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自社ECサイトの売上アップ方法|リピート施策・カゴ落ち防止・成功事例も紹介
2025.12.02 SEO
この記事の監修SEO会社

株式会社NEXER
2005年にSEO事業を開始し、計5,000社以上にSEOコンサルティング実績を持つSEOの専門会社。
自社でSEO研究チームを持ち、「クライアントのサイト分析」「コンテンツ対策」「外部対策」「内部対策」「クライアントサポート」全て自社のみで提供可能なフルオーダーSEOを提供している。
SEOのノウハウを活かして、年間数百万PVの自社メディアを複数運営。
自社ECサイトの売上をアップさせたいのに、具体的な改善策が分からないと悩んでいないでしょうか。
実は、売上は「集客数 × 購入率(CVR) × 客単価」というシンプルな方程式によって成り立っています。
つまり、これら3要素を上げることが、自社ECサイトの売上アップの改善策につながるということです。
この記事では、売上が上がらない典型的なパターンとリピート施策やカゴ落ち防止策を踏まえた上で、この3要素を高められる具体的な売上アップ方法を解説します。
自社ECサイトで、実際に成果を上げた成功事例も紹介するので、参考にしてください。
SEO業界20年、取引実績5,000社で多種多様な企業様の課題解決と成長をサポートしてまいりました。
完全内製の一貫体制でSEO支援を行い、専属のSEO研究チームが「分析→実装→検証→改善」 のサイクルを高速で回します。
問い合わせ増加・ブランディングを全力でサポートいたします。
目次
ECサイトの売上は「集客数 × 購入率(CVR) × 客単価」

ECサイトの売上が伸びないとき、多くの人が「とにかくアクセスを増やそう」と考えがちです。
ただ売上は、アクセス数だけで決まるわけではありません。
このような方程式で説明することができます。
売上 = 集客数 × 購入率(CVR) × 客単価
この3つの内のどれかを改善していけば、売上を伸ばすことができます。
- アクセス数の変化がわからない
- 問い合わせが来ない
- 社内評価につながらない
こうした悩みは、すべてこの方程式のどこが弱いかを見れば原因が分かります。
この記事では、この方程式に沿って、それぞれの要素を高める施策を分かりやすく解説していきます。
自社ECサイトの売上げが上がらない理由

自社ECサイトの売上げが上がらないのには、必ず理由があります。
多くのEC事業者が「商品には自信があるのに売上が上がらない」と悩みますが、それは原因を把握できていないことが多いです。
アクセスが足りないのか、購入率に問題があるのか、問題が分からないまま施策を続けても、成果は出にくくなります。
ここでは、意外と見落としがちな売上が上がらない理由を解説します。
SEO業界20年、取引実績5,000社で多種多様な企業様の課題解決と成長をサポートしてまいりました。
完全内製の一貫体制でSEO支援を行い、専属のSEO研究チームが「分析→実装→検証→改善」 のサイクルを高速で回します。
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自社サイトの認知が不足している

画像引用:経済産業省「令和 6 年度 電子商取引に関する市場調査報告書」PDF,5P
売上が伸びない理由の一つに、そもそも自社サイトが認知されていないことが考えられます。
経済産業省の資料によると、2024年の日本の物販系分野のBtoC向けのEC市場規模は、15兆2,194億円となっています。
また、EC化率もそれに合わせて、この10年間で4.37%から9.78%と2倍以上になりました。
この傾向を見ても、今後も緩やかにEC化率が増えていくことが予想できます。
つまり、ネットショッピングできるサイトが、年々増えてきているのです。
競合が増えれば、自分のサイトが埋もれやすくなって、見つけてもらえにくくなるため、認知不足のサイトは売上げが伸びないのです。
自社サイトの認知を高めるには、例えば以下のような施策があります。
| SEO対策 | サイトを検索結果の上位に表示させて認知させる。 |
|---|---|
| コンテンツマーケティング | 商品に関連する悩み・使い方などを記事にし、役立つサイトとして認識させる。 |
| SNS運用 | 検索しない層にもブランドを認知させる。 |
| Web広告 | 短期間で認知を大きく広げたい時に効果的。費用が掛かる。 |
希望する決済方法がない

画像引用:SBペイメントサービス株式会社【2025年度版】6回目となる決済手段のEC利用実態調査
欲しい商品があっても、自分が希望する決済方法がないと、それは買わない理由につながります。
- クレジットでポイントを貯めたい
