この記事の監修SEO会社
株式会社NEXER
2005年にSEO事業を開始し、計10,000社以上にSEOコンサルティング実績を持つSEOの専門会社。
自社でSEO研究チームを持ち、「クライアントのサイト分析」「コンテンツ対策」「外部対策」「内部対策」「クライアントサポート」全て自社のみで提供可能なフルオーダーSEOを提供している。
SEOのノウハウを活かして、年間数百万PVの自社メディアを複数運営。
あなたの会社のWebサイトは、「商品のPRや売り込み」ばかりを発信していませんか?
もしそうなら、非常にもったいないことをしています。
実は、人がGoogleなどの検索エンジンを使う目的の多くは「何かについて調べたい」というもので、「商品を買いたい」という目的よりも多いのです。
つまり、「調べる」>「買う」という図式になっていて、「調べる」ニーズのほうが圧倒的に多いのです。それなのに、Webサイトでは「買う」人だけを対象に情報発信をしている…
しかし「調べる」ユーザーに向けて、役立つ情報やニーズに合った情報を発信するとどうなるでしょうか?
「買いたい」ユーザーよりはるかに多い「調べたい」ユーザーに、あなたの会社を知ってもらい、将来の顧客になってくれるかもしれないのです。
この、「調べたい」「知りたい」ユーザーに向けた情報発信を行うメディアを、一般的に「オウンドメディア」といいます。
今回は、その「オウンドメディア」の目的や運用方法、事例などをご紹介します。
目次
オウンドメディアの意味とは?
オウンドメディア(OwnedMedia)とは、「Owned=所有」という意味からわかるように、自社で所有するメディアの総称です。
インターネットの世界だけでなく、オフラインの営業活動で使われるパンフレットやチラシ、DMなどもオウンドメディアにあたります。
しかし今は、ネットマーケティングの施策として、自社で運営・情報発信を行う「ブログ」のようなWebメディアを、オウンドメディアと呼ぶのが一般的となっています。
オウンドメディアとはコンテンツマーケティングの手段
「コンテンツマーケティング」とは、ユーザーにとって価値のある情報を発信することで、見込み客を育て、購入してもらい、固定客として定着してもらうためのマーケティング手法です。
オウンドメディアは、そのコンテンツマーケティングの手段として使われます。
具体的には自社でブログを運営し、ユーザーに役立つ情報を発信します。発信する内容は製品に関連するお役立ち情報やノウハウの提供などさまざまですが、売り込みはせず、ユーザーの役に立つ情報が中心です。
たとえば、あなたの会社がネクタイを売っているとしましょう。
ECサイトでは「ネクタイ通販」「ネクタイ購入」というような買いたい客が検索するキーワードに対応したコンテンツを掲載します。具体的には、商品情報ですね。
一方、オウンドメディアでは「ネクタイ結び方」「ネクタイコーディネート」など、調べたいユーザーに向けたコンテンツを掲載します。
このように、「調べたい」ユーザーのニーズを満たして顧客を育てるプロセスを段階的に行っていくのが、コンテンツマーケティングなのです。
オウンドメディアとペイドメディア、アーンドメディアの関係
ネットマーケティングには「トリプルメディア」というものがあります。
トリプルメディアとは、企業が見込み客に対して情報を伝えるためのメディアを分類したいい方で
- オウンドメディア(自社所有のメディア)
- ペイドメディア(広告費を払うメディア)
- アーンドメディア(SNSなど、口コミで拡散するメディア)
の3つのメディアのことです。
オウンドメディアは、Webメディア(ブログ、ECサイトなど)でコンテンツを発信します。
ペイドメディアは広告費を払って広告を掲載するメディアのこと、アーンドメディアは、TwitterやインスタグラムなどのSNSが中心です。
オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアは、オウンドメディアを中心として互いに補完関係にあります。
たとえば、ペイドメディアとしてGoogle広告を使うとしましょう。
Google広告でオウンドメディアの記事を出稿します。検索ユーザーはGoogle広告を通じて、オウンドメディアにたどり着くという構図です。
アーンドメディアの例を挙げてみると、Twitterでオウンドメディアの記事の抜粋を発信し、オウンドメディアにユーザーを誘導。オウンドメディアが役立つ情報なら、さらにアーンドメディア(この場合、Twitter)で拡散されるという図式です。
ペイドメディアとアーンドメディアを組み合わせてトリプルメディアを戦略的に使っていくと集客効果が上がり、集客した見込み客のロイヤリティを高めていけるのです。
オウンドメディアの目的
オウンドメディアには、見込み客の集客だけではなく、さまざまな目的があります。
ここでは、代表的な5つの目的をご紹介します。
認知度向上
オウンドメディアの目的として多いのが、企業や製品の認知度向上です。
