「採用をかけているのに、いい人材が全然集まらない!」
「求人媒体から応募は来るけど、求める人材とは違う人が多い」
とお悩みではないでしょうか?
優れた人材を獲得するには、求人媒体で適切なアプローチを行うほかに「オウンドメディア採用」という方法があります。
オウンドメディア採用では自社のビジョンや社風を自由な形式で伝えられるため、オウンドメディアをとおして応募する求職者はそれらを深く理解したうえで応募することがほとんどです。
そのため、オウンドメディア採用は企業の求める人材とマッチングしやすくなるというメリットがあるのです。
しかし、実際どのようにしてオウンドメディアから採用につながるのか、イメージしにくいという方もいるでしょう。
そこで今回は
- 採用オウンドメディアのメリット、デメリット
- 採用オウンドメディアの事例8つ
- 採用オウンドメディアの事例から見る成功のポイント
をご紹介します。
記事を最後までお読みいただければ、オウンドメディアの事例に共通する成功のポイントを理解し、自社とマッチする人材の獲得につなげることができます。
目次
採用オウンドメディアとは?どんなメリットがある?
採用オウンドメディアとは、名前のとおり「採用」に目的を絞ったオウンドメディアのことを指します。
オウンドメディアというと、一般的に顧客に向けて情報を発信する自社媒体をイメージする方が多いかもしれませんが、オウンドメディアはPRやブランディング以外に、採用にも活用できるのです。
採用を目的としたオウンドメディアをもつ企業は増加傾向にあるのは、サイボウズや日本マクドナルドなどを始めとして、オウンドメディアからの採用を成功させている企業があるからです。
また、採用オウンドメディアには以下のようなメリットがあります。
- 人材のミスマッチを減らせる
- 企業のビジョンや社風を自由な形式で伝えられる
- 「求職段階ではないが潜在的なニーズのある層」にリーチできる
- 資産化でき、長期的に見ればコスト削減につながる
これらのメリットは具体的にどのようなものなのか見ていきましょう。
企業のビジョンや社風を自由な形式で伝えられる
オウンドメディアでは属性の違う社員のインタビューや定期的なイベントレポート、社内風景など枠にとらわれないコンテンツ制作ができます。
求人媒体で人材を募集する際には、紙面・Webに関わらず掲載できる文字数や写真の数、レイアウトなどに制限があるのが一般的です。限られた枠の中で伝えたいことを絞って伝えなければならないため、効率よく人材を募集できる反面、他社との差別化が難しくなります。
しかし採用オウンドメディアでは、インタビューや社員コラム、イベントレポート、動画など、既存の枠にとらわれず自由な形式で発信できるのです。
「採用と関係のないコンテンツを発信してユーザーに楽しんでもらい、ゆっくりと会社のファンに近づいてもらう」「会社のカラーを全面に押し出したメディアにし、理解につなげる」といった方法も可能です。
「求職段階ではないが潜在的にニーズのある層」にリーチできる
オウンドメディアは発信するコンテンツによって、求職者以外の多くのユーザーを集めることもできます。
採用サイトや求人媒体は一般的に求職段階にある人しか見ないため、潜在的な求職ニーズのある層にリーチできません。
しかし採用オウンドメディアでは、商品やサービス、業種、ポジション、働き方、業界用語などでSEOを行なうことで、現段階では求職中でないが潜在的ニーズがあり、会社とフィットする人材とのつながりを作ることができます。
オウンドメディアではコンテンツ次第で、これまで共通点を見出していなかった他業種からの応募も獲得できる可能性があるのです。
人材のミスマッチを減らせる
採用オウンドメディアは、人材のミスマッチを減らすことも可能です。
採用サイトでは掲載する項目が限られているため、求職者が入社後の具体的な働き方や自分が働いている姿をイメージしにくく、入社後にギャップを感じることも多くあります。
求職者にとってはもちろんですが、企業にとっても採用にかけるコスト・時間的コストを考えれば、入社後のミスマッチは避けたいものです。
採用オウンドメディアで求職者にとって伝わりやすい形で社風や環境などを発信すれば、会社の在り方に共感し、理解したうえでの応募が増えるでしょう。
