
テクスチャアーティストは、3Dモデルにリアルな質感を表現する職業です。
CG業界の制作現場において、このテクスチャーはなくてはならない分野の技術ということもあり、目指してみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこでこのページでは、テクスチャアーティストの仕事内容や今後の将来性などについて解説します。
目次
テクスチャアーティストとは?仕事内容を解説
テクスチャ(Texture)とは、物体の表面の質感や手触りを指す概念で、3DCGモデルに対して質感づけをする作業のことをテクスチャリング(テクスチャマッピング)と言います。
モデラーが作成した3DCGモデルは、そのままでは粘土で作成したような無機質な物体(オブジェクト)です。
テクスチャアーティストはその3Dモデルをよりリアルに見せるために、写真や絵などの画像を3Dモデルに貼り付けることで質感を表現していきます。
テクスチャアーティストには大きく分けて2種類あります。
種類
- モデラーでテクスチャリングも兼任する人
- テクスチャリングに特化した人
海外では分業が進んでいるためテクスチャリングに特化している人が多いですが、日本の場合はモデラーや3Dデザイナーが兼任していることも少なくありません。
テクスチャマップのワークフロー

テクスチャリングのワークフローを理解するために、以下の動画を参考に手順を解説します。

まずはテクスチャをつける3Dモデルを用意します。

UV展開とは3Dモデルを展開図にして、平面(2次元)の座標に対応させることを指します。
UV展開をすることで、平面情報を元にテクスチャを着けていくことが可能になります。

UVを元にテクスチャ素材を配置していきます。(今回の場合は木目の写真)
ときには自ら手を動かしてテクスチャを1から作っていく場合もあります。

さらに他の素材を足してテクスチャを作り込んでいきます。
作成したテクスチャを3Dモデルに貼り付けます。かなり樽らしくなりましたね。
※ 上記のワークフローは3DCG作成ソフト「Autodesk Maya」を用いた手順です。他のソフトでは手順が異なる可能性もあります。
上記はテクスチャマップの中でも基本的なカラーマップという手法ですが、他にもいろいろな手法があります。
- バンプマップ・・・擬似的に凹凸を表現する(形状は変えない)
- ディスプレイスメントマップ・・・形状を変えて凹凸を表現するため、細部まで高品質を得られる
- スペキュラマップ・・・光を反射する様子を表現する
1つの手法だけでなく、様々な手法を組み合わせることでさらにリアルな質感表現を得ることができます。
例えば、先程の樽にバンプマップやスペキュラマップを施し、ライティングを調整すると以下のようになります。
テクスチャアーティストの平均年収
データ参考 : 転職会議
テクスチャアーティスト(CGデザイナー)の平均年収は354万円となっていますが、参考程度にしたほうがいいでしょう。
日本では「CGデザイナー」や「3DCGデザイナー」「3Dアーティスト」などとひとくくりに募集されることが多く、「テクスチャアーティスト」限定の募集はあまり見かけないからです。(分業が進んでいる大手ゲーム会社などでは募集あり)
スキルに応じて年収がアップしていく傾向にはあるので、ゲーム・映像業界に強い転職エージェントなどで高待遇の企業を探すことが年収アップへの近道だと言えるでしょう。
- G-JOBエージェント|ゲーム業界の転職で人気
https://game-matching.jp/ - シリコンスタジオエージェント|ゲーム制作現場に強み
https://ss-agent.jp/ - ファミキャリ!|ファミ通の転職支援サービス
https://www.famitsu.com/

テクスチャアーティストのキャリアパスと働き方


ジュニアからシニアテクスチャアーティストへ

数年の経験を積むと「シニア」へ。
キャラクターや背景など大きなパートを任され、アートディレクションに沿って自分の提案もできるようになります。
革や金属、石など、質感を一から設計できるスキルが求められる段階です。
年収は、ジュニアが300万円台なのに対し、シニアでは400〜500万円台に届くケースが多く、キャリア初期の目標ラインとなります。


リードやテクニカル系へのキャリアアップ

リードアーティストは、仕事内容が自分の制作だけでなくチーム全体の監督へと変わります。
進行管理や品質チェック、後輩育成、クライアントとの調整など、マネジメント力が問われる役割です。
リードに昇格すると、平均年収も500〜700万円台へ上がることが一般的です。
テクニカルアーティストは技術寄りのポジションで、シェーダーやレンダリング、ゲームエンジンの最適化に関わります。

- リード:管理・教育スキルが重要
- テクニカル:技術的な深掘りで差別化
- どちらも平均年収を大きく上げやすいポジション
フリーランス・海外スタジオでの働き方

国内フリーランスは、ゲーム会社や映像制作会社から案件単位で依頼を受けるスタイル。
複数の案件を掛け持ちすることで、年収600〜800万円も現実的です。
特定分野(背景、小物など)に強みがあると案件を安定的に確保できます。
海外スタジオはさらに高収入が狙えます。
北米や欧州では、テクスチャアーティストの年収が800〜1000万円に達する求人もあり、挑戦する人が増えています。