従来、認知度を上げるメディアといえばテレビCMや雑誌の広告などが代表的でしたが、オウンドメディアを育てていけばその役割を担うことができます。
認知度向上のためには、オウンドメディアへのアクセスを増やす必要があります。ペイドメディア、アーンドメディアを組み合わせて、アクセス増加を狙いましょう。
集客・リード獲得
オウンドメディアは集客・リード獲得の手段としても役割を果たしてくれます。
集客・リード獲得のためには、顧客の潜在ニーズと検索意図をしっかり捉え、それに応えるコンテンツづくりが大切です。また、集客から成約までのプロセスも事前に設計するようにしましょう。
たとえば、オウンドメディアでメール登録をしてもらい、その後ステップメールで顧客を育て、自社のECサイトでの購入を促すというプランのもとにオウンドメディアを運営します。
ブランディング
企業や商品・サービスのブランディングのために、オウンドメディアを使うケースも多くあります。
ブランディングを目的としてオウンドメディアを制作するのであれば、製品に関する情報だけではなく、企業の創業にまつわるエピソードや製品づくりのプロセス、こだわりなどの「ストーリー」を重視したコンテンツ発信が効果的です。
顧客のロイヤリティ向上
オウンドメディアは見込み客に対するものが多いのですが、既存客のロイヤリティ向上を目的とする場合もあります。
たとえば、買ってもらった製品の詳しい使い方を発信する方法があります。
調味料を販売している会社なら、購入客向けに調味料を使ったレシピを公開したり、相性のよい調味料の組み合わせを提案するといった方法です。
顧客とのコミュニケーションを密にすることで、ロイヤリティ向上を狙います。
採用
近年増えているのが採用を目的としたオウンドメディアです。
企業の沿革などのストーリー、製品づくりへのこだわり、社内の様子、先輩社員の働きぶり、福利厚生の説明など、公式サイトの採用ページだけでは伝えきれない情報をオウンドメディアで発信します。
オウンドメディアが注目される理由
オウンドメディアが注目されている理由は、さまざまな側面があります。
Googleアルゴリズムの変化
オウンドメディアの集客経路は、Google検索がメインとなります。
10年程前はユーザーに役立つコンテンツでなくてもリンク操作だけで順位が上がり集客できていたので、オウンドメディアの必要性はあまり語られませんでした。そのため、自作自演で量産したサイトからリンクを貼る、有料のリンクを購入するいわゆるブラックハットSEO対策で検索順位を上げようとするサイトも多くあったのです。
ところが、2012年にGoogleが「ペンギンアップデート」と「パンダアップデート」と呼ばれる、アルゴリズム刷新を行います。
その結果、低品質なサイトやリンク操作をしていたサイトが、軒並み順位を落とすか、検索順位の圏外にはじき出されたのです。
それから現在まで、Googleはコンテンツを重視する方向に変化しています。Googleの掲げるユーザーファーストの理想に沿って考えれば、今後もコンテンツ重視の方向性は変わらないでしょう。
Googleアルゴリズムの変化に対応するように、良質なコンテンツを有するオウンドメディアが注目されるようになったのです。
ストック型のメディアであること
よく「オウンドメディアは、何記事で完成しますか?」という質問を聞きますが、オウンドメディアにゴールはありません。
長期間かけて、顧客に役立つ記事をコツコツと積み上げていきます。この記事一つ一つが、Google検索やSNSで認知され、集客の窓口になるのです。
一度制作した記事は、オウンドメディアが続く限り消えることはありません。あなたの会社の資産としてストックされ、記事が増えれば増えるほど集客の窓口が増えることになるのです。
実はこれこそが、オウンドメディアが注目される一番の理由なのです。
これに対し、TwitterなどのSNSは、「フロー型」のメディアとも呼ばれます。
コンテンツを投下しても、タイムラインが更新されるたびにどんどん発信内容は露出されなくなります。コンテンツがどんどん消費されていくイメージです。
オウンドメディアはそれとは逆で、資産として積み上がる「ストック型」のメディアという特性があるのです。
オウンドメディアを運営する3つのメリット
では、ここからはオウンドメディアを運営する3つのメリットをご説明します。
広告費の削減につながる
オウンドメディアは記事を増やしていくごとにメディアとしての価値が高まり、Googleからよい評価を得やすくなります。
サイトに役立つコンテンツが豊富にある状態になれば、記事一つ一つが検索上位に上がりやすくなり、オウンドメディアが強力な集客ツールになるのです。月間PV数が百万以上といった大規模なサイトになれば、もはや広告に頼らなくても集客できる状態となるでしょう。
広告費を削減しながら浮いたお金でさらにコンテンツを増やし、オウンドメディアをより強固なものにしていくという戦略もとれるようになります。
顧客にとって身近な存在となれる
ある分野のことを調べていると、しょっちゅう決まったオウンドメディアにたどり着く。あなたも、そんな経験ないでしょうか?