どんな会社なのか、どのような理念で事業を行なっているのか、社員はどのように働いているのかなどが事前にわかる状態にしておけば、採用のミスマッチは大きく減らすことができます。
資産化でき、長期的に見ればコスト削減につながる
オウンドメディアを一定期間運営したうえでサイトを訪れるユーザーを分析すれば、アクセスを集められるコンテンツや応募につながりやすいコンテンツがわかるようになります。ニーズに沿ってコンテンツの改善を繰り返せば、応募数を高める、採用の精度を上げることが可能です。
PDCAを繰り返して成長した採用オウンドメディアは、採用ルートの一つとして大きな力となるでしょう。
また、求人媒体は広告と同様、出稿に対して反応が得られるものです。しかしオウンドメディアを適切に運営すれば、広告に頼らなくても長期的に応募を集められる仕組みができます。
オウンドメディアはサイト制作やコンテンツ制作にコストがかかるものの、資産化でき、長期的に見ればコストの削減につながるといえます。
採用オウンドメディアのデメリット
採用オウンドメディアにはデメリットもないわけではありません。
メリットとデメリットを比較して、採用オウンドメディアの必要性を検討してみましょう。
採用が可能になるまでに時間がかかる
オウンドメディアの記事が狙ったキーワードで検索結果の上位に表示されるまでには、適切なSEOを行なっていても数か月の期間がかかるのが一般的です。
そのため、採用オウンドメディアから採用が可能となるまでにはある程度期間がかかることを理解したうえで始める必要があります。
これは担当者だけでなく、社内全体で理解しておかなければ「オウンドメディアを始めてみたけど、いまいち効果が出ないから止めてしまった」といった事態になりかねません。
成果が出る下地を整えたのにも関わらず、短すぎる目標期間で運営をストップしてしまえば労力やコストなどの投資は回収できないため、あらかじめ社内の共通認識となるよう充分に理解を得ておきましょう。
作業量が多い
成果を出すことを前提にオウンドメディアに取り組むと、著しく作業量が増えるのは否めません。
オウンドメディアを始める際には、サイト構築やドメイン・サーバーの準備、デザイン、文章の執筆など多数の作業が必要となります。オウンドメディア運営がスタートすれば記事コンテンツを継続的に追加し続けなければなりません。
また、SEOで上位表示を狙うのであれば充実したコンテンツを作成する必要があり、充実したコンテンツを作るには時間がかかります。コンテンツの企画からライティング、投稿するまでには多数の工程が必要なのです。そのため、他の業務の片手間にオウンドメディアを運営し、成果を上げるのは難しいでしょう。
作業量の問題を解決するには、外注を活用してオウンドメディア運営にかかる作業そのものを減らす方法があります。
記事の代行サービスにはSEOに特化したサービスやインタビューに対応可能なサービス、低予算・小ロットでも依頼できるサービスなどさまざまなものがあります。
採用オウンドメディアと採用サイトとの違い
ここで「すでにある自社の採用サイトはオウンドメディアではないのか」といった疑問が浮かんだ方もいるかもしれません。
たしかにオウンドメディアとは本来自社が運営するサイトやブログなどの総称のことですから、広義でいえば採用サイトもオウンドメディアの一つといえます。
しかしオウンドメディアはコラム集のようなスタイルをとることが多く、旬のニュースやイベントレポート、連載など新しいコンテンツを投入しやすいのが特徴です。
一方、採用サイトは更新する部分が限られていて、募集要項や条件など採用に直接関係する情報しか掲載しないのが一般的です。
採用オウンドメディアと採用サイトの違いには、コンテンツの内容と更新頻度が挙げられます。
採用オウンドメディアで発信すべきこと
採用オウンドメディアでは、採用サイトで発信している企業理念やバリューなどに加えて、よりユーザーにとって身近なコンテンツを発信することをおすすめします。
たとえば、下記のようなコンテンツです。
・事業内容
扱う商品やサービスの活用法、使用例、シチュエーションなど
・業務内容
実際の働き方を部門やポジション別に事例とともに紹介
・人間関係
社員紹介・社員インタビュー、社員コラムなど
・企業文化
監修や社内用語など
・環境
オフィスの環境や周辺環境、使用するツールなど
採用オウンドメディアの成功事例8選
