「ペルソナ」を正しく使えているでしょうか。

「なんとなく知っているけど、使おうとするといまいち使い方がわからない」

「使っているけど、効果的に使えているんだろうか」

と疑問に思っている方は、もう一度ペルソナとは何か、ペルソナの役割を見直してみましょう。

ペルソナはターゲット層と混同して見られがちですが、ターゲット層により具体的な人格を充てたものがペルソナで、ターゲットとは別の意味を持つ言葉です。

この記事では、WEBマーケティングの施策を考える時に欠かせないペルソナについて、詳しく記事にしています。
ペルソナについて詳しく知りたい方はぜひ、内容をご確認ください。

ターゲット像を掴むペルソナ設定の方法

ペルソナとは想定しているターゲット層により具体的な人格を与えて、仮想のユーザーを設定する概念です。
以下に詳しく解説します。

ターゲット情報を元に架空の人物を創作する

ペルソナとは、サービスや商品を購入するであろうと予想される、平均的なユーザー層を具体的に描いたものです。

仮想の人格を形成するために、年齢や性別、住まい、職業などより具体的な情報を与え、リアリティのあるユーザー像を描き出します。

具体性があればあるほど、その人に合った施策を行うことができるのです。

ピンポイントな絞り込み

ペルソナ設定は、より具体的に人物の背景を描き出すことがポイントです
以下、BtoB営業におけるペルソナ設定の一例を表にまとめました。

氏名 和田美紀
性別 女性
年齢 35
勤続年数 5年
勤務先 株式会社ネクスト
資本金 3,000万円
年間売り上げ 15億円
従業員数 100人
事業内容 WEBコンテンツ制作
所属部署 メディア運営
役職 チームリーダー
決裁権 最終的な決裁は社長だが、メディア運営に関する決定は任されている
会社の問題点 メディア運営事業部は順調に売上を伸ばしているが、受注の数にたいして十分に対応できていない。
コンテンツの質の低下も懸念されるため、人を増やすか、業務を効率化するか悩んでいる。

 

ペルソナがおかれている状況とその背景が分かると、その時点でどのようなアクションを起こすのが最適なのか、どのような施策や情報提供が有効なのか絞り込みが容易になります。

上記のペルソナでは、中小企業にありがちな組織運用のつまずきを見て取ることができ、業務改善支援か、人材サービスのニーズが予想できます。

会社規模や年齢、勤続年数によって、決裁権の割合を予測し、商談の対策も練ることができるのです。

ペルソナ設定は、ピンポイントな施策を考えて実行する際に、とても役立ちます。

刺さるコンテンツにはペルソナが設定されている

ピンポイントにユーザーに刺さるコンテンツには、入念なペルソナ設定がされています。
ペルソナ設定の具体的なメリットについて解説します。

ペルソナ設定のメリット

ペルソナ設定を行うメリットとして以下の3点が挙げられます。

共通認識のもと強いコンテンツが作成できる

ペルソナを設定し、部署内で共有することでメンバーの認識を同じくし、一点に向けて意識を集中することができます。

認識が統一されたメンバー間で作られるコンテンツや施策は、よりピンポイントに顧客に届きやすくなります。

戦略を練る過程においても、認識を同じくしたメンバーであれば、見当違いの意見相違もなく、スムーズに進めることができるでしょう。

想定ユーザーのニーズを発見できる

さまざまな人のデータを元に入念にペルソナを設定すると、新たに関連するニーズを発見できます。

多くの人に届けようと広くターゲット層を想定すると具体性に欠く施策となってしまいやすく、響くコンテンツができません。

詳細なペルソナを設定する過程で新たなニーズに気が付き、結果的に多くの人に響く施策やコンテンツが完成するのです。

ピンポイントな対策や施策の実施

ペルソナ設定によりユーザー像が明確になっていれば、とるべき施策やその対策などがより明確となり、具体性を持った販売戦略やコンテンツ作成の立案が可能となります。

WEBマーケティングの施策の一つに、カスタマージャーニーマップの作成がありますが、ペルソナ設定ができていればカスタマージャーニーマップを活用したピンポイントな訴求が可能です。