- 海外求人は短期契約も多い
- 安定性より実力と実績重視
テクスチャアーティストの将来性


CG表現は年々発展しており、映画やゲームをはじめ、テクスチャアーティストの活躍の場は今後も増えていくでしょう。
テクスチャアーティストを極めるのであれば、CG映像の本場である海外転職(バンクーバーなど)を視野に入れるべきです。
海外では制作にかける予算が日本に比べて遥かに多いので、年収アップも目指せるでしょう。
テクスチャアーティストに必要な知識・スキル
テクスチャアーティストは基本的な3DCGの知識に加え、Photoshopや3DCGソフトのスキルも必要でしょう。
テクスチャを作成する場合、基本的にはAdobeのPhotoshopを使用するので、Photoshopのスキルは必須です。
テクスチャアーティストになるためにはスキルが重視されるため、資格は必須ではありませんが、取得しておくことで転職や業務上で大きなアピールポイントとなります。
アドビ認定エキスパートをはじめとした、アドビ製品に関する資格を所持しておくと良いでしょう。
テクスチャアーティストが取得しておきたい資格
- 色彩検定
- CGクリエイター検定
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- Illustratorクリエイター能力認定試験
- アドビ認定エキスパート(ACE)
テクスチャアーティストが年収を上げる方法


最新ツール・ソフトを習得する
Substance PainterやDesigner、Mariは、いまやプロ現場の標準ツールです。
これらを使いこなせると、リアルで効率的な質感表現ができ、即戦力として評価されます。
さらに、Unreal EngineやUnityなどのゲームエンジンに対応できる知識を持つと「リアルタイム環境で動くテクスチャを扱える人材」として重宝されます。



関連分野の知識を身につける
仕事内容をテクスチャ作成だけに絞らず、ライティング・シェーダー・レンダリングなどの知識を取り入れると強みが増します。
例えば、光と質感の関係を理解していると、より自然なテクスチャを作成でき、完成度が一気に上がります。
シェーダーや最適化の知識があると「テクスチャ+テクニカル対応」ができる人材として重宝され、給与レンジも上に振れやすくなります。

- シェーダー知識を持つだけでキャリアの幅が広がる
ポートフォリオを磨き、実績をアピール
テクスチャアーティストにとってポートフォリオは武器です。
リアル表現、スタイライズ表現、制作プロセスの解説などを揃えると、採用担当者やクライアントに強い印象を与えられます。
特に「ビフォーアフター」や「作業工程の解説」があると、単なる成果物以上の説得力を持ちます。
質の高いポートフォリオは、平均年収を大きく超える案件や求人につながり、収入を100万円単位で伸ばすチャンスを生みます。
- 多様な作風を見せる
- 制作過程を開示する
- クオリティと効率性を両立させる
キャリアのステージを上げる

シニアやリードに昇格すれば、仕事内容は管理や監修にシフトし、年収は500〜700万円に到達することも多いです。
また、フリーランスに転向すれば、実力次第で報酬単価を自分で設定できます。
海外案件を受注できるようになれば、国内相場を超える収入を得るチャンスもあります。
年収1000万円を突破する例もあり、キャリア戦略次第で大きな飛躍が可能です。


【Q&A】テクスチャアーティストに関するよくある質問

気になる疑問をチェック
テクスチャアーティストを専門に仕事にすることは可能?
テクスチャーのみを仕事にしている人は少ないでしょう。
テクスチャーとは3D分野の仕事の一種になるため、3DCGデザイナーとして兼業で作業を行う人が多いでしょう。ただし、3Dをデザインする工程は基本的に分業や協力体制で行われることが一般的です。そのため、制作会社や企業によってはテクスチャーを専門で請け負う職種が用意されていることもあります。
未経験からテクスチャアーティストは目指せる?
未経験からCG業界を目指したい場合は、CGスクールに通うのがおすすめです。
CG業界の制作現場は経験者重視の部分も多いです。そのため、テクスチャアーティストに限らず、CG業界の制作現場に入りたいという未経験の方は、現場でも役立つ知識とスキルを身に着けるためにCGスクールに通うことをおすすめします。
まとめ
- テクスチャアーティストは3Dモデルに画像を貼り付けて質感を表現する仕事
- 国内では「CGデザイナー」や「3Dアーティスト」として募集されることが多い
- キャリアアップには海外への転職を目指すべき
- 企業によって業務内容が異なるので応募の際は注意する
テクスチャアーティストは経験を積んでいくごとに素材や質感への理解が深まっていく、やりがいのある職業です。
このキャラクターの服はどのような質感が最適か、この質感を表現するにはどうすればいいかなどを常に考える必要があります。
普段の生活の中でも気になるテクスチャの写真を撮っておいたりと、常に学んでいく姿勢がスキルアップには大切ですね。
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