注文住宅の間取り決めのポイントは?費用別や世代別のおすすめ間取りもご紹介

注文住宅では家族で1から家づくりができるのが大きな魅力。間取りも自由に決められますが、デザイン性や個性にこだわりすぎると実際に住み始めてから「洗濯機からバルコニーが遠すぎて運ぶのが大変」「リビングの上が子ども部屋で足音がうるさい」など不便さに気づいて「もっと考えてから決めればよかった…」と後悔してしまうかもしれません。

そこで今回は、注文住宅の間取り決めで失敗や後悔をしないよう、間取りの決め方や注意点、おすすめの間取りなどをご紹介します。実際の建築事例から費用別に間取り図を掲載していますので、ポイントをチェックしつつ参考にしてみてください。

注文住宅の間取りを決める流れ

まずはじめに、注文住宅の間取りを決定する際のおおまかな流れを紹介していきます。

  1. 注文住宅の間取りに求める優先条件を考える
  2. 建築事例や間取り例を見てイメージを作る
  3. ハウスメーカーや工務店に間取り提案を依頼する
  4. 納得のいく間取りができるまで検討を重ねる

間取りを決める際は、まずは自分が新居に何を求めているのかを考えることが重要です。優先順位をつけた時に、1番求める条件を実現させるにはどのような間取りが良いのかを検討していきます。

例えば「子育てがしやすい家」であれば、子育て世帯の先輩がどんな間取りの注文住宅を建てているのか調べてみると良いでしょう。予算を最重要視しているのであれば、設定した予算内でどのような間取りを実現できるのかを確認してみましょう。

ハウスメーカーや工務店のホームページ等で間取り例を見てみて気に入った間取りがあれば、「どの部分を気に入ったのか」をピックアップしてみましょう。そうすることで、注文住宅に求める間取りの条件が具体的に理解できてきます。

この段階まで来たら、次は家づくりを依頼するハウスメーカーや工務店に要望や理想の条件を伝えたうえで、間取りの提案を依頼しましょう。多くのスタッフは施主が納得するまで丁寧に打ち合わせてくれるので、納得のいく間取りができるまで検討を重ねることが大切です。

注文住宅の間取り決めで意識したい5つのポイント

間取りを決める上で一番簡単で確実なのは設計士や建築士にアドバイスをもらうことです。

とはいえ、ハウスメーカーに提案してもらった間取りが本当に利便性を考えたものなのか不安を感じたり「家族で1から家づくりをしたい」という方いるでしょう。

間取りを決めるときに多くの方が意識している5つのポイントをチェックしてみましょう。

ポイント①:まとまった家事動線

家事動線は、家の間取りを決める上で非常に重要な要素です。部屋間のつながりや移動のしやすさを考慮して決めるようにしましょう。キッチンとダイニング、リビングとテラスなど、日常の動線や使い勝手に配慮した配置にすると快適に生活できます。

脱ぐ・洗う・干すといった洗濯のフローや、料理・配膳・後片付けといった毎食の準備などを行う場所は、なるべくまとまっていると毎日の家事が楽になるでしょう。

また、家事を効率的に行うためには、家の各部屋や家事スポットの間の移動がスムーズであることが必要です。余分な障害物や狭い通路を避け、家事スポットへのアクセスがしやすいように配置しましょう。

ポイント②:将来の変化に対応する柔軟性

注文住宅をつくる時は、将来のライフスタイルの変化にも対応できるように考慮しましょう。子供の成長や家族の拡大、趣味や仕事の変化などを見越して、必要なスペースや機能の拡張や変更ができるように計画することが大切です。

今は必要なくても、将来子どもが生まれたり二世帯で同居する可能性などがあれば、それに応じた部屋数が必要になります。間取りを決める前にライフプランもしっかり考えておくと安心です。

住宅は非常に長い期間住むことになります。長い年月を過ごしていくうえで足腰が弱ってくると、大きな段差などがあると移動に苦労するかもしれません。後からリフォームしても良いですが、注文住宅を購入する年齢によってははじめからバリアフリーな間取り設計を心掛けておくことも重要でしょう。

ポイント③:適材適所の収納スペース

収納スペースは住まいの整理整頓しておくために重要です。収納の間取りを決まるには、スペース効率や使い勝手を考慮しながら計画する必要があります。そのためにもまずはじめに現在の生活スタイルや所持品を見直しましょう。不要な物を整理し、必要な物を把握することで、収納スペースの必要性や量を把握することができます。

