注文住宅の値引きは可能?値引き交渉で安く注文住宅を購入する手段や注意点

思い描くマイホームを実現するのには費用がかかります。そんなとき、少しでも値引きがしてもらえらたありがたいですよね。でも、注文住宅の値引き交渉なんてどうしたらいいかわからない方が多いのではないでしょうか。

この記事では、注文住宅での値引きについてご説明します。注文住宅の値引き交渉のコツは押さえておくべきポイント、注意点などを記載していくので、お役立てください。

注文住宅って値引きできるの?

注文住宅の値引きは、結論からいうと可能です。

注文住宅を建てる施工業者を選ぶとき、どのような点に注目しているでしょうか。デザイン、品質、省エネ効果などいろいろあると思いますが、建築費用も大事な比較ポイントです。坪単価は設備仕様によって前後するので、坪単価×坪数で家が建つわけではありませんが、目安にはなります。坪単価が高い施工業者ほど、値引きが見込めます。ちなみに、この金額に諸費用等を25%程度上乗せした金額が現実的な建築費用の目安です。

大手ハウスメーカーと工務店を比較すると、工務店の方が坪単価が安いことがわかります。安い建材や品質の劣る設備だから安いわけではなく、コマーシャルなど多額の費用がかかる広告をしていないためです。人件費は工務店おかかえの職人さんたちに依頼するのでマージンが少ないことが多く、もともと坪単価も抑えられているため大幅に値引きする余地があまりありません。3%程度値引きできれば成功といえます。

大手ハウスメーカーの場合、施工費用に設備維持費や広告費用が上乗せされている場合が多く、工務店よりも利幅があります。利幅があるといっても注文住宅は建売物件のように売り払う必要のない商品ですので、大幅値下げになる対象ではありません。5~8%の値引きができれば上々といえます。決算時期により10%の値引きも見込める可能性がありますが、値引き額ばかりに目を向けていると思わぬしわ寄せがおきることもあるので注意しましょう。

また、大手ハウスメーカーでもローコスト住宅を売りにしている場合は大幅な値下げは期待できません。3%~5%程度の値引きを目指して交渉してみましょう。

注文住宅の値引き相場

注文住宅の値引き相場は、様々な要素によって異なります。以下は一般的な注文住宅の値引きに関する一般的な情報ですが、具体的な値引き相場は地域や建築業者によって異なる場合がありますので、参考程度にご確認ください。

注文住宅の値引き

一般的には、注文住宅の価格の3〜10%程度の値引きが可能な場合があります。ただし、需要と供給のバランスや地域の競争状況などによって値引き相場は変動。絶対に値引きしてもらえると考えるのは好ましくありません。そもそも注文住宅は「売れ残り」という概念がないので、値引きの難易度は高めです。

建築業者によっては、特定の期間や特定の条件下でのキャンペーンや特典を提供している場合があります。例えば、特定の間取りやプランでの割引、追加オプションの無料提供などがあります。そういったタイミングを狙えば、値引き交渉をせずとも安く購入できるでしょう。

値引き交渉

注文住宅を値引いてもらうためには、ハウスメーカーや工務店との交渉が重要です。複数のハウスメーカーとの比較や競争させることで値引きを引き出すことができる場合も。また、ハウスメーカーのほうが工務店よりも注文住宅の値引き率が若干高い傾向にあるようです。

特定の条件下での値引きも考慮されることがあるでしょう。例えば、一括払いや特定の金融機関の融資を利用する場合など、建築業者にとってメリットのある条件が揃えば値引きを引き出すことができるかもしれません。ただし、注文住宅の値引きには限度があります。建築業者のコストや利益率、建築資材の価格などが考慮され、無理な値引きを求めることは難しい場合もあります。

最終的な値引き額や条件は、ハウスメーカーとの交渉や相談を通じて具体的に決定されます。複数のハウスメーカー及び工務店との比較や、しっかりと予算や要望を伝えながら進めることが大切です。また、建築業者の評判や実績、信頼性も考慮に入れながら選ぶことも重要でしょう。

値引き交渉をするタイミング

注文住宅の値引き交渉をするには、どのようなタイミングを狙えば良いのでしょうか?ここでは、値引き交渉を行う適切なタイミングをいくつかご紹介していきます。

値引き交渉を行う際には、具体的な要望や予算、競合他社の見積もりなどを持ち込んで、ハウスメーカーとの打ち合わせや交渉を行うことが重要です。また、値引きだけに注目せずにハウスメーカーの品質や実績、信頼性も考慮に入れることが大切です。

  1. 初回見積もりの後
  2. 複数のハウスメーカーの見積もり取得後
  3. キャンペーンや特典の期間
  4. 契約直前
1,初回の見積もり後

ハウスメーカーや工務店からの初回の見積もりを受けた後、見積もり内容や価格を検討する際に値引き交渉を行うことができます。この段階では、まだ契約が成立していないため、見積もり内容や金額に対して交渉する余地があります。