- PayPay・楽天ペイ・d払いなど「いつものアプリ」で支払いたい
- スマホ決済で手軽に済ませたい
ECサイトで商品を購入する時に、このようなことを考えるケースは多いと思います。
2025年、SBペイメントサービス株式会社による10~80代の男女2,455人を対象に行った調査によると、よく利用する決済手段がなかった時に、男女ともに60%以上の人が購入を断念していることが分かっています。
このデータからも、決済手段を広く確保しておくことは、購入率(CVR)を高めるのに重要であることが分かります。
ちなみにこの調査では、よく利用する決済手段を、男女別、スマホキャリア別、商材別などあらゆる角度からデータが出ていますが、そのいずれにおいてもクレジットカードが一番多い決済手段として選ばれています。
また次いで、PayPayが多いことも分かっています。
スマホの購入体験が悪い

画像引用:経済産業省「令和 6 年度 電子商取引に関する市場調査報告書」PDF,26P
スマホでの購入体験が悪いサイトは、お客さんが離脱しやすく、売上げが伸びない理由につながりやすいです。
ECサイトの運営はPCを使って行うことがほとんどだと思いますが、一方でそのサイトの訪問者がPCを使っているとは限りません。
経済産業省の資料によると、2023年時点でスマートフォンの世帯あたりの普及率は90.6%となっています。
一方で、PCの普及率は下降傾向で2010年に83.4%だったのが、2023年時点では65.3%にまで下がっています。
このことからも、スマートフォンでECサイトの買い物をする人の割合も増えていくものと考えられます。
- 画像が小さくて見づらい
- 決済ステップが多く、入力項目も複雑
- 会員登録しないと購入できない
例えばこのような要素が多いと、ユーザーの離脱原因になってしまいます。
スマホ前提で購入体験を最適化できているかどうかが、ECサイトの売上に直結します。
ECサイトの売上アップには「カゴ落ち防止」「リピート策」も重要

画像引用:イーエージェンシー調査 【ECサイトのカゴ落ち率2025】
ECサイトの売上をアップさせるには、売上方程式の「集客数 × 購入率(CVR) × 客単価」の3要素だけでは足りません。
この方程式に加えて、「カゴ落ち防止対策」と「リピート策」も重要になります。
カゴ落ちとは、商品をカートに入れたけど購入せずにサイトを離脱することです。
ちなみにカゴ落ち率は、以下の計算で求めることができます。
カゴ落ち率(%)=[(カートの商品数 - 購入完了数)÷ カートの商品数]× 100
2025年のイーエージェンシーの調査によると、ECサイトのカゴ落ち率の平均は約63.3%で、機会損失額は売上の約2.7倍にも及ぶことが分かっています。
| カゴ落ち防止策 |
・決済方法の整備 ・ゲスト購入とソーシャルログインの整備 ・サイトのセキュリティ強化 ・リマインドメールの配信 |
|---|---|
| リピート策 |
・LINE・メルマガ活用 ・会員ランク、ポイントシステム ・クーポンの配布 ・定期購入の導入(サブスク化) |
このあとそれぞれの施策に関しても、売上方程式の3要素と合わせて、詳しく解説していきます。
集客数を増やす売上アップ施策

ここでは、売上方程式の中の「集客数」を増やす施策を解説していきます。
ECサイトにおける「集客数」とは、アクセス数のことです。
アクセス数を増やすためには、サイトにクリックしてもらえる機会を増やすことが重要になってきます。
クリックしてもらえる可能性を高める施策を解説していきます。
SEO業界20年、取引実績5,000社で多種多様な企業様の課題解決と成長をサポートしてまいりました。
完全内製の一貫体制でSEO支援を行い、専属のSEO研究チームが「分析→実装→検証→改善」 のサイクルを高速で回します。
問い合わせ増加・ブランディングを全力でサポートいたします。
SEO対策
SEO対策とは、Googleなどの検索結果で上位表示を狙い、検索からのアクセス流入を増やす施策のことです。
ECサイトは商品数が多く、検索ニーズも幅広く拾えるため、SEOの効果が売上に直結しやすい特徴があります。
SEO対策は、上位を狙うキーワード設定が重要です。
例えば、カバンやリュックを販売するECサイトを運営していたとして、「カバン」で検索時に上位に表示できれば成果に結びつきやすくなりますが、このようなビッグキーワードで上位に表示させることは簡単なことではありません。
そこで重要になるのが、ロングテールキーワードです。
ロングテールキーワードとは、複数の単語を組み合わせた検索キーワードのことで、例えば以下のようなものがあります。
カバン・リュックのECサイトで考える検索キーワード
| ビッグキーワード |