収納は大きく分けて、クローゼットや棚、キャビネット、引き出し、吊り下げ収納などの種類があります。生活の必要に応じて、それぞれの収納方法を選ぶことが大切です。例えば、衣類の場合はクローゼットや引き出しを、小物類は棚やキャビネットを活用するなど、使い勝手に合わせた収納を考えましょう。

各居室の収納はもちろん、キッチンや玄関、洗面室にも収納は必要になります。また、小さな子どもいれば衣類や靴、おもちゃなども大容量の収納が必要になるでしょう。どのスペースにどの程度の収納が必要か検討するようにしましょう。

ポイント④:周辺環境や日当たりを考慮

間取りを決める際は、周辺環境や日当たりの状況も考慮しましょう。周辺に美しい景色や自然が広がっている場合、それを活かすような配置や窓の配置を考えましょう。リビングやダイニングルームを広い窓で囲むことで、景色を楽しむことができます。

住宅周辺の建物や樹木の配置によっては、日照や通風が制約される場合があります。日当たりの良い場所にリビングやベッドルームを配置することで、快適でくつろぎやすい環境を作ることができるでしょう。

住まいが道路や交通量の多い場所に面している場合、騒音や振動に配慮する必要があります。リビングや寝室を道路から離れた場所に配置するなど、静かな空間を確保することが重要です。また、子ども部屋の真下をリビングにするとゲストが来たときに足音が気になるといったこともあるので、上下階の配置も大切です。

ポイント⑤:来客時のことも考慮する

間取りを考える時に意外と見落としがちなのが、来客時のことです。マイホームは家族と住むための場所なので、家族が快適に生活できる間取りであれば基本的に問題はありません。しかし、いざ来客がある時に困ることがないように想定して間取り計画を立てておくと良いでしょう。

たとえば注文住宅に和室の設置を検討しているようであれば、玄関近くに配置しておけば来客をもてなすための客間として活用できるでしょう。もしゲストルーム自体を設けるのであれば、近くにトイレやバスルームがあると案内しやすいです。

また、サニタリールームや寝室などプライベートな空間は、玄関先や来客時の動線上から離れた位置にあると防犯上安心です。プライベートな空間とパブリックな空間のバランスも考慮し、家族が快適に過ごせる流れを作り出すことが大切でしょう。

おすすめの間取りや設備4選

注文住宅で人気の高い間取りや、実際に採用してよかったという声が多い設備をご紹介します。家づくりに行き詰っている方や、これから家づくりをはじめる予定の方は、参考にしてみましょう。

1, 対面キッチン

リビングと向かい合うように設置した対面キッチンは、家事をしながら子どもの様子を見たり家族とコミュニケーションがとりやすく、実際に備え付けた方からも高評価を得ています。ダイニングと横並びに設置すれば配膳や後片付けもしやすいでしょう。

対面キッチンは空間を広く感じさせる効果があります。キッチンが壁で仕切られていないため、光や風が自由に流れ込み、より広がりのある空間を演出することができるでしょう。

また、対面キッチンにはカウンタースペースがあるので、調理や調理器具の置き場所として活用できます。カウンター上には食事を置いたり、一時的に作業スペースとして利用したりすることも可能です。

2, パントリー

パントリーは、食品や調理器具、日用品などを収納するための専用スペースです。常温保存できる食料品や飲料などをまとめ買いしているなら、パントリーがあると便利でしょう。食品の種類や賞味期限を一目で確認しやすくなり、無駄買いや食品の廃棄を防ぐことができます。また、調理器具や道具を整理整頓することで、必要なものがすぐに見つけられます。

パントリーに必要な食材や調味料がまとまっているため、料理の準備や調理がスムーズに行えます。使いやすい収納方法を工夫すれば、食材の取り出しや戻しも簡単になります。また、必要な食材が揃っているかどうかを一目で確認できるため、買い物リストの作成や在庫管理がしやすくなります。キッチンと玄関の間にパントリーを設置すれば、重いものを購入したときも楽に収納できます。

