【メンズ】ジレのおすすめコーデと鉄板着こなし術|ブランドも紹介します
ジレは、通称ベストと呼ばれているおなじみのアイテムです。もっと分かりやすくいうと、スーツの3ピースのベストのようなアイテムを指します。
そうと聞くと、フォーマルなイメージを思い浮かべてしまう人が多いかもしれません。しかし、実はジレの中にはカジュアルな雰囲気を与えてくれるものもあります。生地や材質がどんなものかによって、様々なシーンで応用ができます。ジレとベストに大きな違いはないですが、TPOに合わせていくつかの種類に分けることができます。
そこで今回は、ジレの知識から着こなし、おすすめの逸品まで、人気スタイリストの大山旬さんにお話しをおうかがいしました。今までジレを着たことのない方にこそ、ぜひお読みいただければと思います。
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メンズスタイリスト
人気スタイリスト。日本最大級のファッション学習サイト「メンズファッションスクール」主宰。これまでに著書は5冊出版。累計8万部を突破。読売新聞、朝日新聞、NHK、TBS、テレビ朝日、フジテレビなどメディア出演も多数。
ジレとは?
最初にも申し上げましたが、ジレは、通称ベストと呼ばれているおなじみのアイテムです。国・地域で呼び方が異なります。
✿ファッション豆知識✿ 世界のジレの呼び方について | |
イギリス | ウエストコート |
イタリア | パンチオット |
アメリカ | ベスト |
フランス | ジレ |
日本 | チョッキ |
このように各地域で名称が違いますが、用途は変わらず、ジレというのははフランスの言葉になります。日本でベストと呼ぶと、チョッキなどの防寒着を想像してしまいがちなので、おしゃれに扱うベストは、ジレと呼ぶことが多いです。
「チョッキ」より「ベスト」、「ベスト」より「ジレ」のほうがおしゃれというイメージですね。袖がないのが共通点で、シャツの上に重ね着をしたり、さらにその上から上着を着たりします。
ジレは、ドレスシャツなどのクラシックな服装と相性が良く、大人っぽいスタイルを作ることができます。カジュアルなスタイルも作れますが、少々コツが必要になるといったこともポイントです。コーデについては、後ほど詳しくご説明いたします。
ジレの種類
ジレは大きく3つの種類に分けることができます。
- ドレススタイル向け
- カジュアル向け
- ニット
一体、どんな違いがあるのでしょうか?
①ドレススタイル向け
スーツのセットアップとして付属してくるものや、ジャケットなどを作るブランドが販売しているものがこれに当たります。上着の中に着ることを前提としているため、背中は薄いキュプラやレーヨン、ポリエステルなどの生地になっていることが多いです。
画像:uktsc.com
②カジュアル向け
綿や麻、デニムなどのカジュアルな生地を用いていて、①とは違い表裏が同じ生地で作られています。ポケットに蓋やボタンが付いていたり、刺繍が入っていたりというデザインの物もみられます。
画像:sowear.jp
③ニット
使い勝手の良い、カーディガンの袖をなくしたようなデザインです。サラリとした仕立てのものならジャケットと合わせて、また、太めの毛糸で織られた模様が入ったようなタイプならカジュアルな服装に合わせてラフに着こなすこともできます。
画像:uktsc.com
【メンズ】ジレの着こなしコーデ事例
ジレは普段のファッションに少しだけ変化を付けたいときに、大活躍してくれるアイテムです。フォーマルからカジュアルまで幅広く使うことができますが、今回は②のカジュアル向けジレを使った着こなしコーデをご紹介いたします。
シャツ×ジレ
まずはビジネスカジュアルで取り入れやすい、シャツとの組み合わせです。「ネイビージャケット×白シャツ×グレースラックス」に「ジレ」を組み合わせる、たったこれだけです。
ジレを選ぶ時は、グレー系が合わせやすいのでおすすめです。スリーピースのクラシックなスーツスタイルとの差を出すために、ベストはジャケットと違う色を選ぶと良いでしょう。写真のように、ネイビージャケットの中に、ちらりとのぞくジレ、そして白シャツのレイヤーができて、バランスが良くなります。
また、ビジネスシーンではジレは基本的に重ね着をします。なぜならば、単品だとバーテンダーのような雰囲気が出てしまうからです。
このスタイリングはキレイ目にまとまるので、少し背伸びしたレストランへのお出かけにも最適です。
ノーネクタイでジャケットという組み合わせは、ビジネスマンの王道スタイルです。でも、おしゃれを楽しむなら「人との違い」を作りたいと思いませんか?