検索数は多いが上位表示は難しい ・かばん ・リュック ・肩掛けバッグ ・トートバッグ ・etc… |
|---|---|
| ロングテールキーワード |
検索数は少ないが上位表示はやさしい ・メンズバッグ おすすめ ・30代 かばん ・旅行用 かばん ・肩掛け トートバッグ ・A4サイズ トートバッグ ・キャンプ用 リュック |
このようなロングテールキーワードを使って、自社ECサイトが勝てる土俵で戦うことが重要になってきます。
SEOは外注費こそかかりますが、一度上位表示されると広告費ゼロで集客し続けられるため、ECサイトの基盤として欠かせない施策です。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、検索ユーザーの悩みや疑問を解決する記事を公開して、その記事からの流入を狙う施策です。
例えば、コーヒー豆を販売するECサイトならこんな記事になります。
- 「コーヒー豆の選び方」
- 「焙煎度による味の違いを比較解説」
- 「コーヒー器具のおすすめ〇選」
- 「初心者におすすめのコーヒー豆セット」
このように、ユーザーの疑問を解決できる情報価値の高い記事を公開して、この記事を経由させてお客さんを呼び込みます。
また、売りたい商品と直接関係のないキーワードからも流入が狙えるので、集客の間口を広くとることが可能になります。
この場合だと、売りたいのは「コーヒー豆」ですが、「コーヒー器具」で検索したユーザーも流入対象にできるということです。
Web広告
Web広告とは、GoogleやSNSなどのプラットフォームに、有料で広告を掲載し、短期間でアクセスを増やす施策です。
SEOやコンテンツマーケティングは成果が出るまで時間がかかりますが、Web広告は出稿したその日から目立つところで集客ができます。
そのため、立ち上げたばかりの知名度の低いサイトや、キャンペーン中に一気に売上を伸ばしたいECサイトと相性が良いです。
ECと相性が良い広告は、以下の4つです。
| リスティング広告(検索連動型広告) | 商品名やカテゴリ名で検索したユーザーに広告を出せる。今すぐ買う可能性が高いユーザーにアプローチできる。 |
|---|---|
| SNS広告(Instagram、TikTokなど) | ユーザーの興味関心に合わせて配信でき、偶然の出会いで自然に誘導しやすい。 |
| ショッピング広告(Googleショッピング) | 商品画像・価格が検索結果に直接表示され、商品詳細ページに直接誘導できる。 |
| アフィリエイト広告 | 提携したブログなどに商品紹介を依頼し、売れた場合のみ広告費を支払う成果型の広告。 |
Web広告は費用こそかかりますが、認知を短期間で広げられるうえに、ターゲットを細かく絞り込める点が大きな強みです。
SEO対策の成果が出るまでの、初期の立ち上げ施策として活用されることもあります。
SNS運用
SNS運用とは、Instagram・X・TikTokなどで自社アカウントを運用し、商品やブランドの認知を広げる施策です。
最近では、購入前に「まずSNSでその商品の口コミを調べる」という人も増えており、SNSはECサイトへの重要な集客経路になっています。
一般の人の商品の口コミを見た後に、そこから公式アカウントでより詳細な情報を知るという導線ができます。
SNS運用では、投稿するコンテンツの質が重要です。
以下のように、目的に沿ったコンテンツが必要になります。
| ブランドの世界観を浸透させたい | Instagramで統一感のある写真投稿(色味・構図・雰囲気)を継続し、ブランディングする |
|---|---|
| 購入前に感じる不安を解消したい | Q&A形式やBefore/Afterで、サイズ感・使用感・素材感をわかりやすく解説する |
| キャンペーンをもっと広く拡散させたい | Xでフォロー&リポストキャンペーンを開催する |
| 商品をより深く知ってもらいたい | 縦型ショート動画で使い方を実践公開する |
またSNS運用は、お客さんの反応をリアルタイムで確認できることも、大きなメリットです。
どんな投稿が反応がいいのか傾向が分かってくると、今後のマーケティングやブランド戦略にも活用することができます。
インフルエンサーコラボ
インフルエンサーコラボでは、SNSで影響力を持つ人物に商品を紹介してもらい、大量の新規ユーザーに認知させる施策です。
インフルエンサーコラボで重要になるのが、人選びです。
フォロワー数が多い人ほど、影響力は大きくなりますが、自分の商品とその人との関連性も大切です。
例えば、料理をしない男性にキッチングッズの商品を紹介してもらっても、それを見た人には「案件感」が強く感じられ、あまり参考になりません。
もちろん「○○さんが紹介してるなら私も買う」というファンも一定数はいますが、狙いどおりの集客を生むには、ブランドや商品を自然に紹介できるインフルエンサーを選ぶことが重要です。