ペルソナの設定の有無によって訴求の内容は大きくことなるでしょう。

ペルソナを設定する時の注意点

WEBマーケティングにおいて重要なペルソナ設定ですが、実際に設定を進める時の注意点について解説します。

有力な一次情報を元に設定する

勝手な思い込みで都合の良いペルソナを設定しても効果がありません。

実際にいる人をモデルに、さまざまな情報を集め、具体的な人物像を描き出す必要があります。

事業に沿った具体的なペルソナを設定するための有力な情報源は、WEBサイトに寄せられた問い合わせの内容や、セミナーや展示会で得られた顧客情報です。

できるだけ多くの情報を統合し、リアルなペルソナ設定を行いましょう。

シンプルかつリアルな人物設定

多くの顧客情報をもとにペルソナ設定を行ったあとは再度見直し、余計な情報を削除して最終的にシンプルなペルソナに仕上げます。

リアルさが足りないようであれば、身近にいる人も併せて参考にすることで、よりリアルなペルソナ設定が可能です。

ポイントはシンプルかつ、本当に存在しそうなペルソナを設定することです。

トレンドに沿った設定の見直し

一度設定したペルソナは、定期的に見直しを行い、適宜設定からやり直すことも考えなければいけません。

会社の事業内容の変化や、世の中のトレンドの変化によってペルソナの行動や思考にも変化が現れます。

その時の背景に併せて、ペルソナ設定を見直し、状況に合致する設定を再度考え直す必要があります。

ペルソナ設定でおさえておきたいポイント

ペルソナ設定の大きな流れと抑えるべきポイントを以下に解説します。

商品やサービスの強みを見直す

自社の商品やサービスについて熟知していないとペルソナを設定することはできません。

自社サービスを客観的に見るためには他社のサービス分析や、業界のマーケット研究も必要です。

競合他社との違いや、業界のマーケット内での立ち位置を認識することで、改めて自社の強みや優位性を知ることができます。
自社の強みが明らかになれば、ペルソナに対する訴求ポイントがより鮮明になるでしょう。

パーソナリティを確立する項目の設定

パーソナリティに関する項目の設定によって、ペルソナの人物像がより鮮明になります。

したがって、できるだけ細かく、人物に関する項目を設定していきましょう。

提供するサービスや商品によって異なりますが、氏名、年齢、性別のような基本情報の他に、学歴、職歴、価値観、家族構成、生活パターンなども盛り込むと、パーソナリティがより鮮明になるでしょう。

有力な情報を元にペルソナをつくる

設定した個人の項目に、実際の具体的な内容を当てはめていきますが、前述のとおり、ペルソナ設定は客観的事実に基づいた正しい情報によって行わなければいけません。

思いつきで項目を埋めずに、客観的なデータを元にペルソナを作り上げます。

問い合わせやセミナーで得た顧客情報の他に、クラウドソーシングサイトを使ったアンケート収集や、市場調査会社への依頼も有効な手段です。

検証と分析

ペルソナの設定にもPDCAは重要です。

ペルソナ設定の計画、立案から実際に稼働して、結果を検証、必要に応じて商品やサービスのマイナーチェンジ、ペルソナの再設定を行います。

サイクルは年度の四半期、や前期、後期など、会社の都合に合わせて設定します。

検証の際の項目も事前に用意しておき、しっかりと分析できるようにしておきましょう。

BtoBビジネスのペルソナ設定の実例

BtoBビジネスでのペルソナ設定の実例を以下に紹介します。

企業属性の設定

BtoB営業のエンドユーザーは、消費者ではなく企業となり、ペルソナの対象は企業の担当者となります。
したがって、ペルソナが属する企業の属性を項目としてピックアップします。
具体的には、業種や業界、売上の規模、その業界のマーケットにおける立ち位置などが挙げられます。