そういう時に使いたいのが「ジレ」です。取り入れるだけで、いつものスタイルに変化を加えることができます。ジャケットと同じ色を選んでしてしまうと、クラシックなスリーピースになってしまうので別の色にしてくださいね。
定石はグレー系、ベージュもいいですね。ジャケットと同系色でも、千鳥格子やウィンドウペンなど、少し柄があるものだと良いアクセントになります。
Tシャツ×ジレ
画像:sowear.jp
次は、Tシャツとジレのコーディネートです。こちらは「Tシャツ×ジレ×ホワイトジーンズ」という爽やかな組み合わせなので、じめじめした季節にも良いですね。シンプルなコーディネートですが、カジュアルなジレをプラスすることで大人っぽさを出しています。
ジャケットを羽織れば秋口まで使えて、職場によっては会社でもOKなきちんと感を出すことができます。写真のように腕まくりをすれば、よりカッコよく、おしゃれ上級者のように見えるでしょう!ジャケットをニットカーディガンにすると、よりリラックスした感じになります。
ジレは、薄手のカーディガンと同じような感覚でも使えるので、ぜひトライしてみてはいかががでしょうか?
ここ数年、このようなジレを使ったスタイリングがトレンドになっています。僕も普段からよく取り入れています。
特にTシャツとの相性が良く、カジュアル過ぎる装いの中に、程よくこぎれいさを漂わせてくれます。ジレを重ねただけで、大人の色気をプラスすることができるでしょう。一番下のボタンは、留めずに着ることがポイントです。
ジレは馴染みの薄いアイテムだとは思いますが、このような意外性のあるアイテムを上手に使えるようになると、ファッションの幅はグンと広がります。
おすすめブランドとジレ3選
大山旬さんがおすすめするブランドは、『TAGLIATORE(タリアトーレ)』と『LARDINI (ラルディーニ)』です。どちらもはジャケット専業ブランドなので、ジレもジャケットに合わせるものが多く展開しています。
■TAGLIATORE(タリアトーレ)
イタリアのジャケット専業ブランドであり、セレクトショップで最も売れているブランドの1つです。タリアトーレとはイタリア語で「裁断士」を意味しており、カッティングに定評があります。カッティングとは型紙(パターン)に合わせて生地を裁断することです。特徴はウエストのシェイプさで、とてもスタイリッシュに魅せることを実現しています。
■LARDINI (ラルディーニ)
ラルディーニも、先ほどと同じイタリアのジャケット専業ブランドです。ハンドメイドでmade in Italyにこだわりを持ち、中でも生地は国内屈指の生地ブランドから直接仕入れ良質なものを使用しています。同ブランドの十八番は「アンコン・ジャケット」であり、一枚仕立てのものを作っているので、ジレも同じように作られています。
次からは、おすすめのジレについてご紹介していきます。
メランジホップサックベスト
おすすめ
メランジホップサックベスト
まずは『TAGLIATORE(タリアトーレ)』のジレです。こちらは、ウエストのシェイプをスッキリ仕上げたシングルタイプです。ジャケットを羽織らなくても様になり、単品でも使える使い勝手の良いアイテムになっています。無地のような合わせやすさの中に、表情のある素材感も感じられるでしょう。
こういったニュアンスのある表情は、メランジ調素材を使っているからです。メランジとはフランス語で”混合する”という意味で、2色以上の霜降り糸のことをいいます。糸に加工する前の状態で染色し、その時に生じる染色ムラが仕上げた際に色の濃淡として現れ、霜降り調の色合いが現れる製法です。
タリアトーレ創業者のピーノ氏は、工場のオーナーでありながらデザインやパターンも手掛ける多才な人物です。クラシックな仕立てをベースとしながら、艶っぽさを前面に押し出した提案をしています。
『TAGLIATORE(タリアトーレ)』は、イタリアのジャケットの専業ブランドになります。セレクトショップでも人気が高くなっているジャケットブランドの一つでもあります。
ウエストのシェイプが特徴的で、どんな体型に関わらずスタイルよく見えるようになります。僕がお客様に提案するブランドの中でも、定評のあるものでもあります。
メランジホップサックベスト の詳細 | |
メーカー | TAGLIATORE(タリアトーレ) |
サイズ | 46・48 |
メイン素材 | 表地前身頃:綿55%、麻45% 表地後身頃:キュプラ100% 裏地:100% |
メーカー希望小売価格 | 28,080円(税込) |
ウールリネンベスト
おすすめ
ウールリネンベスト
続いては、『LARDINI (ラルディーニ)』のジレになります。レイヤードスタイルにメリハリを加えてくれる逸品です。
ちなみに、レイヤードスタイルとは「重ね着」のことを表します。正確には、防寒のためだけに「インナーを着込むこと」ではなく、ベストの上にジャケットを羽織ったりするスタイルです。このファッションのポイントは、色や柄そして素材などがバラバラなものを積み重ねて着ると、妙にしっくりくる点にあります。個性を引き出したい方は、ぜひチャレンジしてみてください。