そうなると、ユーザーは「このサイト、いつも役立つ記事を書いてくれてるな」と好印象を持ち、身近な存在として認識されます。
オウンドメディアはあなたの会社のジャンルや製品に関連するコンテンツに特化しやすいので、「専門的なWebメディア」として認識されやすくなるのです。
分析を通じて顧客のニーズを測れる
オウンドメディア運営で大切なのは「分析」です。
Googleアナリティクスやサーチコンソールなどのツールを使ってアクセスを分析すれば、顧客ニーズを測ることができます。
たとえばGoogleアナリティクスではユーザーがサイト内でどんなコンテンツに興味を示しているか、逆にどんなコンテンツが離脱されやすいのかなどがわかり、サーチコンソールではユーザーがどんな検索ワードを入力してオウンドメディアに辿り着いているか、検索結果ではどう見えているかなどがわかります。
顧客ニーズを具体的に捉えられれば、ニーズに応えてユーザーの満足につながる記事を作成できるうえ、新商品や新サービス開発のヒントになることもあるでしょう。
分析結果から改善点を導き出し、PDCAを回すことでオウンドメディアの効果を高められるのです。
サイト分析を始めるなら
Googleアナリティクスとサーチコンソールの連携ガイド
オウンドメディア運営のデメリット
ここまでオウンドメディアのよいところばかり説明してきましたが、デメリットもあります。
デメリットをよく理解した上で、オウンドメディアを運営するようにしましょう。
やることが多い
オウンドメディアはやることが多いのがデメリットです。
オウンドメディアの立ち上げまでには、ドメインの取得、サーバーの用意、サイト設計、デザインなどの仕事があります。さらにオープン後は、絶えず記事を書き続ける必要があります。
ご存じのとおり、記事を作成するためには検索キーワードの調査、ユーザーニーズの分析と予測、記事の企画、基本構成の作成、記事の執筆など、多くのタスクをこなさないといけません。
また、記事が多くなれば情報が古くなった記事も出てくるため、リライトの必要性も出てきます。記事の作成とリライト、校正、チェック、管理など、スタッフもたくさん必要になるでしょう。
しかし「オウンドメディアはやることが多く、業務が回らなくなってしまう」という理由でオウンドメディアを始められないのであれば、将来的な顧客にアプローチする機会を失ってしまうことになります。
サイト制作や記事制作は、外注を利用すれば大幅にタスクを減らすことが可能です。
オウンドメディア運営に対してリソースが不足する場合には、部分的な外注も視野に入れてみましょう。
SEOの知恵袋編集部おすすめ
記事外注で後悔しない!業者の選び方と優良サービス10選
成果が出るまでに期間がかかる
広告は出稿したらすぐにアクセスが発生し、結果につながりやすいというメリットがあります。
ところがオウンドメディアの場合、記事を書いたからといってすぐにアクセスが発生することは稀です。
記事を作成してから検索上位に表示されるまで、数ヶ月から半年くらいかかる場合もあります。下手をするとずっと検索上位に表示されず、ほとんどアクセスがない記事になることもあるのです。
このようにオウンドメディアは成果が出るまで時間がかかり、その間は利益を生まない状態が続きます。
それを折り込み済みでオウンドメディアを運営することが大切です。すぐに結果が出ないからといって、焦ることのないようにしましょう。
オウンドメディアの作り方と手順
では、ここからはオウンドメディアはどのように始めたらよいのか、作り方と手順を見ていきましょう。
実際の過程は企業によって異なりますが、大まかに下記のような流れとなります。
準備
オウンドメディアの制作にとりかかる前には、目的・集客チャネル・制作手段の3つを決める必要があります。
目的の設定
まずはオウンドメディアの目的を明確に設定しましょう。
目的の設定はオウンドメディアの成功と失敗を分けるカギといっても過言ではありません。
オウンドメディア成功のカギ
オウンドメディアの目的・目標設定のポイントと指標を解説!