3, リビング横の和室

リビングに併設した和室や子上がりの和室コーナーも人気です。併設した和室には引き戸を設け、リビングを広く見せたり冷暖房の効きを考えて閉めて使えるようにするのがおすすめ。裸足で過ごしたいときやこたつを置いて団らんスペースとして、子どもの遊び場・昼寝場として、インテリアに変化を与えて部屋全体の雰囲気を変えたいときなど多目的に使えます。

和室は、畳や襖といった伝統的な日本の建具や素材を使用しています。そのため、和室に入るだけで日本の伝統的な雰囲気や落ち着きを感じることができます。和室は、自然素材を多く使用しているため、心地よい香りや触り心地も楽しむことができます。

4, 広いエントランススペース

広いエントランスは、人々がスムーズに出入りするための動線を確保します。ドアの開閉や履物の脱ぎ履きなど、移動や準備をするためのスペースが充分にあるため、混雑や不便さを軽減できます。また、エントランスが広いことで、訪れる人に対して迎えるような印象を与えます。ゲストや家族が家に入る瞬間から、広々とした空間で歓迎されるので、快適な入り口体験を提供できるでしょう。

広いエントランスは、コートや靴、傘などの収納スペースを充実させることができます。衣類や小物をすっきりと収納できるため、エントランス周辺の整理整頓がしやすくなります。ベビーカーや自転車などを置いても邪魔にならないでしょう。

費用別の間取り例

実際の建築事例から費用別に間取りをご紹介します。予算内でどのような間取りを実現できるのか、参考までにご覧ください。

建築事例はやSUUMOから参照している情報を引用いたします。

1,500万円~1,999万円

タマホーム:動線や収納の工夫で家事ラクを実現。角地を有効活用した明るく快適な家

家の前の道路の交通量が多く、リビングを2階に配置。明るさと開放感にこだわって窓を多く取り付けています。

1階には玄関のシューズクローク、主寝室のウォークインクローゼット、階段下の収納など、大容量な収納があり、片付けやすさにも特化していますね。子ども部屋はオープン・2部屋に分割しても使えるので、成長に合わせてカスタマイズ可能となっています。

2階はアイランドキッチンを中心に、脱衣室。サニタリースペース、バルコニーと家事動線がまとまっています。また、外出時に準備しやすいようサニタリースペースにファミリークローゼットがあるのもポイントです。

2,000万円2,499万円

ナナホーム:憧れを実現したオシャレな家づくり【4LDK+書斎+ウッドデッキ】

1階は広々としたLDKと和室、水まわりが揃っています。アイランドキッチンの背面に収納棚+パントリーを設けているので大容量がすっきり片付けられますね。ウッドデッキは洗濯物を干したり子ども遊び場や家族の憩いの場としても最適です。

2階は主寝室、子ども部屋、書斎を配置し、主寝室と子供部屋に面してルーフバルコニーを設けています。各部屋に採光や風を取り入れられ、ご夫婦・子どもそれぞれの時間をゆったりを過ごす空間として重宝するでしょう。トイレや洗面台もワンフロアにあるので、夜中に目が覚めても安心ですね。

2,500万円2,999万円

アイフルホーム:デザインと快適な住み心地を両立 20代で叶えた平屋の家

居室の中心にある中庭と広いビルトインガレージが特徴的な平屋住宅です。大型のビルトインガレージはご主人の希望で設けたそうで、外観からも存在感があります。各部屋に面するように中庭を設置することで、外からの視線を気にすることなく室内全体に日差しを取り入れることができます。また、子どもが中庭で遊んでいても室内のどこからでも見守れる安心感がありますね。

広いLDKにも中庭に面して大開口を設置することで、さらに明るく開放的な空間になります。キッチンのすぐ後ろに勝手口があるので、お米や飲料水など重いものを買ったときもすぐにアクセスできます。玄関から各部屋にはLDKを通るよう設計されているため、自然と家族が顔を合わせられるのもうれしいですね。

世代別のおすすめ間取り

注文住宅の間取りは、家族の世代やライフスタイルに応じて最適な設計が異なります。各世代別のおすすめの間取りをそれぞれご紹介していくので、間取りを考えるのにお役立てください。

若い夫婦や新婚世帯向けの間取り

若い夫婦や新婚世帯向けの間取りは、夫婦二人の現在の生活を快適にしつつ、将来の家族構成の変化にも対応できるような柔軟な設計が求められます。

コンパクトにまとまった効率的なレイアウトの間取りにすることで、延べ床面積を小さくして建築費用を削減することも検討しましょう。金銭的に余裕があまりない若い世帯にとっては、リーズナブルな間取りにすることも重要です。

