賃貸併用住宅というのは、ひとつの建物に自宅と賃貸住宅がつくられている建物のことをいいます。自宅をつくってもまだ敷地に余裕がある場合に、その部分を有効利用するための手段のひとつとして賃貸併用住宅があげられるようです。
そんな賃貸併用住宅を建てるときの注意点や費用についてまとめてみました。
賃貸併用住宅の費用相場について
まずは、賃貸併用住宅を建てるためにかかる費用について紹介します。
当たり前ですが、通常の居住用住宅を建てる場合にくらべて、賃貸部分のコストが上乗せされる分費用は高くなります。建築面積だけではなく、賃貸部分の居室数分の電気や水道などの設備を整える必要がありますし、建物の構造によってもその費用は変動します。
建築費用は、坪単価×延べ床面積で計算することができますが、坪単価は、木造・軽量鉄骨・重量鉄骨・鉄筋コンクリートなどの建物の構造によって大きく変動します。相場では、その差は坪単価50万~150万程といわれています。
土地の状態や建物の形状・構造、その他様々な要因でも価格は前後するため、建築メーカーや工務店などの専門家に詳しく相談することです。
賃貸併用住宅のメリットとデメリット
賃貸併用住宅を建てた場合のメリットとデメリットにはどんなものがあるでしょう。
メリット
・家賃収入が見込める
賃貸住宅の家賃収入を住宅ローンの返済にまわすことができますし、住宅ローン完済後は月々の収入源とすることができます。
・金利の低いローンを組むことができる
建物の床面積のうち、自宅部分が二分の一以上を占めている場合には、通常収益物件を建てる際に利用するアパートローンよりも、金利の低い住宅ローンを利用することができます。
・相続税対策になる
自宅のみの建物よりも、賃貸部分が2割程低く評価される賃貸併用住宅の方が、相続税評価額が下がります。
・ライフスタイルの変化に対応しやすい
マイホームを建ててから何年、何十年と経過すると共にライフスタイルも変化していくことがあります。親世代と同居することになったり、子世代が結婚し家庭を持った時などに、賃貸部分の一室を居宅用に変更することなどが可能になります。
デメリット
・建築費用が高い
通常のマイホームを建てる場合にくらべると、賃貸部分のコストもかかるので費用は高くかかります。必然的にローンの返済額も大きくなるため、計画段階から収益についてもしっかりと考えておくことが必要となります。
・収益性が下がる
一棟まるごと賃貸用のアパートに比べて、賃貸併用住宅では自宅分が除かれるため、その分家賃収入が減ることになります。
・売却が難しい
将来的に売却を考えたときに賃貸併用住宅は売却が難しい場合が多い。収益物件の購入を考える人はいても賃貸併用住宅を避ける場合が多く、マイホーム購入を考えている人も賃貸併用住宅の中から探す人が少ないため、結果として価格競争も起きにくく思い通りの価格で売却することが難しいと考えられます。
・入居者からのクレーム
何かトラブルが起きたときに、同じ敷地内に大家が住んでいると入居者から直接クレームが入りやすくなります。
賃貸併用住宅の失敗や後悔など
実際に賃貸併用住宅を建てた人から聞かれる失敗や後悔の例をまとめてみました。
・管理が大変
管理会社に頼まず自分で管理することにしたが、大家業務は思っていたより大変だった、という声が多くあります。管理が行き届かずトラブルが起きたら大変なので、管理はプロに任せる方がよいのかもしれません。
・いつも満室とは限らない
賃貸部分が空室になることも想定しておかなくてはいけません。あまりにもコストを減らすことを重視した部屋作りをすると、入居者が離れてしまう可能性もあります。
・プライバシー問題
自宅部分と賃貸部分の配置や間取りによってはお互いの導線が被り、生活が垣間見えてしまったり、生活リズムの違いによる騒音問題などが起こりやすくなります。専門家にしっかり相談することが大切です。
賃貸併用住宅を成功させるコツは?