認知度向上をめざすのか、集客をメインにするのか、ブランディングをメインにするのか。目的をはっきり決めることで、コンテンツ制作の方向性が定まります。
またKPI設定もできるようになり、目的のためには何をどれくらいやればいいのかが見えてくるでしょう。
集客チャネルの決定
集客チャネルとは、オウンドメディアに集客するための媒体や経路のことです。
オウンドメディア開設当初は記事数も少なく、Webメディアとしての集客力はありません。
そのために、トリプルメディア戦略が有効になります。
ペイドメディア(広告)や、アーンドメディア(SNS)から、オウンドメディアにアクセスを流す仕組みを作りましょう。
また、オフラインでのチラシやDMでオウンドメディアの宣伝をする方法もあります。
自社運用、外注、一部外注するなど制作手段を決める
オウンドメディアで良質な記事を書くためには、綿密に調査を行い、ユーザーのニーズに応えるライティングが必要です。
その作業をすべて自社でやるのか、全部外注に任せるのか、一部だけを外注するのか、あらかじめ決めておきましょう。
たとえば、記事の企画と基本構成は自社で考え、記事執筆は外注を使う、という運営方法もあります。
オウンドメディアの運営は想像しているよりも労力がかかります。
一人だけで運営するのは無理が生じてきますので、何人でどんな方法で運用するのかを、しっかり考えるようにしましょう。
サイト制作
オウンドメディアはブログ形式で運営されるケースがほとんどです。
記事の執筆自体は専門知識がなくても可能ですが、サイト制作やデザインは、ある程度の専門知識が必要になります。
サイト制作には、次の3つの方法があります。
業者に依頼する
業者に依頼することで、レベルの高いデザインでオウンドメディアを作成できます。ただし、時間と費用がかかります。
また、明確に意図を伝えないと「思っていたのと違う」サイトになってしまうことも。業者に依頼する場合は、こちらの要望をしっかり伝え、意識を共有することが大切です。
自社制作する
HTMLやCSSなどの専門知識やスキルを持っている人が社内にいれば、オウンドメディアは自社制作も可能です。
自社制作のメリットは外注費がかからないこと。デメリットは、制作スキルを持った社員がいなくなったときにサイトのメンテナンスができなくなってしまうことです。
自社制作する場合、スタッフの教育とレベルアップはしっかり行うようにしましょう。
ワードプレスなどのCMSを使う
オウンドメディアは、CMSで運用しているケースがほとんどです。
CMSとは「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、専門知識やスキルがない社員でも、記事の執筆や更新ができます。
CMSの中で一番使われているのがWordPress(ワードプレス)で、オウンドメディア運用のスタンダードになっています。
WordPressに代表されるCMSを使えば、コンテンツ制作がぐっと身近になるでしょう。
オウンドメディアにおけるKPIの正しい設定方法
オウンドメディアを成功に導くためには、明確な目標設定と目標を達成するためのプロセス管理が大切です。
目標とプロセス管理には「KPI」を正しく設定する必要があります。
KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」という意味になります。
何やら難しそうですが、あなたも日常的に使っているかもしれませんので、ご安心を。
たとえば、ECサイトの月間売上目標を1,000万円に設定したとします。その1,000万円を達成するために、何が必要かを逆算して設定します。
ECサイトの平均売上単価が10,000円だとすると、受注件数は1,000件必要です。受注率2%と仮定すると、毎月のアクセス数は50,000アクセス必要だということになります。
さらに、オウンドメディアからECサイトへの流入率が20%だとすると、オウンドメディアには250,000アクセスが必要だということになります。
1記事平均10,000アクセスを稼ぐとすると、月に25記事必要だという計算になります。
このように、目標を達成するために必要なプロセスの目標を数値化して明確にする作業がKPI設定です。
この例でいうと、「必要記事数」「必要アクセス数」「流入率」「受注率」「受注単価」などの目標が、KPIになります。
