コンテンツマーケティングは目的やユーザー層によって、最適なアプローチ方法が違います。
記事、事例、レビュー、ホワイトペーパーなどさまざまな手段があることを理解し、最適な手段を組み合わせて運用していきましょう。
コンテンツマーケティングといえばブログ形式のメディアを想像する人が多いかと思いますが、まずはできそうな媒体から始めるのもおすすめです。
少ないリソースで始められるものから着手していけば、いきなり人員を追加確保する必要もありません。
そこで今回は、コンテンツマーケティングの種類と効果について、詳しくお話しします。
記事を最後までお読みいただければ、自社に合ったコンテンツマーケティングの種類や媒体がわかります。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって有益なコンテンツを提供し、ユーザーに見つけてもらうマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングはオウンドメディア、とくにブログでの発信だけを指すと思われやすいのですが、媒体はブログに限らず、SNSや動画、広告などさまざまな手段を用いて行います。
コンテンツマーケティングで重要なのは
- ユーザーにとって有益なコンテンツを制作する
- ユーザーのニーズを育成する
- ファン化につなげる
この3つを段階的に行うことです。
企業が伝えたい情報を優先して発信しても、すでにニーズが顕在化した層にしか響きません。
しかし、コンテンツマーケティングでユーザーの求めている情報を広く発信すれば、まだ自分の悩みや商品・サービスの必要性に気が付いていない人にも情報を届けられます。
簡単にいえば、いきなりデートに誘うのではなく、相手の趣味や関心のあること、困っていることを相談してもらえる関係を作るようなものです。
よく知らない間柄のままデートに誘うよりも、相手と関係性を築いてから誘った方が成功率は格段に高くなるような気がしませんか。
実際に多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組み、成果を上げています。
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コンテンツの種類
コンテンツマーケティングで制作するコンテンツには、さまざまな形があります。
どのようなスタイルがあるかを知っておくことで、自社の商品・サービスに適した手法で情報を発信できます。
長期的な継続流入を期待できる記事コンテンツ
ブログ記事のような記事型コンテンツは誰でも取り組みやすく、コンテンツマーケティングで最も一般的です。
記事型コンテンツの積み上げは検索上位を獲得するために効果が高く、優れたコンテンツを継続的に制作できれば、集客経路としても頼もしい存在となるでしょう。
またユーザーにとっても、次のようなメリットがあります。
- 他の作業をしている間に片手間で読める
- 目次・見出しを設置しておけば、欲しい情報がどこにあるかがわかりやすい
- 関連情報を追いやすい
- 読み物として楽しめる
- データ容量をさほど気にせず楽しめる
- 電車やバスなどの移動中にも読みやすい
記事型コンテンツならではのメリットが多いことから、5Gが普及し始め動画がより身近になっても需要は減らないでしょう。
ただし、繰り返しになりますが集客やリード獲得を目指すのであればある程度クオリティが必要です。
優れた記事型コンテンツを作るためにはSEOやユーザーニーズの調査、競合調査など制作前の準備も多いため、制作会社の協力のもとで進めていくとよいでしょう。
関連:記事外注で後悔しない!優良サービス11選と発注前の準備
記事のメリット:
- ユーザーの生活に溶け込みやすい
- コンテンツSEOで検索上位が獲得できれば多くの流入を得られる
- 継続的な集客・お問い合わせにつながる
認知度アップを期待できるSNS投稿
SNS投稿は短い文章と画像だけで始められるため、比較的少ないリソースで始めやすいコンテンツといえます。
ただしSNSは媒体によって特徴やユーザー層、好まれる投稿が違うため、商品やサービス・届けたいユーザー層に合ったところを選びましょう。
たとえば「Twitterは拡散力が高く認知獲得に向いているが、エンゲージメントが低い」「Facebookで最も多い利用者層は30代以降の男性。ビジネス目的の利用が多い」など、それぞれの特徴を捉えて適切な場所を選べば、効果を最大化しやすいといえます。
また、いくら良いコンテンツを用意しても、継続して情報を発信していかなければ効果が薄れてしまいます。
とくにSNSは新しい情報が毎秒単位で流れては消えていく場所ですから、ターゲット層とターゲット層の関心、行動傾向などをリサーチした上で、運用方針や期間、投稿数、投稿の内容を計画して運用していく必要があります。