賃貸併用住宅を建てたい地域と需要の調査
賃貸併用住宅を建てる際の重要なステップである、地域選定と需要の大切さについてお伝えします。
まず建てたい土地をお持ちでない方は、魅力的な地域の選定が大切です。便利なアクセスや交通網の整備、充実した施設や商業エリア、近くの学校や公園などが含まれます。将来の成長の見込みも考慮しましょう。これらの要素は、入居者のニーズや賃貸市場の需要に密接に関連しています。
地域の需要を理解するために、同様の賃貸併用住宅やアパート、マンションの入居率や需要動向を調査しましょう。周辺の人口構成や職業、学生の数など、ターゲットとする入居者層も把握することが重要です。これらの情報を基に、需要の高い間取りや設備、サービスを提供することができます。
地域の魅力と需要の探求は、市場競争力や収益性に直結します。魅力的な地域で需要のある賃貸併用住宅を建てることで、入居率の向上や適正な家賃設定など、収益を最大化することができます。
以上のように、魅力的な地域と需要の探求は、賃貸併用住宅の成功に向けた第一歩となります。丁寧な探求と分析を通じて、市場の要求に適合した建設地の選択を行いましょう。
快適な居住空間と収益性の両立
賃貸併用住宅の設計段階で、快適な居住空間と収益性の両立を実現するための重要なことについて詳しく説明します。
まず、快適な居住空間を実現するためには、間取りや設備に注意を払う必要があります。ターゲットとなる入居者が快適に過ごせるような機能的な間取りや収納スペース、十分なプライバシーを確保する配慮が必要です。
また、暖房・冷房設備や給湯設備など、快適な生活を支える設備も重要です。地域の環境はもちろん、居住者のニーズやライフスタイルに合わせた間取りや設備を選定しましょう。
一方で収益性を確保するためには、効率的な間取りやコスト削減の視点も考慮する必要があります。
例えば効率的な間取り設計により、無駄なスペースを最小限に抑え、家賃収入の最大化を図ることができます。また、建材や設備の選定においても、コスト効率を重視しながらも品質や耐久性を確保することが求められます。
さらに、収益性を高めるためには、将来のメンテナンスやリノベーションの視点も重要です。建物の耐久性や維持管理のしやすさを考慮し、将来的な修繕や改修の費用を抑えることができます。また、設備や仕様のアップデートに柔軟に対応できるような設計も検討しましょう。
設計段階での快適な居住空間と収益性の両立には、バランスと柔軟性が求められます。入居者の満足度を高めながら、賃貸併用住宅の経済的な持続性を確保するために、慎重な計画とデザインが必要です。
需要に合った間取りと設備の選択
賃貸併用住宅において、需要に合った間取りと設備の選択が魅力的な賃貸ユニットを作り出す鍵となることに焦点を当てています。
まず、間取りの選択についてです。賃貸併用住宅の間取りは、ターゲットとなる入居者のライフスタイルやニーズに合わせて慎重に考慮する必要があります。
例えば、シングルやカップル向けのコンパクトな間取り、ファミリー向けの広々とした間取り、シェアハウス向けの個室や共用スペースの配慮など、ターゲットとする入居者層に合わせた間取りを提供することが重要です。
また、収納スペースやプライバシーの確保など、居住者が快適に暮らせる配慮も重要なポイントです。
設備の選択も重要な要素です。入居者が快適に暮らすために必要な設備や機能を適切に提供することが求められます。
例えば、エアコンや暖房設備、キッチンやバスルームの設備、洗濯機や乾燥機など、日常生活に必要な設備を選定することが重要です。
また、最新のテクノロジーや省エネ性にも配慮し、入居者にとって魅力的な環境を提供することが望まれます。
安心な運営のために!法的事項と契約の重要性
賃貸併用住宅を運営する上で、法的事項と契約事項はとても重要です。
賃貸併用住宅を適切に運営するためには、地域の法的規制や条例に則った運営が必要です。建築基準法や建築物の耐震基準、消防法など、建築や住宅に関する法的要件を遵守することが求められます。
また賃貸借契約に関しても、適切な契約書を作成し、入居者との関係を明確にすることが重要です。賃貸借契約や入居者の権利・義務についての法的な知識を持つことは、トラブルや紛争を予防するためにも不可欠です。
契約の重要性は、入居者との円滑な関係構築にも関係しています。入居者との契約では、家賃や更新条件、修繕費の負担、入居期間などを明確に定めることが重要です。適切な契約の締結により、入居者との信頼関係を築き、安心な運営を実現することができます。
安心な運営を実現するためには、法的事項と契約の適切な対応が欠かせません。法的な要件や契約の内容を理解し、適切な手続きを行うことで、賃貸併用住宅の運営において問題を未然に防ぎ、スムーズな運営を実現することができます。
建てる前に知っておきたい、信頼できる建築会社の選び方とは?
建てる前に信頼できる建築会社を選ぶことは、家づくりを成功させるために非常に重要です。ここでは、建築会社を選ぶ際に押さえておくべきポイントについて解説します。
実績や評判を確認するために行うべきこと
まず、建築会社を選ぶ際には、実績や評判を確認することが
大切です。建築会社のウェブサイトやパンフレットには、実績や施工例が掲載されていることが多いですが、実際に現地を見学したり、建てた人の口コミを調べたりすることで、より詳しい情報を得ることができます。
現在は宿泊体験イベントや、建築資材を育てるイベントなどを開催する建築会社も多いです。様々なイベントに積極的に参加し、複数社を見比べることが大切です。
建築会社とのコミュニケーションの重要性
建築会社とのコミュニケーションはとても重要です。
特にレスポンスの速さや対応力などは契約前に注目しておくと良いでしょう。いざ契約して打ち合わせとなった時、営業担当がうまく要望を汲み取ってくれなかったり、急なトラブルの際連絡がつかないとなると、後々大きな問題となってしまいます。
家づくりは、自分たちが住む場所を作ることですから、自分たちの理想や要望を建築会社にしっかり伝えることが必要です。そのため、建築会社とのコミュニケーションがスムーズにできるかどうかは、非常に重要なポイントとなります。
契約前に確認すべきポイント
契約前に確認すべきポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 建築会社が保有する資格や許可について
- 契約内容や工期についての詳細
- 支払い方法や追加費用についての明確化
- 建築会社の保証やアフターサービスについての確認
これらのポイントを確認することで、自分たちに合った信頼できる建築会社を選ぶことができます。
まとめ
家賃収入を住宅ローン返済に充てられたり、ローン完済後も不労所得となる賃貸併用住宅。ライフスタイルの変遷にも対応できたり、節税対策になったりと惹かれる点も多いですが、同じように注意点もいくつかあります。
建物が完成してしまってからでは修正ができないことが多い家の建築。土地の選定・建物の構造・自宅部分と賃貸部分の配置や間取りなど、後悔しないためには緻密なプランニングが欠かせません。賃貸併用住宅を建てようと思い立ったら、まずは実例を見たり調べたりすることでイメージをつかみ、自分に合うプランを見つけましょう。