またインフルエンサーコラボには、以下のような形式があります。
| レビュー投稿型 | 使用後の使い心地・メリット・注意点などをまとめて紹介してもらう |
|---|---|
| ライブ配信紹介型 | 実際に商品を使いながら説明し、その場で疑問に回答できるため購入率が上がりやすい |
| 限定クーポン配布型 | インフルエンサー経由の購入で割引など特典をつけ、視聴者の購入を後押しする |
この施策ではファンからの流入が多く、継続購入してくれる可能性が低いです。
そのため、リピート施策で次につなげることが重要になります。
リピート施策で集客数をさらにアップ
ECサイトで売上を安定的に伸ばすには、新規顧客も大切ですが、一度購入してくれた人を呼び戻す仕組み作りも欠かせません。
既存顧客は「商品を知っている」「購入経験がある」という大きなアドバンテージがあるため、新規顧客よりも購入率が高く広告費もかからないメリットがあります。
そのためリピート施策は、コストパフォーマンスの高い集客数アップ施策となります。
ここでは、ECサイトでよく使われるリピート施策を紹介します。
LINE・メルマガ活用
LINEやメルマガは、購入後のお客さんに直接アプローチできるのが大きなメリットです。
SNSと違い、フォロワーのタイムラインに左右されず、確実に情報を届けられます。
- 新商品の入荷
- 季節限定商品・セールの告知
- 購入履歴に合わせたおすすめ紹介
- クーポンの配布
このような情報を組み合わせて、「またここで買いたい」と思ってもらうことが重要になります。
そして、LINEやメルマガで注意することは、登録してもらわない事には情報を届けられない点です。
そのため、ECサイトでは以下のような「登録してもらうための仕掛け」も必要になります。
- 購入完了画面で「次回使えるクーポン」を提示して登録を促す
- 商品ページに「LINE限定で再入荷通知」を設置する
- メルマガ登録者限定の先行販売を実施する
これは一例で、どれが正解というものでもありません。
「とりあえず登録しておいた方がお得」と思われるような自然な誘導が、登録者増加に結びつきます。
会員ランク・ポイントシステム
会員ランク・ポイントシステムは、買えば買うほどお得になる仕組みで、そのECサイトのファンになってもらってリピートを促す施策です。
とくに競合が多いジャンルでは、ユーザーが「次も同じお店で買う理由」を作れるため、強力な戦略になります。
| 会員ランクのメリット |
・「あと少しでゴールド会員」という状況なら、商品をカートに追加してもらいやすくなり、客単価も上がる ・誕生日、記念日クーポン配布でリピートを促せる ・送料無料や先行販売など上位ランク限定特典でロイヤリティを上げ愛着を深める |
|---|---|
| ポイントシステムのメリット |
・「ポイントの有効期限が切れる前に使い切ろう」という理由が生まれる ・同価格の商品が競合サイトにあった場合でも、自社サイトが選ばれやすくなる ・ポイント還元率アップキャンペーンで訴求できる |
会員ランク・ポイント制度は、お得さを提供しながら継続購入しやすい心理状態を作れるため、ECサイトのリピート率の底上げに欠かせない施策です。
定期購入の導入(サブスク化)
定期購入(サブスク化)は、リピートを強制的に仕組み化できる施策です。
ユーザーが一度申し込めば、あとは自動的に商品が届くため、買い忘れがなく満足度の高い購入体験を提供できます。
ユーザーにとっての定期購入(サブスク化)のメリットは、以下のとおりです。
- 買い忘れ防止になる
- 単品よりお得になるケースが多い
- 在庫切れ・再購入の手間がなくなる
このメリットからも分かるように、日用品や消耗品のような購入サイクルの早いジャンルで、特に有効な施策となります。
また定期購入者が増えると、ECサイト事業者にとっても安定的な売上基盤となり、仕入れや在庫管理がしやすくなるといったメリットがあります。
- 退会・スキップ方法を明確に提示する
- 初回だけお試し価格にする
- 限定感を出す(サブスクでしか手に入らない商品)
購入率(CVR)を高める売上アップ施策

どれだけ集客数が増えても、購入を決断してもらわないことには、売上につながりません。
そこで重要になるのが、サイトに訪れたユーザーに買いやすい環境を整えること、つまり購入率(CVR)の改善です。
商品ページの訴求力、購入導線の分かりやすさ、情報提供の量など、ユーザーを迷わせない工夫が購入率(CVR)を大きく左右します。
ここでは、ECサイトで成果が出やすい購入率(CVR)アップ施策を解説します。
SEO業界20年、取引実績5,000社で多種多様な企業様の課題解決と成長をサポートしてまいりました。
