。SNSや掲示板などで、口コミや評判を検索してみるのがおすすめです。

土地探しの注意点

注意点①:土地探しに対応しているハウスメーカーか確認する

ハウスメーカーに土地探しを依頼するつもりでも、そのハウスメーカーが土地探しに対応していなければ意味がありません。ハウスメーカーに土地探しを任せたい場合、ハウスメーカー選びの段階で土地探しに対応しているかどうか事前に調べておく必要があるでしょう。

また、ハウスメーカーに土地探しを依頼する時は、そのハウスメーカーに家づくりをお願いする前提で相談しましょう。ハウスメーカー側からしても「家づくりも任せてくれる」という気持ちになれば、より土地探しにも力を注ぎたくなるのではないでしょうか。

注意点②:条件を決めすぎない

100点満点の土地と出会えるのは、そう簡単ではありません。悔いの残らない家づくりを行うために土地探しの条件をあれこれ細かく決めたくなる気持ちはよくわかりますが、すべてにこだわるとなかなか良い土地が見つけられなくなってしまうでしょう。

土地を探す時は、希望条件の優先順位をつけておいてください。特に譲れない条件は書き出しておくようにしましょう。ビジネスパーソンなら通勤しやすいように「駅から近い土地」、小さな子供がいる家庭なら「学校が近くにある土地」など、ライフスタイルも踏まえて考えるのがおすすめです。

注意点③:土地探しに時間をかけすぎない

土地探しを行う際、期限を設けておくと良いでしょう。なぜなら、土地探しは行えば行うほど「もっと良い土地があるかもしれない」と考えてしまうからです。「ここだ!」と思える土地に出会えたらラッキーです。そのような土地には、なかなか出会えるものではありません。

とはいえ、しっかりとこだわって決めたいなら長期戦を覚悟して、時間をたっぷり費やして土地探しを行いましょう。そうでない場合は期限を決めて、期限内に出会った土地の中でお気に入りの土地を選びましょう。

まとめ

土地探しを失敗しないためにはハウスメーカーで「土地探し」「家の建築」の両立したプランを利用するのが安心です。

不動産会社では最新の土地情報を入手していることも多く、良い土地と巡り合える可能性があるため、自分で建築業者と連携しても構わないという方は利用しても良いでしょう。

自力で探したい場合はネット検索だとたくさんの土地情報が簡単に手に入りますが、ネットだけの情報で購入せず、現地をしっかりと確認してから判断しましょう。

ハウスメーカーや不動産会社に依頼する場合でも、担当者に丸刃げするのではなく土地の希望条件やその土地ごとの性質、法的な制限などについても自分でしっかりと調べて準備しておくことが大切です。

注文住宅で理想のマイホームを実現させるために、土地探しからしっかりと力を入れ、期間に余裕を持って行うようにしましょう!