話を戻しましょう。
世界の名だたるメゾンのアイテムを30年以上作り続けてきたこちらのブランドは、2010年春夏シーズンよりクリエイティブディレクターの「LUIGI LARDINI氏」が指揮を執り、新しいコレクションを発表しています。製品洗い・製品染め・ハンドペインティング・コントラストステッチ・拝みボタン等のディティールを生かし、それらの仕様を組み合わせることで新しい表情を生み出しています。
こちらのジレは、リネンウール素材仕様(縦糸がリネン、横糸がウール)になっています。洗濯の際は、熱湯を使うとウール部分が縮んでフェルト化してしまいますので、必ず水を使ってください。洗濯機の手洗いモードで、ウール洗い用洗剤をお使い頂くことをおすすめします。
僕も『LARDINI(ラルディーニ)』のジレは愛用しています。ジレを選ぶ上で重要なことは、色の差を付けることです。今回のこの色はネイビーなので、ジャケットに合わせるならネイビー以外の物にしてください。クラシックになりすぎて、やや硬い印象を与えかねないからです。
ラルディーニは、ジャケット専業ブランドでコートやドライシューズも最近は作っています。花のロゴがモチーフで、非常に良いものを提供してくれます。
ウールリネンベストの詳細 | |
メーカー | LARDINI (ラルディーニ) |
サイズ | 46・48 |
メイン素材 | 表地 前身頃:50%、麻50% 後身頃:綿100% 裏地:綿100% |
メーカー希望小売価格 | 36,720円(税込) |
ミラノリブニットジレ
おすすめ
ミラノリブニットジレ
最後は『UNIVERSAL LANGUAGE(ユニバーサルランゲージ) 』のジレをご紹介します。
この商品は、1850年創業の「ゼニアバルファ」というヨーロッパ最大の紡績メーカーが作っており、極上ウールを使用した美しい目面と柔らかい肌触りは格別です。程よい厚みとハリ感が特徴の「ミラノリブニット」は型崩れしにくく、長い間きれいなシルエットを保ってくれるでしょう。
毎シーズン好評なシリーズが、より一層クラシカルな雰囲気が醸し出せるようにブラッシュアップされています。従来のポケット風ディティールやバックベルトに加え、背面を別布で切り替えた本格仕様です。ジャケットINでも着やすい、すっきりとしたフォルムは健在です。
『UNIVERSAL LANGUAGE(ユニバーサルランゲージ)』の母体は洋服の青山です。品質も素晴らしいですが突出した点はそのコスパにあります。品質が良く値段が非常に安いので、ビジネスマンから絶大な支持を得ています。
このブランドはオプション料金も一切かからないので、リピーターがとても多いです。おしゃれ初心者の人は、初めてのジレはユニバーサルランゲージがいいと思います。
ミラノリブニットジレの詳細 | |
メーカー | UNIVERSAL LANGUAGE(ユニバーサルランゲージ) |
サイズ | S・M・L・L |
メイン素材 | ウール100% 、別布部分ポリエステル:100% |
メーカー希望小売価格 | 12,960円(税込) |
ジレの手入れ方法
ジレを長く着るためには、毎日のお手入れが大切です。
最後に、ジレの正しいお手入れ方法を紹介します。間違ったやり方でジレを傷つけないようにしっかりと確認しておきましょう。
①ブラッシング
ジレが色あせてしまう原因として、日光による紫外線の影響のほか、ホコリの影響が挙げられます。
ホコリの主成分はアルカリ性であるため、生地の繊維を傷めてしまう恐れがあるからです。
そのため、家に帰ってきたらまずはブラッシングをして、ジレに付いたホコリを落としてあげることがポイントです。
ブラッシングをする際は、毛の硬い豚毛ブラシなどではなく、柔らかい馬毛のブラシを使うようにしましょう。
②シワ取り
ジレを毎日着用していると、立ったり座ったりの動作によって付いてしまうシワに悩まされることも多いかと思います。
ジレにシワが付いてしまった場合は、衣類用のシワ伸ばしスプレーを使うことでシワを伸ばすことが可能です。
シワ伸ばしスプレーの中には、殺菌消臭効果が期待できるものもあるので、汗やたばこの臭いが気になるときにも一石二鳥ですよ。
まとめ
今回はジレについてご紹介しました。ジレには、フォーマルなものからカジュアルなものまで、幅広く存在していることがお分かり頂けたと思います。
ジャケットにノーネクタイの王道スタイルも良いですが、そこにジレを加えることによって、おしゃれな大人の男性に魅せることができます。普段と気分を変えたい時、少しだけ人と差をつけたい時など、打ってつけのアイテムです。
ジレ初心者の方は、コーディネート事例にあるようなグレーなどを選びましょう。着こなしに慣れてきたら、ベージュやネイビーなど、違う色にもチャレンジしてみてください!