完全内製の一貫体制でSEO支援を行い、専属のSEO研究チームが「分析→実装→検証→改善」 のサイクルを高速で回します。
問い合わせ増加・ブランディングを全力でサポートいたします。
レビュー・口コミの活用
レビューや口コミは、ECサイトの購入率に強く影響する要素の一つです。
実際に商品を購入して使った人の意見は、購入前のユーザーの不安の解消につながります。
たとえ悪いことが書き込まれたとしても、「これくらいのデメリットなら許容できる」と考え、購入を決断するケースもあります。
レビューを書いてもらうには、以下のような工夫が効果的です。
- 購入後メールでレビュー依頼を送る
- 「レビューでポイント付与」などのインセンティブをつける
またレビューや口コミは、EC事業者側にとっても商品改善のヒントになります。
例えば「思ったより大きかった」という口コミが多ければ、商品情報欄に誤解されないようにサイズが明確にわかる情報を補足したり、そもそも商品を小型化したりすることもできます。
LPで購入導線の簡略化
LPとは、ランディングページのことで、購入までの導線を最短にし、ユーザーが迷わず購入できるページ設計のことです。
「商品の魅力 → レビュー → 比較 → FAQ → 購入ボタン」と、スクロールするだけでユーザーを自然に購入導線へ誘導することができます。
ECサイトでは、以下のような工夫でLPでの導線を簡略化できます。
| ファーストビューで「何が買えるページか」を一瞬で伝える | 画像だけでなく、商品名・特徴・価格帯をシンプルにまとめ、初速の離脱を防ぐ |
|---|---|
| 購入ボタン(CTA)を複数配置する | ページ上部・中段・下部の3か所に配置し、スクロール位置に関係なくいつでも購入できるようにする |
| LPだけですべて比較できるようにする | サイズ・色・数量・セット内容などを一覧で整理し、他のページに遷移しなくても比較できるようにする |
| 必要最低限の入力項目に絞る | 名前・住所・支払い情報など、必須項目以外を減らし、購入フォームでの離脱を防ぐ |
LPは特にWeb広告と相性が良く、アクセスを確実に売上につなげるための購入率アップ専用のページとして設置するケースが多いです。
チャットボットの導入
チャットボットは、商品に関する疑問をその場で解消できるため、購入率アップに効果があります。
ユーザーが購入前に抱える不安は、意外にシンプルです。
- 配送はいつ届く?
- 返品はできる?
- こういう場合はどのサイズがおすすめ?
ユーザーからすると、このような疑問をわざわざ問い合わせたり、サイト内の答えとなる情報を探し回るのは面倒に感じて、離脱してしまいます。
チャットボットは、その消極的なユーザーの購入前の気持ちを、自動で後押ししてくれるのが大きな強みです。
チャットボットには、「シナリオ型」と「AI搭載型」の2種類があります。
| シナリオ型チャットボット |
あらかじめ用意した回答をパターン化して案内する。 ・よくある質問(配送・返品・サイズ感など)を自動回答化できる ・シンプルな導入で誤回答が少なく安心 ・小規模〜中規模ECでも扱いやすい ・コストを抑えて導入できる |
|---|---|
| AI搭載型チャットボット |
ユーザーの質問をAIが理解して、より自然な回答ができる。 ・FAQにない質問にも柔軟に対応できる ・会話の文脈を読み取り、適切な商品提案も可能 ・大規模ECや商品点数が多いサイトで効果が大きい ・導入コストが高いケースが多い |
限定感と緊急性で購買意欲の刺激
人は「限定」や「残りわずか」という言葉に強く反応します。
ECでは、この限定感と緊急性を適切に扱うことで、購入率を高めることができます。
効果的な方法は、以下のとおりです。
| 期間限定セール | 「本日23:59まで」など、期限を明確に表示して緊急性を演出する |
|---|---|
| 数量限定販売 | 「残り10点」「次回入荷未定」など、希少性を伝えて購入を後押しする |
| 先行販売・会員限定販売 | 「会員だけの特別扱い」を感じてもらい、購買意欲とロイヤリティを高める |
ちなみにこの緊急性は、あくまで「最後の一押し」に過ぎません。
煽り文句を多用し大々的にユーザーを刺激すると、「売り込み感」が強く伝わって逆効果になることもあります。
カゴ落ち防止策で購入率(CVR)をさらにアップ

ユーザーが商品をカートに入れたのに購入まで進まない「カゴ落ち」は、ECサイトで大きな機会損失の一つです。
カートに投入したということは、買う気がある状態なので、あと一歩の改善をすることで売上に直結します。
カゴ落ちは、決済手段不足や入力の手間、セキュリティ不安など、意外とちょっとした不安要素で発生するので注意が必要です。
ここからは、ECサイトで効果が高いカゴ落ち防止策を紹介します。
決済方法の整備