それではここで、採用を目的としたオウンドメディアの成功事例として8つのサイトをご紹介します。
すでにオウンドメディア採用に取り組んでいる企業の事例を見てみるとそれぞれが個性的であり、求人媒体上では伝えることのできない魅力が伝わってきます。
求職者へのアピール方法として、採用活動のヒントとなるでしょう。
トップページはそれぞれがまったく違ったスタイルをとっていますが、一つひとつ見ていくと成功のポイントともいえる共通点があるのがわかるはずです。
1.ナイルのかだん/ナイル株式会社
Point
- オーソドックスでユーザビリティの高いデザイン
- タグ検索優先の見た目で目当てのコンテンツにたどり着きやすい
- インタビューコンテンツが豊富
「ナイルのかだん」は、シンプルなデザインながら働く人たちの「あたたかさ」が伝わってくる採用オウンドメディアです。
ナイル株式会社はSEOを主軸とするデジタルマーケティング事業のほか、モバイルアプリ紹介サイトAppliv(アプリヴ)を運営し、さらにモビリティサービス事業として「おトクにマイカー 定額カルモくん」とカーリース事業まで幅広く手掛ける企業です。
そのため「どんな会社で、どんな人が、何をやっているのか」をわかりやすく伝えることを大切にしている印象となっています。
https://r-blog.nyle.co.jp/
2.サイボウズ式/サイボウズ株式会社(Cybozu, Inc.)
Point
- 働き方の大テーマをさまざまな角度で発信
- 漫画やイラストで分かりやすく伝える
- 「全員取締役」「クソ仕事」などキャッチーな言葉選び
多くのビジネスパーソンの働き方に影響を与える「サイボウズ式」は、働き方や会社の在り方、会社と社員の距離感などをテーマとした記事がずらりと並ぶのが特徴です。
ポップな漫画やイラストが多く使われているので、どのテーマも身近な話題に感じられます。また「全員取締役」「クソ仕事」など「え?何、どうゆうこと」とついクリックしたくなるキャッチーなタイトルが多くあり、気が付けば長時間読みふけってしまうかもしれません。
3.OnLINE/LINE株式会社
Point
- 社風や取り組みなど、見えにくい部分を徹底的にオープンにしている
- 専門職や出戻り社員のインタビューなどのコンテンツもあり
LINEの採用オウンドメディア「OnLINE(オンライン)-LINEでは、こうしてます。」は、メディアタイトルと一貫したコンテンツ制作が特徴的です。
ふだんなかなか知ることのできない社内トレーニングの情報や専門職の内容などを徹底的に詳しく紹介していて、オウンドメディアを見ただけで「LINEってこんな会社なんだ」と大まかなイメージが得られるサイトとなっています。
社風や取り組みなどその時期の最新のLINEを誠実に伝えていて、求職者にとって信頼できる会社と感じられるオウンドメディアです。
https://line-online.me/
4.フルスイング/株式会社ディー・エヌ・エー
- Point野球の用語を散りばめた言葉選び
- 更新頻度が高い
トップのグローバルメニューには「PEOPLE」と「CULTURE」の2つだけを配置した「フルスイング」は、シンプルな記事スタイルで働く環境や自社の持つ技術などを紹介しています。
「DeNAってベンチャーなの?大企業なの?」といった疑問に回答する記事を始めとして、企業の「今」を伝えるメディアとなっています。
更新頻度が高く3~4日に1回は新しい記事が投下されています。サイトを見れば常に新しいコンテンツがあるのは、ユーザーの再訪につながりそうです。
フルスイング
https://fullswing.dena.com/
5.UB Journal/ユーザーベース
Point
世界観とメッセージ性で興味のある人を強く惹き付ける
経済情報プラットフォームの「SPEEDA」、経済ニュースメディア「NewsPicks」などを運営する株式会社ユーザベースの「UB Journal」は、メッセージ性の強いオウンドメディアです。
トップページの最も目立つ場所にはユーザベースの掲げる「自由主義で行こう(Be free & own it)」のメッセージが掲載されており、一つひとつの言葉に重みがあります。
UB Journal
7.FEATURES/サイバーエージェント
Point
- スタイリッシュでインパクト大のデザイン