将来を見据えた設計としては、現状はフリースペースとして利用できる部屋を確保しておいて、将来お子様を授かった時に子供部屋として活用するのもオススメです。たっぷり収納できるクローゼットを設置することで整理整頓がしやすく、清潔感のある住まいを維持できます。将来的に荷物が増えても安心です。

【間取りプラン例】
間取り:2階建て2LDK
1階:LDK、トイレ、洗面所、バスルーム、小さな庭またはバルコニー
2階:ウォークインクローゼット付き主寝室、フリースペース(将来の子供部屋)

小さな子供がいる家庭向けの間取り

小さな子供がいる家庭向けの間取りを考える際には、安全性や使いやすさに配慮しつつ、家族のコミュニケーションが取りやすいレイアウトにすることが重要になります。

キッチンからリビング全体が見渡せるオープンキッチンは、調理中も子供の様子を見守ることができ安心です。リビングを家の中心に配置することで家族が自然と集まりやすくなり、コミュニケーションが取りやすい環境を作り出せます。

また、階段をリビングの一角に配置しておけば、親の目が届きやすくなります。階段には転倒防止のために、手すりや滑り止めを設置しておくのもオススメです。

【間取りプラン例】
間取り:2階建て3LDK
1階::LDK(一角にキッズスペース)、トイレ、バスルーム、洗面所、外遊びができる庭やテラス
2階::ウォークインクローゼット付き主寝室、子供部屋2室

思春期の子供がいる家庭向けの間取り

思春期の子供がいる家庭向けの間取りでは、子供のプライバシーを確保しつつ、家族全体が快適に過ごせるような設計が重要となります。お子様が複数人いるようであれば、できるだけ各子供に個室を提供をすることで各々のプライバシーを確保してあげられるでしょう。

思春期は、子供によっては自室に居る時間が長くなってしまうこともあります。そのため、共有スペースと個室のバランスをうまく取ることが大切です。子供部屋を設けることに意識が向いがちですが、 家族全員が集まれる広々としたLDKを設け、コミュニケーションの場を守ることも大切です。

収納に関しては各部屋に収納スペースを設置することで、お子様も自分の荷物を自分で整理整頓しやすくなります。共有アイテムが多くあるのであれば、リビングや廊下に共用の大型収納スペースを設けて家族全員で使えるようにすると良いでしょう。

【間取りプラン例】
間取り:2階建て4LDK
1階: LDK、トイレ、洗面所、バスルーム、庭やテラス
2階::主寝室、子供部屋2室(クローゼットを完備)、共用のスタディルームやデスクスペース

高齢者との同居家庭向けの間取り

高齢者との同居家庭向けの間取りを考える際には、バリアフリー設計、安全性、家族全員が快適に過ごせるスペースを確保することが重要です。

1階に主要な部屋を配置することで、高齢者が安全に生活しやすくなります。玄関や室内の段差をなくし、車椅子や歩行補助器具を使用する際の障害を事前に減らしておきましょう。また、 車椅子でも通れるように、廊下やドアの幅を広く設計しておくのもオススメです。

床材は、転倒防止のために滑りにくい床材を採用すると良いでしょう。トイレや浴室、廊下などに手すりを設置しておくと、高齢者の転倒防止に繋がり家族みんなが安心できます。

【間取りプラン例】
間取り:2階建て4LDK
1階::LDK、主寝室、高齢者用寝室、バスルーム、トイレ、洗面所、庭やテラス
2階::ウォークインクローゼット付き主寝室、子供部屋2室

二世帯住宅向けの間取り

二世帯住宅の間取りは世帯ごとのプライバシーを確保しつつ、家族全体のコミュニケーションを促進できるように配慮した間取りにすることが大切です。

二世帯住宅には大きく分けて以下の3タイプがあります。

住宅タイプ 特徴
完全分離型 各世帯が独立して生活できるように、玄関やキッチン、バスルームなどを完全に分けるタイプです。
プライバシーを重視する家庭に適しています。
部分共有型 一部のスペース(LDKや玄関など)を共有し、プライバシーを保ちながらもコミュニケーションが取りやすいタイプです。
ほどほどの距離感を保ちつつコミュニケーションも取りたい、バランス型の家庭にピッタリです。
共用型 ほとんどのスペースを共有するが、寝室やプライベートな空間は分けるタイプです。
家族間の交流を重視する家庭に向いています。