上記の例でいうと、オウンドメディア自体は利益を生まずにアクセスを集め、ECサイトにアクセスを流す役割になるでしょう。
その時、ただ漠然とKPIを決めずに「頑張って記事を書こう」と掛け声だけかけても、長続きしません。一つ一つのプロセスに明確な目標数値を設定し、日々の業務に落とし込んでいく必要があるのです。
するとオウンドメディア運営のスタッフは「月に25記事、1記事に10,000アクセスを稼ぐ良質なコンテンツを作ろう!」という明確な目標が与えられるのです。その記事一つ一つが、売上につながることも意識できるので、モチベーション維持にも役立ちます。
オウンドメディアは結果が形として見えにくいメディアであるため、こうしたKPIの設定は必須だといえるでしょう。
ポイントは「最終目標から逆算して、各プロセスで明確な数値目標を設定する」ことです。
コンバージョン設計
オウンドメディアでもう一つ大切なことは、コンバージョン設計です。
コンバージョンはCVと略して呼ばれることが多く、Webサイトを訪問したユーザーが、最終的なアクションを起こすことをいいます。
具体的にはメール登録や資料ダウンロード、商品購入、特定ページへの遷移などです。
先程KPIの説明をしましたが、その中でもCVは非常に重要です。
たとえば、オウンドメディアで資料ダウンロードをしてもらうことを最終アクション(CV)としたとき、CV数とCV率をKPIに設定します。
資料ダウンロード数が100件/月、アクセスに対する資料ダウンロード率が20%というふうに、CV数とCV率を設定します。
その目標となるCVを上げるために、何をすべきか仮設を立てて、テストを繰り返し行います。資料ダウンロードのボタンの位置や大きさ、色がちょっと変わるだけでCVが大きく変わってくることもあるのです。
ABテストなどを繰り返して、CV率やCV数を検証し、精度を高めることを心がけましょう。
記事制作
さて、ここからは記事制作の順序と書き方のコツについてお伝えします。
これから説明するポイントを押さえておけば、記事制作に慣れていない人でも、良質な記事を書くことができるようになります。
具体例があったほうがわかりやすいので、「ネクタイを売っている会社のオウンドメディア」を想定してみましょう。
キーワード選定
オウンドメディアの主な集客チャネルは検索エンジンです。
ターゲットとなるユーザーが検索するキーワードを選定し、それにマッチしたコンテンツを作成して検索上位表示を狙います。
キーワードは、市場となるキーワードを大まかに決めたうえで「Googleキーワードプランナー」で検索ボリュームをチェックし、関連キーワードや知恵袋、競合サイトなどでユーザーニーズを探って適切なものを選定します。
無料のキーワードチェックツールあり
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キーワードは、2語か3語の複合キーワードを選定しましょう。
複合キーワードのほうがニーズが具体的となるため記事を書きやすく、反応も高いというメリットがあります。
たとえば「ネクタイコーディネイト」や「ネクタイ入社式」などです。
検索理由のリサーチ
ユーザーが検索するキーワードには、必ず理由や意図があります。その理由を考えることで、潜在的なニーズにまで応えるコンテンツを書くことができます。
たとえば先程のネクタイの事例でいうと、
「ネクタイコーディネイト」というキーワードを入力した人は、
「社会人になってスーツを新調したいので、そのスーツに合ったネクタイのコーディネイトの方法を知りたい」
「重要なプレゼンに臨むんだけど、クライアントに好印象を持ってもらいたい。好印象を与えるネクタイのコーディネイトを知りたい」
このような検索理由を持っていると想定できます。
検索理由をくみ取って、答えとなるコンテンツを書くのです。
検索理由は、TwitterなどのSNSやヤフー知恵袋などでリサーチする方法があります。
ペルソナの設定(ターゲットの設定)
記事を書く時に非常に重要なのが、ペルソナの設定です。
ペルソナとは、製品やサービスの代表的な顧客像です。ターゲットとの違いはその細かさで、一人の顧客像を細かなディテールまで設定します。
ペルソナが明確になると誰に対して記事を書くのか方向性が定まり、読者に「刺さる」文章を書けるようになります。
