この記事の監修SEO会社
株式会社NEXER
2005年にSEO事業を開始し、計10,000社以上にSEOコンサルティング実績を持つSEOの専門会社。
自社でSEO研究チームを持ち、「クライアントのサイト分析」「コンテンツ対策」「外部対策」「内部対策」「クライアントサポート」全て自社のみで提供可能なフルオーダーSEOを提供している。
SEOのノウハウを活かして、年間数百万PVの自社メディアを複数運営。
WEBサイトを運営するなかで「SEM」という言葉を目にすることがあるでしょう。比較的知名度の高い「SEO」と比べると「SEM」はやや馴染みのない言葉かもしれません。
しかしWEBサイトの運営で収益化をはかるなら、SEMは正しく理解しておきたい用語です。WEBサイトの収益化は、SEO施策だけによってもたらされるものではありません。
SEMに含まれるさまざまな手法を適切に選ぶことで、WEBサイトによる収益を最大化できます。
本記事ではSEMに含まれる施策の種類や使い分け方について詳しく解説します。
また字面から混同しやすいSEOとの違いについても触れているので、ぜひ参考にしてください。
目次
SEMとは?SEOとの違い
SEMとは「Search Engine Marketing(検索エンジンマーケティング)」を略した言葉で、検索エンジン上で行うマーケティングの総称です。
対象のサイトに対して行う、検索結果からのアクセス数を増やすためのマーケティング手法全般をいいます。
このSEMとよく混同されるのが「SEO」です。
SEOとは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」を略した言葉です。検索結果の表示順位を上げることで、検索結果からのアクセス数を増やす施策のことをいいます。
SEOでは、検索結果の上位表示によって検索流入の増加を目指しますが、SEMではSEOを含むさまざまな施策でアクセス数の増加を目指します。
SEMで用いられる手法には「SEO」のほかに「リスティング広告」と「ディスプレイ広告」があり、これらを複合的に運用しながら、流入数の増加やコンバージョンの最大化を目指します。
SEOがアクセス数を増やす手法のひとつを指すのに対し、SEMは複数の手法を使い分けるマーケティングの方法論を指した言葉ともいえるでしょう。
SEM施策の種類
SEM施策には「SEO」「リスティング広告」「ディスプレイ広告」の3種類があります。
ここではそれぞれの特徴について解説します。
SEO
SEOとは、検索結果における表示順位の上昇を目指す施策のことです。
検索結果の順位を上げることで、検索結果からの流入数を増やし、商品の購入やサービスの登録などに繋げます。
SEOのメリットは、一度上位表示を達成すれば、順位の大幅な変動が起きない限りは安定して流入数やコンバージョンを継続して獲得できるということです。検索アルゴリズムのアップデートによる順位変動のリスクはありますが、このような例を除けば、極端な順位変動が起きることはほぼありません。
これらのメリットがある一方で、SEOの実施には継続的なコストがかかります。
また、コンテンツを上位表示するためには、良質なコンテンツを作ることは大前提となります。コンテンツは公開したあとも、品質を向上させるためにリライトを繰り返し、常にユーザー検索にとって最良の回答となるよう改善をする必要があります。
リライトでは、ユーザー行動や競合サイトのコンテンツ分析も不可欠なため、直接的なコンテンツ制作以外のコストも生じますが、その成果は結果として実感できるはずです。
SEOはサイト構造の最適化も含んでいる
SEOでは、対策の対象として「サイト構造の最適化」も含みます。成果を上げるためには、コンテンツを含めたサイト全体に及ぶ広範な施策に取り組む必要があります。
さらにSEOでは、自サイトの外部における対策も非常に重要です。
検索アルゴリズムからの評価を得るためには、サイト内での改善以外に、被リンクやサイテーションといった「他者評価の指標を獲得」していく必要があります。
これらの獲得に必要な活動は、必ずしもインターネット上にとどまるものではありません。必要に応じて、地道な営業活動や広告の出稿などを行うケースもあります。
SEOは対策が決まれば非常に強力な成果を得られますが、コンテンツが検索エンジンに評価されるまでには時間がかかります。
即時性が求められる場合には適さない施策ですが、SEOで高めた検索評価は、他のコンテンツやドメイン全体にプラスの影響を与える非常に資産性の高いものです。