担当者の属性を設定

企業に属する担当者の属性を明らかにします。
担当者の性別や年齢、所属部署、部署の人数、役職の有無などを具体化することで担当者の置かれた背景を鮮明にします。
BtoB営業は、一つの製品の導入検討に複数の担当者が関わることが多いため、「情報収集担当者のペルソナ」「IT関連担当者のペルソナ」という具合に、それぞれにペルソナ設定しておく必要があります。

担当者が抱える課題などを設定

企業の属性と担当者の属性が出来たら、情報に対してさらに肉付けしていき、具体的なペルソナを完成させます。
BtoC営業の場合、家族構成やライフスタイル、趣味という項目が重視されますが、BtoB営業では、所属部署での業務内容や抱えている問題、担当業務への取り組み姿勢という業務に則した情報に重きをおきます。
さらには、決裁権、よく使う情報収集メディアなどあればなお良いでしょう。

氏名と顔写真の設定

全ての項目が完成して、ペルソナが出来上がったら最後に名前と写真をつけて完成です。
写真は必須ではありませんので、イラストでも問題ありません。

名前や写真までつける必要があるのか?という疑問をお持ちの方もいると思いますが、名前や写真をつけることでペルソナがより具体化され、ピンポイントな施策や、訴求ポイントが生まれやすくなる効果があります。

したがって、ペルソナが完成したら名前と写真をつけておきましょう。

ペルソナを活かしたWEBマーケティング

ペルソナが設定されていることで実現できる、WEBマーケティングの代表的な施策を紹介します。

顧客を巻き込んだ施策の実施

顧客の属性や要望をよく理解することで、顧客を巻き込んだ施策も展開しやすくなります。

カスタマーサポートにWEBマーケティングの手法を取り入れた施策で、カスタマーエクスペリエンスやカスタマーサクセスと呼ばれるものです。

従来のカスタマーサポートは、顧客からの問い合わせに対応する待ちの姿勢が基本でしたが、新しいカスタマーサポートは、企業側から働きかけて顧客に新しい体験を促したり、驚きを与えます。

このような施策のカギとなるのは、SNSなどデジタルツールです。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスとは、顧客を成功へ導くための試みのことを指していいます。
顧客が成功している状態とは、商品やサービスを使う事で期待とおり、もしくはそれ以上の成果を得られたり、目的を達成することをいいます。
カスタマーサクセスの内容を一言でいうと、顧客の歩く道をあらかじめ整えて、ゴールまでの道筋を教えてあげることです。
そのために、あらかじめ先回りして問題を解決したり、要望に応じて都度サービス内容を改善したりします。
今後のカスタマーサポートは、能動的に顧客満足を獲得するカスタマーサクセスやカスタマーエクスペリエンスが重要な要素となるでしょう。

カスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品を見つけて購入するまでのプロセスを可視化したものです。
例えるなら、すごろくのスタートが商品の認知で、ゴールが購入となります。
さいころの目は施策の効果を表し、良い施策が打てたときはユーザーのニーズが高まりゴールへ近づきます。
すごろくと異なり、カスタマージャーニーマップではユーザーが途中離脱します。
ペルソナ設定がしっかりできていれば、ユーザーのニーズに合わせてピンポイントな施策を展開できますので、無事ゴールまで導くことができるのです。

まとめ 顧客を巻き込む施策にはペルソナ設定が必須

WEBマーケティングでは、ユーザーを巻き込みつつ、お互いに成果を上げたり、目的を達成することが基本的な考え方となっています。
したがって、ユーザーに対して適切な対応や施策を行うには、あらかじめペルソナ設定を行い、ピンポイントな訴求を行う必要があります。

想定されるユーザー層さえ間違えていなければ、ユーザーの成功を獲得するのはさほど難しいことではありません。

WEBマーケティングで成果を目指す場合、ペルソナ設定はしっかり行っておきましょう。