ペルソナ設定の具体例は、以下のとおりです。
名前:田中 聡(21)
職業・役割:大学生
検索の背景:東京在住の、4人家族の長男。4月に社会人になる大学生で、スーツを新調しようと思っている。グレーのスーツに合うネクタイを探している。はじめて自分で選ぶスーツなので、コーディネイトのことは全然わからない。ネクタイの合わせ方やコーディネイトの詳しい情報を求めて「ネクタイ コーディネート」で検索した。
このように、具体的な顧客像を設定します。
このペルソナに向けて記事を書くと、より具体的でわかりやすい記事になります。
構成の作成
キーワードや検索理由のリサーチ、ペルソナの設定ができたら、いよいよ記事執筆の段階です。
いきなり書き始めると支離滅裂な内容になりやすいため、ユーザーが知りたいと思うことを書き出し、知りたい順番に記事の構成を考えます。
構成は、見出しを設定すると作りやすいのでおすすめです。
<大見出し>ネクタイの選び方で失敗しないためには
<中見出し>ネクタイ選びで失敗するケース
<中見出し>上手なネクタイ選びのコツとは
<大見出し>グレーのスーツに合う、ネクタイのコーディネイト
・・・・・
というふうに、見出しを設定して構成を作っていきます。
見出しは本文の内容を表すので、先に見出しを設定しておけば後から文章が書きやすくなるメリットがあります。
導入文の作成
導入文は「リード文」とも呼ばれます。
記事の最初に書く文章で、記事に興味を持ってもらい、「読みたい」と思わせる文章にしないといけません。
とくに長文のコンテンツの場合、導入文は非常に重要です。
ユーザーは導入文を読んだだけで、記事を読みすすめるか離脱するかを判断するからです。
導入文では以下の項目を盛り込み、ユーザーに目的の情報があることを伝えます
- ユーザーの悩みを明確化して、共感する。
- 問題点の明確化
- その解決策
- 記事を読むと得られるメリット
ユーザーの検索意図に寄り添う導入文を書くことができれば「自分に役立つ記事だ」「私の悩みを解決してくれそうだ」と思ってもらえ、記事を読み進めてくれるのです。
ディスクリプションの作成
ディスクリプションとは、検索結果に表示される記事の要約文のことです。平均的には120文字前後の短文になります。
ユーザーは検索結果を見たとき、記事タイトルだけではなくディスクリプションも見てクリックするかしないかを判断します。
記事の要約だけではなく、ユーザーに「読みたい」を思わせる文章を書きましょう。
本文の執筆
さあ、いよいよ本文の執筆です。
オウンドメディアのようなWeb記事では、ダラダラと結論を後伸ばしにすると、ユーザーが途中で読むのをやめて離脱してしまいます。
ユーザーを飽きさせないためのポイントは、最初に結論を述べ、それからその理由や例などに展開していくことです。
また、本文で注意することとして、
- 「ですます調」か「である調」に統一する。
- 難しい漢字や表現は多用しない。
- 3行〜4行くらいで改行して、読みやすくする。
- ユーザーに語りかけるような文章にする。
などがあります。
できるだけ易しい言葉で、わかりやすい文章になるように気をつけましょう。
タイトルの設定
タイトルには、必ずキーワードを入れるようにしましょう。長さは30文字前後がおすすめです。
タイトルを入れるのは、SEOのためでもありますが、検索結果の中でユーザーに選んでもらうためでもあります。
ユーザーに選ばれるタイトルにするには、キーワードを入れつつもキャッチーさを心がけて作ることが大切です。
たとえば
というふうに、具体的な呼びかけや数字を入れると、注目してもらいやすくなります。
校正
記事を書き終えたら、必ず校正を行いましょう。
誤字脱字や表記の揺れなどがないかを、チェックします。複数人でオウンドメディアを運営している場合は、執筆者以外の人が校正作業を行うほうが望ましいです。
「てにをは」は後からでも直せますが、情報そのものが間違っていると致命傷になりかねません。誤った情報はメディアの信頼性を下げることにつながります。
内容についてもしっかりチェックするようにしましょう。
ここまでオウンドメディアの記事制作について説明してきましたが「さらに具体的な作成方法やポイントを知りたい」という方には下記の記事がおすすめです。
コンテンツ制作がわかる
記事作成の方法とコツ!Webで読まれる・行動につなげるためには?