SEOに取り組み続けることで、より優位性のある戦略が取れるようになります。
リスティング広告
リスティング広告とは、検索結果の最上部に表示される有料の広告枠のことです。
表示エリアが、画面遷移後すぐに視界に入る場所にあるため、ユーザーの認知に繋がりやすいのが特徴です。
必ず目に入るという意味では、高い効果をもった広告手法といえるでしょう。リスティング広告は、検索ワードに対して広告を出稿するため、ニーズが顕在化したユーザーに対してアプローチしやすいのが特徴です。
また広告の表示順位は、入札金額によって決まります。かけたコストに対する即効性があるのも、リスティング広告の大きなメリットのひとつです。ただしリスティング広告は費用面で注意が必要です。リスティング広告の掲載費用は、クリック回数ごとに費用が発生するCPC(Cost Per Click)という課金方法で計算されます。
そのため、広告費用と収益性の予測をしっかりと立てておかないと、広告費用が収益を上回ってしまう場合があります。
またユーザーは、広告を無意識に回避する傾向があります。リスティング広告は自然検索よりもクリック率が下がるため、予算を立てる場合は注意が必要です。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、WEBサイトに設置された広告枠に表示されるWEB広告のことです。
リスティング広告とは異なり、テキスト以外にも画像や動画などの掲載が可能なため、ユーザーの目を引く広告を設置できるのが特徴です。
また広告を表示するターゲットも設定できます。閲覧者の年齢や性別、居住地以外に、過去の閲覧履歴も情報として利用できるため、より関連性の高い広告を表示できます。
ディスプレイ広告は表示場所が限定されておらず、ユーザーが訪問した先の広告枠内に自動表示されます。
そのため、潜在的なニーズを抱えたユーザーへのアプローチに向いていますが、ニーズが顕在化していない層なので、コンバージョンに結びづきづらいのが欠点です。
コンバージョン率をより高めたい場合は、検索ワードに連動して表示されるリスティング広告を選択すべきでしょう。
ディスプレイ広告は、画像や動画などのより視覚的な素材を利用できるので、バナー広告を中心により柔軟性のある広告展開を図っていく必要があります。
SEOとリスティング広告の違い
SEOとリスティング広告はSEM施策としてかなり性質が異なります。そのため、目的や期待する効果に合わせた選択が必要です。
ここではSEOとリスティング広告の違いについて詳しく解説します。
費用
リスティング広告では、1クリックごとの費用が決まっているCPCという仕組みを採用しています。そのためクリック率が上がれば、その分広告費用が増大します。
また掲載順は入札によって決まります。枠数も限られているため、収益性の高い検索ワードでの出稿は競争が激しくなりがちです。
リスティング広告では、当初に設定した予算に応じて出稿を調整できますが、収益性から逆算した費用設定を行わないと赤字が拡大する可能性もあります。
一方のSEOで発生する費用はあくまでも製作費が中心です。ただしSEOで行うべき対策は、コンテンツの制作や改善以外にも、被リンクやサイテーションの獲得など、数多くあります。
社内リソースが割けない場合は外注も視野に入れる必要があり、想定よりも費用がかかってしまう場合もあります。
クリック率
リスティング広告は検索結果の最上位に位置しており、自然検索よりも上に表示されます。
ファーストビューで閲覧者の視界に入る一方で、広告はユーザーに好まれないため、自然検索よりもクリック率は低めになります。
一方のSEOで表示される自然検索の場合は、上位掲載によって多くの流入を獲得できます。
とくにSEOで1位に掲載された場合の効果は高く、検索数の30%以上ものアクセスを獲得できるといわれています。
このように、SEOではクリック率に関して、非常に高い効果を期待できます。
即効性
即効性が高いのはリスティング広告です。
リスティング広告はリアルタイムで広告の掲載開始や停止、テキストの変更ができます。また結果をすぐに確認できるため、それをもとに課金額を日単位で変更することも可能です。
このように即時性が強く、決定や変更をスピーディーに行えるのがリスティング広告のメリットです。