どのタイプの間取りが向いているか、二世帯で話し合って間取りを決めていきましょう。間取りを考える際はお互いの生活音や視線が気になりすぎないように、適度な配慮を施すことが重要です。

【間取りプラン例】
間取り:2階建て 完全分離型4LDK+3LDK
1階(親世帯):玄関、 LDK、寝室(バリアフリー設計)、バスルーム、トイレ、洗面所
2階(子世帯):LDK、寝室、子供部屋、バスルーム、トイレ、洗面所

間取りを決める際の注意点

注意点①:窓やコンセントの位置

間取りといえば部屋の広さや数、位置を決めるのが最優先。それゆえに失敗しがちなのが窓やコンセントの位置や数です。

「キッチンに小さな窓だけ設置したらお昼でも暗く、もっと大きな窓を付けるか複数つければよかった」「テレビの位置からコンセントが遠く配線ですっきりしない印象になってしまった」といった例があげられます。

窓は採光や風通りを確保するために方角や位置を考える必要があります。逆に設置しすぎてしまうと断熱性が損なわれたり外からの視線や音など問題が出てくる可能性もあるため、バランスも大切です。キッチンは冷蔵庫や電子レンジ、トースター、食洗器、炊飯器などあらゆる家電が密集する場所。置く位置などを考えて設置する必要があるでしょう。

また、換気口も同じく見落としがち。適切な位置に設置しないと「湿気が気になる」「匂いがこもりやすい」といった問題が出てくる可能性があります。キッチンや洗面室など適切な位置に備え付けましょう。

注意点②:デザイン性と機能性のバランス

マイホームは人生最大級のお買い物です。注文住宅をつくるとなると、悔いの残らないようにオリジナリティ溢れる住まいをつくり上げたいはず。住宅の外観だけでなく、間取りも家族のライフスタイルに適した独特なデザイン性の間取りにして、来客をワクワクさせたいという考えを持っている方もいるでしょう。

とはいえ、間取りは機能的で使い勝手の良いものであることが求められます。個性的な間取りを取り入れるのも良いですが、使い勝手が悪いようでは後から後悔してしまうでしょう。

各部屋の配置やサイズ、通路の配置、収納スペースの充実など、日常生活での動線や利便性を考慮して検討しましょう。特に、今ハマっているものや流行り任せて間取りを決めるのは危険です。ブームは一時的なものなので、長い目線で計画を立てるように注意しましょう。

空間ごとの間取り失敗例

住まいの空間ごとに間取りの失敗例をご紹介します。事前に失敗例に目を通しておき、ご自身の家づくりでは同じ失敗をしてしまわないように気を付けましょう。

リビングの失敗例

・家具のイメージをしていなかったのでサイズや位置が合わない
・窓や採光の不足
・広すぎて冷暖房の効率が悪い
・キッチンをオープン式にしたので部屋に匂いが充満する
・外からの視線が気になる

リビングづくりにおいて特に失敗しやすいのは、「家具のイメージをしていなかったのでサイズや位置が合わない」という点です。間取りを決める段階で、家具もあわせて決めていくことをおすすめします。

また、家具の配置やスペースの使い方が不適切だと、移動やコミュニケーションが制限されてしまい、生活動線が乱れることがあります。配置場所やレイアウトもしっかりと検討しましょう。

リビングは居住空間の中心となる場所なので、自然光の取り込みが重要です。窓や採光面積が不足していると室内が暗くなり、居住環境や快適さに影響を与える可能性があります。ですが、日当たりが良すぎるのも暑さの原因になるので気を付けてください。

家族だけでなくゲストが集まる場所にもなるるリビングは、隣接する部屋や外部からの視線や騒音が気になる場合があります。リビングの位置や配置がプライバシーに関わるので、周囲の環境やプライバシーの配慮が不十分な間取り設計をしないように注意しましょう。

水まわりの失敗例

・トイレから寝室が遠すぎて起きた時に行きづらい近すぎて水を流す音で目が覚める
・キッチンから玄関が遠く、お米など重い荷物を買ってきたときに大変
・配管ルートが不適切だった
・換気線の位置や排水溝の位置が悪い