データ分析とPDCA
繰り返しになりますが、オウンドメディアは記事を公開して終わりではありません。
- ユーザーがどのようにメディアに辿り着いているのか
- ユーザーの顕在ニーズ、潜在ニーズ
- ユーザーが興味を示すコンテンツ
- ユーザーが興味を示さないコンテンツ
ツールを使ってこうしたデータを取得し、分析すれば、コンテンツ制作やマーケティングに活かすことができます。
また、既存の記事に対する反応をヒントとしてリライトを行えば、よりユーザーのニーズに合うコンテンツ制作が可能となるでしょう。
データ取得に必要なツールとデータ
オウンドメディアを効果的に運営するには、データ分析を行い、PDCAのサイクルを回していくことが大切です。
よく使われる分析ツールは、Googleが提供している「アナリティクス」と「サーチコンソール」です。
ここでは、それぞれの特徴と何ができるかを紹介します。
アナリティクス
アナリティクスはGoogleのアクセス解析ツールです。
サイトにどれくらいのアクセスあるのか、ユーザーの性別や年齢層、PCかモバイルか、どのサイトからやってきたのかなど、実に広い範囲を分析できます。
「直帰率」や「滞在時間」も計測できるので、オウンドメディアの分析には必須ツールです。
サーチコンソール
サーチコンソールは、Googleが提供するSEO分析ツールです。
オウンドメディアを訪問したユーザーがどんなキーワードで辿り着いたかがわかり、ユーザーのニーズが把握しやすくなります。
サーチコンソールで分析すると想定していなかったキーワードでの訪問を発見できることもあり、新しい記事ネタにすることもあります。
アナリティクスとサーチコンソールは、オウンドメディア運営に欠かせない必須ツールといえます。
キーワード順位取得ツール
キーワード取得ツールには、オンラインで1~10個程度のキーワードの順位をチェックするツールから数百個のキーワード順位を毎日定時に測定できるものまでさまざまなものがあります。
それぞれの特徴を理解して、自サイトにぴったりのツールを探しましょう。
テストの実施方法
オウンドメディアをより効果的に運営していくために、さまざまな角度からテストを行って結果を分析し、PDCAを回していくことをおすすめします。
オウンドメディアの分析でよく使われるのが「ABテスト」です。
ABテストとは、AパターンとBパターンの2つのコンテンツを用意して、どちらがコンバージョン率やクリック数が多いかを測定するものです。
ABテストを繰り返すことで、アクセス数や滞在時間、CV率などを改善できるので、ぜひ取り入れてみましょう。
オウンドメディアの成果が出ない理由
オウンドメディアのアクセス数が増えない、CV率が低いなど、思ったとおりの成果が出ない場合は、その原因を探って対策をとる必要があります。
成果が出ない原因として、以下によくある4つの理由をあげます。
目的が明確になっていない
認知度向上なのか、集客なのか、ブランディングなのか目的が明確になっていないと、コンテンツに一貫性がない状態となってしまいます。
オウンドメディアは、自社の製品ジャンルに特化して運営するほうが、SEOにも効果が見込めます。
オウンドメディアの記事に一貫性がない場合は、まず残したいテーマを絞り、テーマと違う記事はリライトするか非公開としましょう。
運用期間が充分でない
オウンドメディアは効果が出るまで時間がかかります。運用期間が充分でない場合は、結果はまず出ません。
数ヶ月〜1年単位のスパンで考えるようにしましょう。
新規ドメインで記事数が少ない場合は、とくに時間がかかります。
焦らずコツコツを記事を積み上げていき、社内理解も得ておくようにしましょう。
ユーザーの求めるコンテンツを提供できていない
検索キーワードは、ユーザーの「質問」です。
その「質問」に対してしっかりした「答え」を書いていないコンテンツは、ユーザーにとっては価値のないものになってしまいます。