2,競合他社の見積もりを取得後

複数のハウスメーカーや工務店から見積もりを取得した後、それぞれの見積もり内容や金額を比較することができます。競合他社の見積もりを持ち込んで値引き交渉を行うことで、より有利な条件を引き出すことができるかもしれません。

3,キャンペーンや特典の期間中

ハウスメーカーや工務店が特定の期間や特典を提供している場合、その期間中に値引き交渉を行うことが効果的です。キャンペーンや特典を活用しながら値引きを交渉することで、追加の割引やサービスを得ることができるかもしれません。

4,契約前の最終交渉

契約をする直前の段階で最終的な値引き交渉を行うこともあります。すでに工務店やハウスメーカーとの関係が築かれており、契約に進む意思がある場合には、最終的な条件や価格を再度検討することで値引きを交渉することができます。

値引き交渉のために押さえておきたいポイント

  1. 買うつもりで交渉する
  2. 相場を知っておく
  3. 契約前に値引き交渉する
  4. 一社のハウスメーカーに絞らない
  5. 競合他社で比較して交渉してみる

値引きするには、大事なポイントがふたつあります。ひとつは買う気でいること、もうひとつは相場を知ることです。

そもそも、本気で買う気がない人には施工業者は値引きをしません。営業マンも、見学に来たお客さんに値引き交渉されても応えようがないでしょう。また、見積もりの相談段階で値引きを要求しすぎると、営業マンは購入可能額で見積もりを作るために品質のグレードを下げて提案することにもなります

そのため、値引き交渉のタイミングは契約直前がおすすめです。ハンコを持っているお客様との値引き交渉は、営業マンも逃げられない状況になります。自分の成績になるだけでなく、良好な関係でプラン作成が進み満足度の高い見積もりができたお客様との契約は、営業マンも本気で取りたいはずです。ここで即答で値引き不可だった場合、ご自身が納得すれば契約してもかまいませんが、一度持ち帰ってもいいかもしれません。

値引きをするのに、相場を知らないと吹っ掛けるだけの値引き交渉になってしまいます。施工業者を決めるときに、一社に絞るのではなく最低3社は候補に入れて見積もりを取りましょう。グレードが同等の業者で、同等の内容で比較することが大切です。これを合い見積もりといって、価格差をはっきりさせて公正を期すために行われることもある方法です。

車で例えると、ワンボックスを買うのに軽自動車の見積もりを比較しても交渉材料にはなりません。似た条件の、できればライバル業者で少し安い金額で仕上がった見積もりを見せて交渉しましょう。「ライバル業者のほうがこれだけ値引きしてくれたが、お宅が気に入って決めたいから、差額分を値引いてほしい」といえば、NOと即答できる営業マンはいません。値引き額を持ち帰って相談してくる姿勢が見えたら、第一段階突破です。

このあと手ぶらで営業マンが帰ってきたら、同じグレードで少し安い見積もりを出してくれた施工業者に乗り換えてもいいかもしれません。結果、適正価格で施工できることになります。

注文住宅で値引いてもらう3つのコツ

1,複数社から見積もりを得る

注文住宅で値引き交渉を行うためには、複数のハウスメーカーや工務店から見積もりを取ることが大切です。見積もりを取得すると、より具体的に見積もり内容や費用について複数社を比較することができます。

「他のハウスメーカーと悩んでいる」ということを踏まえて競合他社の見積もりを持ち込んで値引き交渉をすることで、もしかすると比較しているハウスメーカーよりも良い条件に値引いてもらえることがあるかもしれません。

2,担当スタッフを味方につける

スタッフとの関係性は、家づくりにおいて重要な要素です。ハウスメーカーを決める際の決定打として「スタッフの質」を選ぶ方も多く存在しています。ハウスメーカーの担当スタッフとは、家をつくっている時だけでなくアフターサービスなど家を建てた後も長い付き合いになるからです。

値引き交渉をする前に「この建築会社で建てたい」という意思をしっかりと表し、担当スタッフと信頼関係を築きましょう。担当スタッフももちろん人間なので、「このお客様に良い条件で購入してもらいたい」と感じて値引き交渉に尽力して応えてくれるかもしれません。

逆に言えばしつこく値引き交渉を依頼し続けると、せっかく築いた担当スタッフとの関係性が一気に悪化してしまう場合も。値引きを強要するのは好ましくないので、交渉するのは1回のみにするように心がけましょう。