- 図やイラスト、写真を多用した直観的なコンテンツ
サイバーエージェントのオウンドメディア「FEATURES」はファッション雑誌のようなインパクトのあるデザインです。
記事自体も図やイラスト、吹き出しなどを多用することで、直観的に情報を得られるコンテンツとなっています。
8.Mcdonald’s Recluting WEB/日本マクドナルド株式会社
Point
- メッセージ性の高いメディア
- さまざまな立場の人のインタビューあり
日本マクドナルド株式会社の採用オウンドメディア「Mcdonald’s Recluting WEB」は、ユーザベースと同じくトップページを開いてすぐの箇所に企業メッセージが掲載されているスタイルです。
転職情報サイトindeedの運営する「Owned Media Recruiting」のインタビューでは、2020年の応募数は前年比2倍、3月以降はオウンドメディアと求人媒体からの応募が6割近くとなったとのこと。
そうした成功の理由はコンテンツの充実にあるといえます。さまざまなポジションの社員インタビューや事業でのユニークな取り組みなど「マクドナルドならでは」といえるものが多く詰まったオウンドメディアです。
https://www.mcdonalds.co.jp/recruit/crew_recruiting/
採用オウンドメディア事例から見る「成功のポイント」とは?
ここでは、ご紹介した8社の事例から採用オウンドメディアの成功のポイントについて考えてみましょう。
今回ご紹介した8社のメディアを一つひとつ見ていくと、すべてのメディアで下記の3点が共通していました。
- 社風・技術・取り組み・環境などをオープンにしている
- 感情が伝わるコンテンツがある
- 更新頻度が高い
それぞれを詳しく説明していきます。
社風・技術・取り組み・環境などをオープンにしている
働き方に対する価値観が多様化する今「実際に働き始めたらどのような環境で働くのか」「どんな目的を持って働くのか」など、給与や待遇以外の面を重視する人が増えています。
しかし社風や技術、取り組み、具体的な就労環境などは採用サイトや求人媒体の募集要項だけでは伝わりにくいものです。採用のためのオウンドメディアでは、企業の具体性を求める人への回答となるコンテンツを自由な形式で発信できます。
ただし「上層部を含めて企業の情報をオープンに発信することに抵抗がないか」という点がクリアできていないと、採用オウンドメディアを制作しても表面的なものとなってしまう可能性があるため注意しましょう。
感情が伝わるコンテンツがある
今回ご紹介した8つの採用オウンドメディアでは、すべてのメディアで社員のインタビューを掲載しています。
社員インタビューでは「働き始めてから現在までで大変だったこと」や「立ち向かっているミッションに対する思い」など、働く人の感情にフォーカスして掘り下げている部分が多く見られました。
その企業の社員でなければ、そのポジション・その人でなければ語れない話はコンテンツのリアリティをぐっと高め、求職者は「もしこの企業に入ったら?」と、将来的な自分の姿をイメージしやすくなります。
また、こうした感情の伝わるコンテンツは「舞台裏」に近いものがあり、求職者の共感や期待感につながり、企業のファンになってもらうために効果的です。
更新頻度が高い
どの採用オウンドメディアでも更新頻度は高く、おおよそ3~4日に1記事はアップされている状況です。
更新頻度が高ければユーザーの満足度は高くなり、より関係性も深まります。
更新のしやすさはブログ形式のオウンドメディアの強みでもありますから、積極的に更新し、ユーザーにとって鮮度の高い情報を伝えていきましょう。
採用オウンドメディアを成功させるには、事例に共通するポイントを実践できる環境づくりから整えていくことが大切です。
まとめ
今回ご紹介した8つの採用オウンドメディアは、どれもオウンドメディア採用の参考となるはずです。
オウンドメディア採用を検討中の方はとくに、情報の切り出し方や伝え方に注目し、優れていると感じた点は取り入れてみましょう。
「オウンドメディアに取り組みたいけど、社内リソースが足りない」という場合には、記事作成代行の外注サービスの活用をおすすめします。
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