アナリティクスの分析したとき、直帰率が高くページの滞在時間が短いページはユーザーが求めるコンテンツになっていない証拠です。
そうしたページを見つけたら「このキーワードで検索した人は、どんな答えを求めているのか?」を再度検討し、修正を行いましょう。
SEO対策を行なっていない
そもそもSEO対策を行っていないケースです。
タイトルにキーワードが入っていない、共起語を意識せずに記事を書いているといった場合、検索上位表示は難しいでしょう。
検索意図を意識して、タイトルと記事内容を見直しましょう。
オウンドメディアの成功事例
ここで「オウンドメディアとは何か、どのように制作・運営するのかはわかったけど、成功しているオウンドメディアってどんなものなの?」と思った方もいるのではないでしょうか。
そこで、いくつかオウンドメディアの成功事例をご紹介します。
北欧、暮らしの道具店/クラシコム
北欧、暮らしの道具店はオウンドメディアの成功事例として非常に有名なサイトです。
もともとは北欧雑貨やインテリアなどをメインとするECサイトでしたが、記事コンテンツを追加してオウンドメディア化したことで、独自の世界観を余すことなく発信できるメディアとなっています。
Facebookのいいね!数は約42万人、Instagramフォロワーは111.1万人と、女性を中心に多大な支持を得ています。
北欧、暮らしの道具店
アマノ食堂/アサヒグループ食品
2015年7月の開設からわずか1年余りで月間100万PVを達成したアマノ食堂。
アマノ食堂はコンテンツマーケティングの王道といえるターゲット・ペルソナに届かせるコンテンツ制作と、地道なコンテンツSEOに取り組み、現在では人気メディアの一つとなっています。
製品を直接売り込むことは一切せず、コンテンツ部分と製品の紹介部分を明確に分けた作りが特徴です。
Twitterとリアル店舗との連動キャンペーンなど新しい取り組みも精力的に行っており「次はどんなコンテンツが出て来るのか」と楽しみにできるメディアといえます。
アマノ食堂
LIGブログ/株式会社LIG
「オウンドメディアに詳しくない」という人でも、LIGのサイトは見たことがあるのではないでしょうか。
LIGは東京・上野にあるWebサイト制作会社で、オウンドメディアの成功事例として多くのメディアでピックアップされています。
ライターが「やってみた」「体験してみた」系の記事や面白コンテンツが豊富にあり、読み物としてついつい長時間閲覧してしまうサイトです。
それだけファン層も厚く、SNSからの流入が多いサイトとなっています。
サイボウズ式
サイボウズのオウンドメディアもまた、成功事例として有名です。
働き方の多様化をテーマとして、サイボウズの取り組みや社員の気づき、悩みなどを具体的に掘り下げた記事が中心となっています。
サイボウズは働く時間帯と場所を制限しない「ウルトラワーク」を導入するなど、新しい働き方を積極的に取り入れている企業です。
そうした姿勢や一つ一つの課題などもオウンドメディアで発信することで、企業ブランディングや採用にポジティブな効果を与えていることがうかがい知れます。
その他オウンドメディアの成功事例
採用オウンドメディアの成功事例8選。成功のポイントとは?
まとめ
オウンドメディアはコンテンツマーケティングの有効な手段として、今後ますます重要になってくるでしょう。
ユーザーの検索ニーズを満たし、役立つコンテンツを増やせば増やすほど、それはあなたの会社にとって大きな資産になります。
一つ一つの記事が、有効な集客の窓口になるのです。
記事を増やせば増やすほど、集客チャネルが力をつけていくというイメージです。
明確な目的と目標を設定し、コツコツと記事を積み上げていきましょう。
この記事を書いた人
もりしん
企画デザイン会社で20年のライティング歴をもつWebライター。IT関連、Webマーケティング関連、ビジネス関連のライティングを得意としている。自身もWordPressブログを運営し、WordPress関連のスキルやノウハウも有する。