一方のSEOは、結果が出るまで一定の期間が必要なことを前提として、中長期的な視点で進めていくものです。検索結果の順位は検索アルゴリズムが決定しますが、その要素となるコンテンツの内容やサイトの構成は、変更後すぐに認知されるとは限りません。
検索エンジンのクローラーによって検知されるまでに若干のタイムラグがあることから、結果として順位に反映されるまでに時間がかかります。
また単独の改善策によって極端な順位上昇が起きることはほとんどありません。複数の要素を仮定し、トライアンドエラーを継続的に繰り返しながら対策を進める必要があります。
持続性
持続性が高いのはSEOです。
一度上位表示を獲得すると、その順位を維持できている間は高い集客効果を得られます。
アルゴリズムのアップデートや競合のSEO対策などにともなう順位の下落はありえますが、継続的なコンテンツ改善によって順位の維持やさらなる順位上昇を狙うことが可能です。
このように適切なメンテナンスによって、持続性が高まるのがSEOの特徴です。一方、リスティング広告では、広告の持続性は予算によって大きく変わります。
リスティング広告は出稿を停止した時点で掲載が終わってしまうため、持続性の維持にコストがかかるのが難点です。
またリスティングは広告枠の獲得を入札で行うため、競合の増加で出稿を取り止めざるをえなくなるケースもあります。
コントロール性
リスティング広告では、競合よりも高い価格で入札できれば上位掲載ができるため、予算に応じた広告掲載が可能です。
また広告を掲載する検索ワードや、課金額も配信側で設定できるため、予算のコントロールをしやすいのも特徴です。
一方のSEOはコントロール性が低く、行えるのはあくまで検索アルゴリズムを想定した施策までです。行った施策が検索アルゴリズムにどのように評価されるかは分からないため、コントロールが難しいのが難点です。
またアルゴリズムのアップデートにともない、評価軸そのものが大きく変わる場合があります。これまで評価されていた施策や要素の評価を下げられてしまうこともあり、その場合は施策の立て直しが必要です。
SEM施策の使い分け方
SEM施策を行う場合、目的とそれを達成するための期間に合わせた施策の使い分けが有効です。
中期的に集客したい場合
中期的に集客したい場合は、SEOが向いています。
継続的なコンテンツ改善によって上位表示を狙えるため、広告費用を節約した集客が見込めます。また一度上位表示を獲得すると、継続的なSEO施策によって高順位の維持を狙えます。
SEOで成果を出すためには数か月〜半年程度の期間が必要なため即効性はありませんが、資産性の高さは大きなメリットです。
短期的に集客したい場合
短期的に集客したい場合は、リスティング広告とディスプレイ広告が向いています。
それぞれ広告費に応じて出稿でき、即時で効果を得られるのがメリットです。リスティング広告とディスプレイ広告を出稿する場合は、ユーザーのニーズに応じたアプローチが有効です。
リスティング広告は検索ワードと連動して掲載されることから、顕在ニーズに適しています。
またディスプレイ広告は年齢や性別などの属性でターゲットを設定するため、潜在ニーズへのアプローチに向いています。
ディスプレイ広告は商材によっても反応の大小が変わるため、扱う商材に応じて施策を再検討する必要があるでしょう。
まとめ
SEMはSEOやリスティング広告を含んだマーケティング施策で、検索エンジンを対象としたものです。
SEOとリスティング広告にはそれぞれメリットとデメリットがあります。WEBサイトを今後どのように展開していくのか、運営方針やブランディング戦略なども含めた施策の決定が求められます。
またSEOとリスティング広告は併用することで、お互いのデメリットをカバーできます。それぞれの施策の特性を把握したうえで、業界やサイトテーマの特性と擦り合わせながら最適な施策の配分を見つけられると理想的です。
とくに近年は検索アルゴリズムのアップデートの機会も増えてきています。特定の施策に固執するのではなく、柔軟な施策変更に対応できる体制作りも必須といえるでしょう。
リスティング広告やディスプレイ広告は、広告費を費やし継続しなければ検索エンジンへの露出はできません。集客効果を短期間で実感したい方にはおすすめの集客方法の一つです。やめたい時にすぐ取り下げることも可能です。
ただし、SEO対策をしていない状態で広告出稿も停止してしまうと、サイトへの流入がゼロになる可能性もあるので注意が必要です。可能であれば、リスティング広告やディスプレイ広告と併用しながらSEO対策を進めることが最善の方法となります。