3,契約前に値引き交渉する

値引き交渉のタイミングとして、「契約直前」を狙うのがおすすめです。何度か打ち合わせをしてある程度ハウスメーカーとの信頼関係を築いた後、あなたが真剣に契約を検討していることをハウスメーカーに伝えることが重要。予算や条件の交渉において、相手にとっても魅力的な契約パートナーとなることをアピールしましょう。

契約直前の交渉は一つの局面ですが、柔軟な姿勢で交渉を進めることが大切です。双方が妥協点を見つけられるような交渉を心掛けてください。また、建築業者との信頼関係を築くためにも、建設プロセス全体を考慮したバランスの取れた交渉をしましょう。

値引き交渉に潜む危険

注文住宅の値引き交渉のコツやタイミングなどについてお伝えしてきましたが、注文住宅の値引きには危険が潜んでいます。どのような危険があるのか、事前に頭に入れたうえで値引き交渉を行いましょう。

  1. 品質や仕様の低下を招く
  2. 追加費用が発生する恐れがある
  3. スタッフとの信頼関係を損失する
  4. 費用以外の要素を見落としがち
品質や仕様が低下してしまう

高額な値引きを得るためには、建築業者がコスト削減のために品質や仕様を犠牲にする場合があります。安全性や耐久性に問題が生じる可能性があるため、慎重になる必要があるでしょう。

もし値引き交渉してみて大幅なコスト削減ができそうな時は、どのように費用を削減するのか質問してみても良いかもしれません。内容によっては値引かずにそのままの価格にしてもらったほうが、後々のメンテナンス費用などを削減できる可能性があります。

追加費用が発生する可能性がある

値引きを得るためには、建築途中での仕様変更や追加工事の費用が発生する場合があります。これにより、最初の見積もりよりも総額が高くなることがありますので、注意が必要です。

必要な仕様を削ってまで費用を削減するのは好ましくありません。契約する前に、価格だけでなく本当に設備や仕様、デザインなどに思い残すことがないのか今一度確認しましょう。後からの追加はかえって費用が高くなってしまうことが多いです。

信頼関係の損失

過度な値引き交渉や強引な交渉は、ハウスメーカーの担当スタッフとの信頼関係を損なう可能性があります。信頼関係が損なわれると、建築過程やアフターサービスに支障をきたしてしまうことがあるでしょう。

家づくりを依頼するハウスメーカーや担当スタッフとの付き合いは、家づくりの間だけではありません。家が完成した後も、定期的なメンテナンスやアフターサービスで顔を合わせることになります。スタッフとの関係は、なるべく良好な状態であれるように努めましょう。信頼関係を築いておくことで、相談や質問もしやすくなります

他の要素の犠牲

値引き交渉に集中しすぎると、建物の他の要素まで目が行き届かなくなる可能性があります。家づくりでは費用ももちろん重要ですが、快適性や機能性、デザインなど、他にも大切な要素はたくさん存在します。

注文住宅の値引きを行う時は、他の要素について見逃してしまわないように気を付けましょう。マイホームは、人生で最大級のお買い物です。気に入らなかったから買いなおすなんてことはよっぽどのできることではありません。悔いの残らないように、全要素に目を行き渡らせて家づくりを行いましょう

値引き交渉する際の注意点

注意点①:契約後の値引き交渉はNG

値引き交渉のタイミングとして「契約直前」がおすすめだとお伝えしました。つまり、契約後の値引きはできないと考えるべきです。契約後に価格を変更することもできなくはないですが、難易度はグッと上昇します。

そもそもスタッフの立場になって考えてみてください。「条件に納得してあなたの会社と家づくりをします」と正式に契約した後に「高いので値引きしてほしい」と言われたらどうでしょうか?きっと今後もさまざまな変更を申し出てこられるのでは、と考えてしまうでしょう。家づくりは担当スタッフとの信頼関係が非常に重要。そのことも踏まえて、契約後に値引き交渉するのはなるべく控えることをおすすめします。

注意点②:値引きを無理強いしない

注文住宅の値引き交渉は、絶対に交渉成立するわけではありません。むしろ建売住宅と比べて値引きしてもらいにくいものです。せっかく勇気を振り絞って値引きのお願いをしたのに、と感じる気持ちもわかりますが、無理強いしないように注意しましょう。

何事もそうですが、無理なものは無理なのです。交渉に応じてもらえなかった場合も落ち込まずに、他の方法で安く家づくりをできないか考えるようにしましょう。

注意点③:値引き交渉の結果だけでハウスメーカーを決めない

注文住宅をつくるために複数のハウスメーカーを比較して検討するものです。そこで気になってくるのは費用ですし、もし値引き交渉に応じてくれるハウスメーカーがあればその会社に依頼したくなる人も多いでしょう。