SNS投稿のメリット:
- 一般消費者に親しみを持ってもらいやすい
- 手軽に投稿できる
- 世界観やメッセージを発信できる
- 拡散される可能性がある
情報量に優れた動画コンテンツ
現在コンテンツマーケティングは記事型オウンドメディアが主流ではあるものの、動画もまた、注目が高まっているコンテンツです。
動画コンテンツは伝えられる情報量が多いため、さまざまな切り口でコンテンツを制作できます。
またウェビナーやイベントとの相性もよく、動画を視聴した後の動線が作りやすいので、積極的にコンテンツマーケティングに取り組みたい企業に最適といえます。
Sansan株式会社が名刺交換アプリ「Eight」のPRのために制作した動画は、圧倒的なクオリティで海外からも注目を集めました。
動画では名刺交換の動きをスタイリッシュな動きで表現。人数が増えるたびに複雑化していく動きは「ピタゴラスイッチ」のような面白さがあり、目を惹き付けられます。
2021年現在、視聴回数は170万回にも上り「多くの人との名刺交換もアプリ一つで簡単にできる」というメッセージを多くの人に届けることに成功しています。
幅広い雑貨を扱う東急ハンズでは、取り扱い商品の紹介動画の他、商品を使ったお掃除術など実践形式の動画を配信しています。ユーザーに役立つ・ユーザーにとって有益であることを最優先した動画であり、コンテンツマーケティングのお手本ともいえるでしょう。
動画のメリット:
- 伝えられる情報量が多い
- イメージや雰囲気など言語化しにくい要素も伝えられる
- 拡散される可能性がある
- 認知拡大効果が高い
デメリット:
- 制作費用が高くなりやすい
- 問い合わせにつながりにくい
サービスを直接アピールできるウェビナー
コロナ渦で気軽にイベントを開催できなくなった今、ウェビナー(オンラインセミナー)は人気のコンテンツです。
参加者の課題を解決しつつ、コミュニケーションをとって関係を深めることができます。
また
- 部分的に切り出して使用する
- 特典として利用する
- 重要部分をまとめ資料として提供する
など、さまざまな使い道があるので、一度の開催で多くのコンテンツを制作できます。
ウェビナーのメリット:
- 告知から開催、後日に渡って見込み客への認知拡大が見込める
- 見込み顧客との距離を縮められる
- コミュニケーションが生まれる
- 関心、反応データがとれる
- 低コストで制作できる
- 再利用できる
- 関心度の高い顧客リストが作成できる
ウェビナーのデメリット
- 登壇者のアサインが難しい
- 提供する情報の準備が必要
- 集客経路が確立していないと参加者が集まらないこともある
有益な情報を発信できるホワイトペーパー(お役立ち資料)
ホワイトペーパーは、BtoBマーケティングで活用されることの多いコンテンツです。
企業や業界の課題と、自社サービスを利用した課題解決方法をまとめた内容となっていることが多く、いわゆる「お役立ち資料」という位置づけです。
課題を解決する「方法」や「ノウハウ」「解説」などをメインとし、サービス紹介を前に押し出し過ぎないように注意しましょう。
ホワイトペーパーは自社サイトに用意し、氏名や会社名、連絡先情報を入力する引換として、ダウンロードできるようにするのが一般的となっています。
ダウンロードを通してリードを獲得できるとともに、ホワイトペーパーの内容を理解して、解決に意識を向けた見込み客をサポートすることで、育成(ナーチャリング)へとつなげることができます。
導入後の変化をつかみやすい導入事例
導入事例は、商品・サービスを導入した顧客から、導入の理由や活用方法などをヒアリングして掲載するものです。
主にBtoBマーケティングのために作成しますが、効果としてはBtoCマーケティングの「口コミ」や「利用者の声」と近いものがあり、ユーザーが導入後の変化をイメージしやすくなる効果があります。
口コミや利用者の声には「バンドワゴン効果」が含まれます。バンドワゴン効果とは、多数が支持している事柄がより魅力的に見える現象です。
多くの利用者が支持している商品やサービスは、周りのポジティブな興味や関心を引き寄せます。好意的な口コミが集まれば、結果として、より多くの人が該当の商品やサービスを支持するようになるでしょう。
商品やサービスが信頼に足るか、自社のニーズにマッチするかを判断するとき、サービスを提供する企業が発信する情報とは別に「客観的な意見を得たい」と考えるのは自然なことです。
そのため導入事例として、すでに商品・サービスを導入した人の意見を掲載するのは信頼性の向上につなげられるでしょう。
また、BtoBサービスの導入は多くの場合、担当者の一存だけでは決定できません。