画像引用:SBペイメントサービス株式会社【2025年度版】6回目となる決済手段のEC利用実態調査
カゴ落ち防止には、決済手段の整備は必要不可欠です。
SBペイメントサービス株式会社の調査によると、よく利用する決済手段がなかった時に、男女ともに60%以上の人が購入を断念しているというデータがあり、決済手段がないことが、カゴ落ち率を上げる原因になっていることが分かります。
また上記のデータは、物販ECサイトでのよく利用する決済手段の割合の2018〜2025年までの推移です。
「クレジットカード」「コンビニ決済」「代金引換」の3つの決済手段が減少傾向で、一方で「PayPay」と「楽天Pay」の割合が上昇していることが分かります。
2025年時点では「クレジットカード」が59.4%、「PayPay」が32.0%と、この2つの決済割合が多いのが現状です。
クレジットカードを導入しているECサイトは多いと思いますが、「PayPay」は近年出てきた新しい決済方法のため、もしかしたら導入がまだというサイトもあると思います。
ゲスト購入とソーシャルログインの整備
カゴ落ちしてしまう理由の中には「会員登録」や「入力作業」の手間の多さが原因となる場合もあります。
そのため、購入完了までのストレスを減らす施策として、次の2つが重要になります。
| ゲスト購入の導入 | 会員登録を必須にせず、住所・支払い情報だけで購入できるようにする |
|---|---|
| ソーシャルログイン(Google/LINE/Apple等)の導入 | 新規登録でもSNSアカウントを使って、1クリックでログイン可能にする |
中には入力のストレスで離脱するのではなく、複数のアカウントを持つことを嫌って離脱する人もいます。
サイトのセキュリティ強化

画像引用:経済産業省「令和 6 年度 電子商取引に関する市場調査報告書」PDF,41P
ECサイトのセキュリティ不安から、カゴ落ちにつながってしまうケースもあります。
経済産業省の資料によると、2023年、インターネット利用時の不安内容として「セキュリティ対策」に不安を感じると回答した人が、42.2%いることが分かっています。
また、「電子決済の信頼性」においても39.7%の人が不安を感じています。
このデータからも、ECサイトにおいて、個人情報やクレジットカードの情報が漏洩しないかと不安になる人がいるのは明らかです。
ECサイトのセキュリティ強化対策には、以下のようなものがあります。
- URLバーに鍵マークがつく HTTPS化(SSL)
- 信頼性を示すセキュリティ認証バッジの表示
- 個人情報保護方針の明確化
- 不正ログイン防止・二段階認証
ユーザーは、購入する直前になればなるほど慎重になるものです。
また、セキュリティとは少しだけ話が逸れますが、「返品ポリシー」を明確に表明することでも、購入不安を解消することができます。
リマインドメールの配信
ユーザーがカートに商品を入れたまま、忘れて放置された場合に有効になるのが、リマインドメールです。
リマインドメールは、ユーザーが「買おうかな?」と思った気持ちを、もう一度思い出してもらうための施策です。
ここでは、効果的なリマインドメールを配信するポイントをまとめておきます。
- カート放棄から24時間以内の配信が効果的(それ以上は購入したい気持ちが徐々に冷める)
- 商品画像と「カートに商品が残っています」の表示で視覚的に訴求
- メールからワンクリックで購入再開できる導線を用意する
メール配信システムを提供するユミルリンク株式会社の調査によると、2025年、カゴ落ちメール(リマインドメール)を送っているサイトは、全体の40%となっています。
徐々に導入企業が増えているものの、まだ50%も普及していないため、早期に導入して競合サイトにお客さんを取られないようにすることが大切になります。
客単価を上げる売上アップ施策
ECサイトの売上を伸ばすためには「集客」と「購入率(CVR)」だけでなく、1回あたりの購入金額=客単価を引き上げることも有効です。
客単価が高くなるほど、同じ集客数でも売上が大きく増えるため、効率的に売上拡大に貢献します。
ここでは、ECサイトで成果が出やすい3つの客単価アップ施策を紹介します。
SEO業界20年、取引実績5,000社で多種多様な企業様の課題解決と成長をサポートしてまいりました。
完全内製の一貫体制でSEO支援を行い、専属のSEO研究チームが「分析→実装→検証→改善」 のサイクルを高速で回します。
問い合わせ増加・ブランディングを全力でサポートいたします。
送料無料条件の設定
客単価を上げる施策として最も取り入れやすいのが、送料無料条件の設定です。
「○円以上で送料無料」というルールは、ユーザーが「あと少しで送料無料になるならもう一点追加で買おう」と考えやすく、自然と購入金額が上がります。
効果的に運用するためのポイントは、以下のとおりです。