しかし、一度踏みとどまってよく考えてみてください。価格以外にも注目すべきポイントはたくさんあります。デザイン性はどうですか?住宅性能は?あなたの理想のマイホームを実現してくれるハウスメーカーに依頼するようにしましょう。価格ももちろん重要ですが、住まいは長い人生を共に送ることになる大切な場所です。

注意点まとめ

注文住宅で値引き交渉をする際の注意点は、「契約後に交渉しない」「値引きを無理強いしない」「値引き交渉の結果だけでハウスメーカーを選択しない」などがあることをお伝えしてきました。

注文住宅は、バザーのように値下げ交渉するわけにはいきません。値下げが品質に直結するからです。建材や金具の品質が落ちる、人件費節減と回転率アップのために工期を短くするなど、見えないところで影響がでます。値下げのために品質を落とすのは本末転倒です。あくまでも工務店やハウスメーカーの利幅の中で値引きしてもらうことを念頭に置いて交渉しましょう。

また、適正価格を知ってから値引き交渉に臨まないと、営業マンとの信頼関係にも影響します。この施工業者さんにほれ込んでいるから、ここしか頼みたくないという強い思いがある場合は、特に値引き交渉は慎重に行いましょう。

値引きなしで予算を抑える手段

注文住宅の値引き交渉に応じてもらえなかった場合、費用を抑えることはできないとお思いでしょうか?決してそうではありません。値引き以外でも、ポイントさえ押さえておけば費用を削減できる可能性があります。ここからは、値引き交渉なしで注文住宅の費用を抑える方法をご紹介していきます。

1,プランや仕様を見直す

プランや仕様を見直し、必要な要素と無駄な要素を見極めることで、注文住宅の費用にかかるコストを削減することができます。必要最低限の機能や仕様に絞り込むことで、建築費用を抑えられるでしょう。

仮にフルオーダーの注文住宅をつくるつもりだった場合、セミオーダーの規格住宅も検討してみると良いでしょう。フルオーダー住宅よりもセミオーダー住宅のほうが、ずいぶん安く注文住宅をつくることが可能です。

2,シンプルな設計にする

複雑な形状やデザインは、建築や施工において追加の工数や費用を要する場合があります。シンプルな形状やデザインを選ぶことで、建築費用を抑えることができるでしょう。間取りも見直し、無駄な廊下やスペースを減らして必要なスペースに重点を置くことが重要です。

また、設備の配置を効率的に行うことで、配管や配線の長さや量を削減することが可能になります。例えば、バスルームやキッチンなどの水回りをまとめて配置することで、給排水やガス配管のコストを抑えられるでしょう。

3,オプションを厳選する

注文住宅をつくる過程で、必要なものを追加できるオプション。オプションは追加すればするほど価格が高くなってしまいます。費用を安く抑えたい場合は、追加予定のオプションを見直してみましょう

さまざまな魅力のあるオプションを見ているうちに、自身の家族にとってあまり必要のないオプションを追加していないかどうか。もう少し安い代替のオプションを選択できないか。改めて厳選しなおすことで、注文住宅にかかる費用を抑えられるでしょう。

4,キャンペーンや特典の活用

ハウスメーカーや工務店が提供するキャンペーンや特典をチェックすることも、注文住宅をお得につくるためには重要です。キャンペーンなどを活用することで、割引やサービスの追加を受けることができます。これらの特典をうまく活用し、総合的なコスト削減を図りましょう。

開催中のキャンペーン情報は、ハウスメーカーのホームページに記載されています。キャンペーンによっては開催期限が設けられていることもあるので、期限切れにならにように注意しましょう。また、キャンペーンの対象者であるかどうかも確認しておく必要があります。

5,ローコストのハウスメーカーを選ぶ

一言にハウスメーカーといっても、建築費用や坪単価はハウスメーカーによって全然違います。価格重視で家づくりを行う場合は、ローコストハウスメーカーを選択すると良いでしょう。

ローコストのハウスメーカーは、広告費や人件費を削減したり、規格住宅を用意して資材や建材を一括仕入れすることで、住宅の費用を抑えています。「安くて有名なのは不安」と考えてしまわずに、安さの理由も調べてみると安心してローコストのハウスメーカーに依頼できるのではないでしょうか。

まとめ

注文住宅で値引き交渉をする際のコツや押さえておきたいポイント、交渉時の注意点などについてお伝えしてきました。

注文住宅の値引き交渉は、適正価格を知ってから行うことが成功の秘訣です。でも、欲張ってしまうと思わぬ失敗に繋がります。せっかくこだわって建てるマイホームが、値引きのために実は安く仕上げられていた結果になるのは残念です。

人生で一番高価な買い物である注文住宅を気持ちよく購入できるように、値引きをする際には十分注意してください。価格も大切ですが、家づくりで一番大切なのは長く安心して暮らせる理想のマイホームを実現させることです。