導入事例は社内稟議を通すための材料としても使われます。自社と似た属性の企業の導入事例があれば「導入した場合の良い変化」をわかりやすく提示できるでしょう。
そうしたとき、導入事例は検討期間を短縮し、購入へのステップを後押ししてくれる存在となります。
導入事例のメリット:
- 導入後の変化をイメージしてもらいやすい
- 企業の発信する情報でなく「第三者の声」として、受け入れられやすい
- 決定直前で迷っているユーザーの背中を押す効果がある
導入事例のデメリット:
- 協力者となる既存ユーザーがいなければ作成できない
- 事例の作成にヒアリング・インタビューが必要
関連:導入事例の書き方とは?使えるテンプレートと作成手順を公開
コンテンツの広め方
ここまで、コンテンツマーケティングと相性のよいコンテンツ形式についてお話ししてきました。
ここからは、コンテンツを発信する手段として「媒体」についてお話しします。
コンテンツマーケティングに取り組む際、消費者との接点になる媒体はどう選べばよいでしょうか。
トリプルメディアの特性を知っておこう
トリプルメディアとは
- オウンドメディア(自社所有のメディア)
- ペイドメディア(広告費を払うメディア)
- アーンドメディア(口コミや評判など自社の「評価」にあたるメディア)
の3つを指します。
トリプルメディアはそれぞれ違った特性を持っていて、互いに補完関係にあります。
例えば、テレビCMやWEB広告などのペイドメディアを見て検索した人が、ブランドサイトや対象のサービスを取り扱っている公式Twitterなどのオウンドメディアに辿り着くケースがあります。
また、さらに公式Twitterなどのオウンドメディアで記事を見た人が感想を個人のブログに書くことでアーンドメディアが生まれるなど、互いの存在があることで情報伝達の輪が拡大していく波状効果が期待できます。
オウンドメディア
トリプルメディアはそれぞれバランスよく足掛かりを作っていくことが必要ですが、リソースが限られる場合、まず自社でコントロールが可能なオウンドメディアから制作を進めることをおすすめします。
また、ユーザーがペイドメディアやアーンドメディアを入口としてオウンドメディアに辿りついたとしても、ユーザーの期待に応えられるコンテンツを用意できてなければ、期待外れとなってしまいます。これでは、せっかく動線ができても成果は上がりません。
まずはオウンドメディアのコンテンツを厚くして、辿りついてくれたユーザーをがっかりさせないようにしましょう。
ペイドメディア
オウンドメディアが充実してきたところで着手したいのがペイドメディア(広告)です。
とくにWeb広告は消費者の行動を追跡して「支持されるコンテンツ・支持されないコンテンツ」を分析できるため、コンテンツ制作においてノウハウを積むことができます。
しかし広告である以上コストはかかりますから、効果測定を基にコンテンツの改善を繰り返し、広告費用を無駄にしないようにしましょう。
アーンドメディア
アーンドメディアはいわゆる「口コミ」のことで、ユーザーからの共感や評価のことを指します。SNSやブログなどでユーザーが主体となって情報発信をするため、自社でコントロールすることが難しいといえます。
SNSではオウンドメディアを参照されやすくするよう自社アカウントを運用し、正しい情報が広められるようにしましょう。
また認知向上やブランディングのためには重要なものの、扱う商品やサービス・ターゲット層・業界などによってはあまり効果が得られないこともあります。
戦略的なコンテンツ作成のポイント
コンテンツ形とどのように届けるかを理解したところで、コンテンツを作る際に重視したいポイントをお話しします。
「コンテンツイズキング」「良質なコンテンツが重要」といいますが、良質なコンテンツとは何かを見失わないために、次のポイントを忘れずに
目的を明確にする
コンテンツマーケティングにおいて最も大切なのは、目的を明確にすることです。
「自社の認知を高めたい」という目的と「見込み客を獲得したい」という目的では、制作すべきコンテンツが変わってきます。
予算をかけて「なんとなく」コンテンツマーケティングを実施する人は少ないかと思いますが、だんだんと目的が曖昧になったり、本来の目的を見失ってしまったりすることはよくあることです。
目的が二転三転してしまうと、成果が出るまでの期間も当然長くなってしまいます。
そのため、コンテンツマーケティングに取り組む前に、チーム全員で目的を共有し、ブレないようにしましょう。
目標は数値で立てる
コンテンツマーケティングに取り組む際には、目標はできるだけ数値を用いて具体的に立てましょう。
目標設定の際によく使われるのが「KPI」と「KGI」です。