- 平均購入金額より少しだけ高くする(例:平均3,500円なら4,000円、5,000円が目安)
- 「○円以上で送料無料」と常に表示して意識させる
- 期間限定で「送料無料の条件引き下げキャンペーン」を実施する
ユーザーは特に金額の低い買い物になるほど、送料のコストを重く感じやすいです。
送料無料条件を設定することは、その単価の低いお客さんに対して、自然に購入を促せる施策です。
クロスセル
クロスセルとは、ユーザーが購入しようとしている商品に、関連商品を一緒に提案することで客単価を上げる施策です。
世界最大手のEC、Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」が最も有名な例です。
クロスセルの提案は、その商品によってさまざまです。
化粧水を買う人に → 同シリーズの乳液を提案
スマホケースを買う人に → 保護フィルムを提案
コーヒー粉を買う人に → 使い捨てペーパーを提案
子供のおもちゃを買う人に → 乾電池を提案
このように、関連性の強さと他の人にも選ばれた信頼感によって、ユーザーは「ついでにこれも買っておくと便利」と考えるようになります。
また、クロスセルは送料無料条件とも相性が良く、「ついでにこれも買っておくと送料無料になるから買おう」という相乗効果を生み出すことができます。
セット販売
セット販売は、複数の商品を組み合わせて販売することで客単価を上げる施策です。
セットになることで少し割安でお得に買えるという心理から、自然に単価を上げることができます。
また、単品では気づいてもらえなかった、他の商品の価値にも触れてもらえるという、事業者側のメリットもあります。
セット販売には、大きく分けて2パターンあります。
| 同じ商品のまとめ買いセット (ユーザーがお得に買える) |
・シャンプー&トリートメントの3ヶ月分セット ・サプリメントの90日分セット ・ミネラルウォーター2ケースセット |
|---|---|
| 異なる商品を組み合わせたセット (いろんな価値を提供できる) |
・化粧水+美容液+クリームのスキンケアセット ・フライパン+鍋+キッチンツールのセット ・食品の5種類の味の食べ比べセット |
このようにセットの組み合わせ方によって、メリットが異なります。
自社が販売する商品に適した組み合わせで、セット販売することが重要です。
ECサイトで売上アップした成功事例

ECサイトの売上は、集客数 × 購入率(CVR)× 客単価の方程式を高めていくことが大切です。
ただ、実際に成果を出している企業がどんな取り組みをして、これらを上げているのか気になる人も多いと思います。
ここでは、ECサイトの強みを活かして売上を大きく伸ばした企業の成功事例を紹介します。
クラシコムの成功事例
クラシコムは、「元顧客のスタッフ」による高い顧客理解とコンテンツ力を強みに成長してきたEC企業です。
しかし売上規模が20億円を超え、事業規模の拡大やアプリリリースに伴って業務負荷が増えたことで、意思決定のスピードに限界が来ていました。
そこで、2019年にデータ分析チームを発足することになります。
受注データ、在庫データ、アプリ内行動、コンテンツ閲覧、SNS・メルマガの動向など、バラバラに存在していた情報を統合し、誰でも必要な数値を確認できる体制が整えられました。
これによって発注精度の向上、販売計画の最適化、ヒット商品の開発、アプリ回遊の改善などが進み、高速で正確な意思決定が可能になり、売上・利益率ともに大幅な改善に成功しました。
クラシコムの取り組みは、スタッフの感性とデータ活用の掛け合わせによって、ECサイトの売上を伸ばした代表的な成功事例です。
| 実施した売上アップ施策 |
・データ分析チームを立ち上げ、受注・在庫・アプリ行動・SNS・メルマガなどのデータを統合 ・発注予測、販売計画へデータを活用し、計画精度を高めた ・販売動向データを元にPB商品の改良やヒットシリーズの開発 ・アプリ内行動データを分析し、導線や回遊を改善 |
|---|---|
| 得られた成果 |
・売上が4年で21億円 → 51億円(約2倍)に成長 ・D2C商品の定価消化率95%超を継続 ・EC購入の約6割がアプリ経由に |
参考:クラシコム【「北欧、暮らしの道具店」データ活用の取り組み】
オーガニックファーム谷口の成功事例
「農事組合法人アイガモの谷口」は、自然循環農法で作る米や但馬鴨の加工品を自社で販売している生産者です。
これまでは紙媒体や口コミが中心で、新たな集客チャネルには手が回っていませんでした。
しかし、楽天やAmazonに頼らず「自社ECで直接販売したい」という方針から、SEO対策によるECサイトでの集客強化に着手しました。
