「マーケティング戦略」というと、何やらすごい言葉のように聞こえるかもしれません。
しかし実は、マーケティング戦略とは「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」というシンプルな考え方です。
マーケティング戦略は商売をする上で「核」ともいえる部分であり、地域の八百屋さんから大企業まで幅広い立場の人に役立ちます。
そこで今回は、マーケティング戦略をわかりやすく解説します。
「なんとなく聞いたことはあるけど、よくわからない」という人でも、理解・実践につなげられるように説明しますので、順を追って読んでみてください。
内容を簡単にまとめると…
- マーケティング戦略とは「誰に、どんな価値を、どのように提供するか」の計画
- マーケティング戦略に役立つフレームワーク
記事を最後まで
目次
マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、自社の商品やサービスを市場・顧客に対してどのように提供するかを決めて、実行するための計画のことをいいます。
マーケティング戦略は
- 誰に向けて
- どんな価値を
- どのように提供するか
を軸として、商品やサービスの普及、継続利用を目指していきます。
「マーケティング戦略」という語感と、戦略の実行に伴って調査やフレームワークの活用が必要となることから「難しそう」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかしマーケティング戦略の根本は非常にシンプルで、業界や商材を問わずに使える「考え方」です。
この考え方をベースとして「考えをスムーズに実現化するためにフレームワークを使う」ととらえれば、混乱しにくくなるでしょう。
マーケティング戦略の立て方
それでは、マーケティング戦略の立て方を見ていきましょう。
マーケティング戦略の「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」を策定するには、以下のようなフレームワークを使うとスムーズです。
- 誰にアプローチするか:STP分析
- どんな価値を提供するか:3C分析、STP分析
- どのように提供するか:マーケティングミックス(4C)
マーケティング戦略は自社の状況や目標などを基に立てていきますが、フレームワークを使うとこれまで気が付かなかった強み・弱み、環境やそれによる影響などが発見できることがあります。
また、フレームワークを使って情報を整理すると参画メンバーの共通認識を高めることができ、誤った認識のまま進むことがありません。
誰にアプローチするのか、STP分析で明確にする
誰に向けてアプローチするのかを決定するには、セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングを行ないます。
セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングのプロセスは、それぞれの頭文字をとって「STP分析」と呼ばれています。
セグメンテーションとは、市場を同じ属性を持つ人のグループに細分化すること。
代表的な分類方法には以下のようなものがあります。
- 地理的変数(ジオグラフィック変数)…地域や地域ごとの特性を基に分ける
- 人口統計的変数(デモグラフィック変数)・・・年齢や性別、職業、所得や学歴、家族構成などを基に分ける
- 心理的変数(サイコグラフィック変数)・・・価値観や主義、趣味嗜好、ライフスタイルなどを基に分ける
- 行動変数・・・購買状況や購買頻度、購買の条件、使用頻度など、消費者の実際の行動を基に分ける
セグメンテーションを行なった時点で、扱う商品にニーズがあるか見えてくるでしょう。
ターゲティングとは、細分化した市場で自社の強みを最もを活かせるグループを見つけることです。
ポジショニングでは、グループの大きさやニーズの動向、競合などの面を調査し、最も優位にアプローチできる場所を探しましょう。目指すべき立ち位置はどこなのか、自社の強みや市場の状況を考慮して最良のポジションを見つけます。
STP分析の注意点
STP分析で注意したいのが、ターゲットを広げ過ぎてしまうことです。
ターゲットが広すぎれば幅広い人に向かって呼びかけることになり、結果「誰にも響かない」ということが起こります。シェアの最大化を目指すあまり、根拠もなしにターゲット層を拡大しないよう注意しましょう。
これらを防ぐには、市場の動向に目を光らせて、ターゲティングが適正かを定期的にチェックすることが大切です。
どんな価値を提供するか:3C分析
どんな価値を提供できるかを考えるには「3C分析」のフレームワークを使って考えるのがおすすめです。
3C分析とは環境分析のためのフレームワークで、顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Corporation)をそれぞれ分析し、成功要因となるのは何なのかを探っていきます。
顧客・市場の分析では、PEST分析や5FORCE分析を併用し、具体性を高めていくようにしましょう。
また分析に必要なデータは、インターネットを使えば誰でもある程度収集できる時代となっていますが、実際の調査を行なって初めて実像が見えてくる可能性もあるため、公開データだけに頼らず積極的にアンケートやインタビュー、ヒアリングなどを行なうことをおすすめします。
バリュープロポジション
バリュープロポジションとは「顧客の商品価値」「商品やサービスを利用することによって得られる実益」のことをいいます。
企業が想定した価値と顧客が実際に感じている価値には違いがある可能性もあるため、顧客目線で考えることが重要です。
また、バリュープロポジションは3C分析の円が重なった部分に当てはめることができます。自社の扱う商品やサービスは、顧客にどんな価値を与えられるかを明確にしましょう。
理想的な価値は「顧客からのニーズが高いが、他社は提供できない。しかし自社は提供できる」ものです。独自性の高い価値を提供できれば、顧客が商品を選ぶ理由を作ることができます。
次に、市場のニーズと競合の提供する価値を見比べ、どんな点で差別化できるかを考えます。
どのように提供するか:4P分析の実施
4P分析とは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の頭文字をとったフレームワークで「提供方法」を具体的に考えるためのものです。
4P分析を行うことで、差別化できる点は製品の優位性だけではなく、価格や提供方法などさまざまなポイントに隠れていることを実感できるでしょう。
自社の強みが活かせる方法を見つけるには「商品がユーザーの手元に届き、利用するまでの過程」に沿って、ポイントをリストアップしていくとわかりやすいかと思います。
4Pを顧客側の立場から考えた4C分析は、下記の記事で詳しく説明しています。
実行戦略を詳しく解説
マーケティングミックスとは?基本的な考え方と活用法
「実態を掴むための調査」にこだわることが重要
マーケティング戦略を立てる際にフレームワークは非常に便利です。
フレームワークを使用することで論理的に考えられるため、個人が持っている思考のクセにとらわれて重要な部分を見逃すことが少なくなります。また戦略を人に伝える際にもフレームワークを基にして説明すれば、共通認識があるぶん伝わりやすくなるでしょう。
しかしフレームワークはあくまでもテンプレートのようなものであり、重要なのはフレームワークに当てはめる「情報」です。
情報を得る方法には、主に以下のような方法があります。
- アンケート
- インタビュー
- 聞き取り調査
- サイトのアクセス解析
- Web調査
調査を行う際に気を付けたいのが「理想的な結果を得るための調査となっていないか」という点です。
こうした意図の基で調査を行っても、正確な実態を知ることができません。しっかりと機能する戦略を立てたいのであれば、意図を排除して調査を行いましょう。
まとめ
マーケティング戦略は新規事業や商品開発の際を始めとして、さまざまな場面で使用されます。
内容としては「誰に」「どんな価値を」「どのように提供するか」と非常にシンプルですが、成果を出すための戦略を立てるのであれば徹底的なデータ収集が必要です。
しかし言い方を変えれば、徹底的に調査を行えば精度の高い戦略を立てられると考えることもできます。
自社の強みや競合と差別化できるポイントを発掘、研磨することで、成功への道筋を見い出しましょう。