KPIは「Key Performance Indicators(重要業績評価指数)」の略で、最終的な目標の達成度を測る「中間目標」のこと。
対してKGIは「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」であり「最終目標」を指します。
「KGI(最終目標)」を達成するために「KPI(中間目標)」を定めるという関係性にあります。一見難しそうに聞こえるかもしれませんが、日本語にしてみると非常に単純な構造ですね。
KPIとKGIを明確に定めることで、
- チームのモチベーション向上
- 作業効率アップ
- 評価基準を統一できる
- 問題の早期発見
などの効果が期待できます。
たとえば、ECサイトの月間売上目標が1,000万円だとして、その1,000万円を達成するために必要となる数がKPIです。
ECサイトの平均売上単価が10,000円であれば、受注件数は1,000件必要です。受注率2%と仮定すると、毎月のアクセス数は50,000アクセス必要となります。
さらに、オウンドメディアからECサイトへの流入率が20%だとすると、オウンドメディアには月間250,000アクセスが必要です。
このように最終目標から逆算してKPIを設定しておくと、次にすべきことが明確になることに加えて、問題が起こったときにも数値とのずれからすぐに発見・改善に取り組むことができます。
ユーザーのニーズをとらえる
目標・目的を明確にするのはコンテンツマーケティングの下準備として、コンテンツ制作では「ユーザーのニーズをとらえ、期待に応える」ことが最重要です。
コンテンツマーケティングはユーザーのニーズに対してコンテンツを制作する、いわゆる「マーケットイン」を根底として進めていきましょう。
ユーザーのニーズをとらえるにはアンケートやヒアリング、インタビューのほか、検索キーワードから読み解く方法があります。
検索キーワードは、ユーザーの知りたいことや疑問、気になっていることそのものです。
検索数や競合調査、コンテンツへの反応、検索順位などからキーワードに隠れたニーズを明確にしていき、改善を繰り返していきましょう。
記事コンテンツの具体的な制作方法は「記事作成の方法とコツ!Webで読まれる・行動につなげるためには?」で詳しく解説しています。
コンテンツの自社制作がおすすめできない理由
コンテンツマーケティングで効果の出るコンテンツを制作する際には、自社制作と外注のどちらがよいのでしょうか。
先に言ってしまえば、一から十まですべて自社で行なうのはあまりおすすめできません。
リソースや制作環境、期間、規模などによっても違いがありますが、目に見える成果を出したいのであればプロのサポートが必要となります。
それには、次のような理由があります。
自社制作は業務過多を招きやすい
コンテンツ制作は、一言でいえば「大変」です。
すべて自社でやり切ろうとすれば、ある程度の人員と時間を確保しなければなりません。しかしコンテンツマーケティングの成果が具体的に得られない以上、雇用に踏み切れない企業も多いでしょう。
体制を変えずにやることだけが増えれば、やがて業務過多を招きます。また、もともとコンテンツ制作以外の業務を担当していた人を配置すると、知識の吸収から始めなければならないため、効率が悪くなってしまうこともあります。
コンテンツ制作は外注を活用すれば、より重要度・優先度の高い業務に時間を使えます。
コンテンツマーケティングではサイト構築や動線の設計、コンテンツごとのPDCA、テストの実施など重要な業務は数多くありますから、外注を上手に使って業務を円滑に進めましょう。
高品質なコンテンツが求められるようになっている
ユーザーは常に高品質なコンテンツ体験を求めています。こうした声に応え続けた結果、10年前と比べてWebコンテンツのレベルは遥かに上がりました。
そして、これからもその流れが変わることはないでしょう。
コンテンツの品質が上がっているということは、当然コンテンツ制作にかかる労力とコストも増えているということです。
記事コンテンツ1つをとっても、キーワード選定や検索理由のリサーチ、競合調査、ペルソナの設定・動線を踏まえた構成の作成など、多くの工数がかかります。
ユーザーのニーズ調査・ニーズの発掘・最大化までのノウハウが豊富なプロに相談し、費用対効果の高いコンテンツ制作を行いましょう。
まとめ
今回は、コンテンツマーケティングの種類・媒体・運用のポイントなどをお話ししました。
見込み客にどのような形でコンテンツを提供するか、どのように届けるかは、商品やサービスによって異なります。
今回ご紹介した複数のコンテンツ形式・媒体を使って相乗効果を狙う、見込み客の段階に合わせて適したコンテンツを届けるなど、目的に合わせて最適な戦略を立てていきましょう。