内部SEOの改善を実施し、その後「月間人気ランキング」や、送料・返品・支払い方法などのユーザーが知りたい情報を商品ページに統合するなど、ECならではの導線改善を行いました。
さらに、生産現場・加工風景・体験イベントなどを積極的に公開し、「透明性の高いサイト」を目指した発信がGoogleからの信頼性評価にもつながりました。
結果、検索順位は「鴨肉 通販」で2位まで上昇し、サイト訪問者数も1.2〜1.3倍へ増加。繁忙期以外の売上も底上げされ、安定した集客につながっています。
これは、SEO対策によって集客数を高め、またサイトの情報を整理し購入率を高めたことで、安定的な収益化に成功した事例です。
| 実施した売上アップ施策 |
・ECサイトの内部SEOを全面的に改修 ・「月間人気ランキング」を追加し、人気商品を可視化 ・送料、返品、支払い方法などの情報を商品ページ内に統合 ・生産風景、農場の様子、体験イベントを公開しサイトの透明性を向上 |
|---|---|
| 得られた成果 |
・「鴨肉 通販」で検索順位が約3か月で最高2位 ・検索流入が1.2〜1.3倍に増加 ・繁忙期以外の売上も底上げされ年間の安定収益化に貢献 |
自社ECサイトのよくある質問(FAQ)
自社ECサイトを運営していると、売上に関するさまざまな悩みが出てきます。
特に、集客数・購入率(CVR)・客単価は売上を構成する重要な指標ですが、正しい理解がないと、改善の方向性を見誤ってしまいがちです。
ここでは、EC事業者から質問の多い内容をピックアップして回答していきます。
Q:「集客数」「購入率(CVR)」「客単価」で対策すべき優先順位はある?
絶対にこれからやるべきと、断言できる答えはありません。
ただ、セオリーとして「客単価」よりも「集客数」「購入率(CVR)」を優先した方がいい場合があります。
なぜなら「客単価」は、ある程度のお客さんと売上が見込める状態になって、そこから初めてそれらを最大化させる施策のためです。
逆に言えば、ある程度集客が安定してリピーターも育っているようなECサイトであれば、「客単価アップ」を優先するのも悪くないと思います。
Q:自社ECの平均CVRはどれくらい?
一般的に自社ECサイトの平均CVRは、1〜3%前後が多いと言われています。
このCVR(購入率)は、以下の方程式で求めることができます。
CVR=購入数 ÷ アクセス数 × 100%
あくまでこの平均値は目安で、業界や取り扱う商品によっても平均値は多少異なります。
もし、自社ECサイトのCVRが1%未満の場合は、「平均より下がっている=改善余地が大きい」というサインと捉えて、購入導線や決済方法など、改善できるところから進めていく必要があります。
Q:ECサイトの売上ランキングトップは?
通販新聞の姉妹誌「月刊ネット販売」で実施された売上高調査で、2023年度のネット販売実施企業のトップ10位のサイトをまとめました。
このランキングは、自社で商品を販売するEC企業の売上を対象にしているため、楽天市場やYahoo!ショッピングのようなモール型のECは含まれていません。
Amazonが一強なのはもちろんですが、こうしてみると、家電、衣料品、食料品のような生活必需品ジャンルが強いことも分かります。
| 1位 | amazon.co.jp(総合) 3兆6556億円 |
|---|---|
| 2位 | ヨドバシ.com(家電) 2268億800万円 |
| 3位 | ZOZOTOWN(衣料品) 1970億1600万円 |
| 4位 | ヤマダウェブコム(家電) 1550億円 |
| 5位 | ユニクロオンラインストア(衣料品) 1338億円 |
| 6位 | ビックカメラ.com(家電) 1274億円 |
| 7位 | Oisix(食品) 993億8000万円 |
| 8位 | ジャパネットたかた(家電) 896億円 |
| 9位 | ニトリネット(家具) 871億円 |
| 10位 | イオンスタイルオンライン(食品・日用品・衣料品) 800億円 |
参考:ネットショップ担当者フォーラム【EC売上ランキング2024年版】
まとめ:ECサイトの売上アップは方程式と「リピート・カゴ落ち防止」で最大化させる
自社ECサイトの売上は、「集客数 × 購入率(CVR) × 客単価」というシンプルな方程式に分解できます。
この3要素を高めていくことが重要ですが、これに加えて「リピート・カゴ落ち防止」の施策を組み合わせることで、売上効率を最大化させることができます。
まずは、自社サイトの現状を分析して、アクセス数、カゴ落ち率、CVRなど、問題のある要素から優先的に改善する必要があります。
決済方法の導入や、購入導線の見直しなど、ユーザー側の目線に立って、サイトをデザインしていくことが求められます。
この記事で紹介した、3要素の具体的な高め方をベースに、小さな改善を積み重ねて、自社ECサイトを売上アップに導きましょう。