キッチンやバスルームなどの水回りスペースは日常的に使用するため、使い勝手や動線が重要です。例えば、トイレから寝室が遠すぎて起きた時に行きづらかったり、逆に近すぎて水を流す音で目が覚めてしまったりする場合があるでしょう。キッチンから玄関が遠いと、食材のお買い物帰りに荷物を運ぶのに苦労することに。生活した時のことを想定して、間取りを決定していきましょう。

水回りの間取りでは、配管の配置や配置が重要です。配管のルートや位置が不適切な場合、水漏れやトラブルの発生のリスクが高まる可能性があります。また、使用頻度の高い設備や機器が使いづらい位置に配置されている場合も、利便性が低下してしまうでしょう。

水回りのスペースは湿気やにおいが発生しやすいため、適切な換気や排水設備が必要です。換気扇や窓の位置や大きさ、排水の流れや排水口の配置が不十分な場合、ムレやカビの発生などの問題が生じる可能性があるので注意しましょう

寝室の失敗例

・道路に面していてうるさい
・くつろげるだけのスペースが足りない
・日照や採光の不足
・レイアウトが悪くて不便

寝室は静かで落ち着いた環境が求められます。周囲の騒音や他の部屋からの音が気になる場合、寝室でのリラックスや睡眠に支障をきたす可能性があるでしょう。また、寝室の位置や配置がプライバシーに関わるので、周囲の環境やプライバシーへの配慮が必要です。

寝室は朝起きて目が覚める場所なので、じゅうぶんな日照や自然光の取り込みがあるほうが良いでしょう。窓の位置や大きさ、日の当たり具合が不適切な場合、室内が暗くなり、快適さや居住環境に影響を与えます。

寝室のレイアウトは、快適な睡眠やリラックスに影響を与えます。たとえば、ベッドや家具の配置が不適切で寝室の動線が詰まっていると、同じ部屋で眠る相手を起こしてしまうかもしれません。狭苦しい雰囲気や使い勝手の悪さを感じずにゆったりとくつろぐためにも、寝室には充分なスペースが必要でしょう。

階段や吹き抜けの失敗例

・無駄なスペースの発生
・冷暖房の効率が悪い
・安全性への配慮が足りなかった
・音が反響して耳障り

階段や吹き抜けは特別な空間として魅力的ですが、間取り設計においては無駄なスペースの発生に注意が必要です。例えば、広すぎる吹き抜けや大規模な階段が設けられていると、他のスペースの狭さや使い勝手の悪さに繋がってしまうことがあるので気を付けましょう。

吹き抜けは大空間であることから、エアコンの稼働効率が悪くなってしまいます。風の届きやすい位置にエアコンを設置したり、シーリングファンを導入したりして対策しましょう。また、階段や吹き抜けは音の反響が生じやすい場所です。階下や隣室への騒音の伝達が気になる場合は、音を吸収する素材や隔音材の使用するなど、適切な防音対策を施すことをおすすめします。

階段や吹き抜けは、転落や事故のリスクがある場所です。特に子供や高齢者がいる場合は、手すりの設置や安全対策が必要でしょう。住宅は長い期間を過ごす場所になるので、将来の家族構成や健康状態も考慮しておくことで、長く安心して暮らせます。

収納の失敗例

・収納スペースが不足する
・家全体のコンセプトやインテリアと一致しない
・収納の機能性が悪く物の取り出しが困難
・大型収納がロフトだけなので階段・はしごでの行き来が大変

間取りにおいて、適切な収納スペースが確保されていない場合、物の収納に困ることがあります。例えば、クローゼットや戸棚の数や大きさが不足していたり、引き出しや棚の配置が不適切で収納効率が低い場合などが考えられます。 この失敗を避けるために収納の必要性や量を把握し、効率的かつ使いやすい収納スペースの配置を検討しましょう。

収納スペースが使い勝手に合わない場合、物の取り出しや収納が困難な状況が生じます。奥行きが浅すぎて物が詰め込めなかったり、高さが適切でないために収納スペースが無駄になってしまったりする可能性があるでしょう。収納家具や仕切りの選択、収納アクセサリーの活用なども考慮しながら、収納の機能性とデザインのバランスを整えることが大切です。

また、収納スペースのデザインが家全体のコンセプトやインテリアと一致していない場合、統一感やバランスが欠けることがあります。収納家具を選ぶ場合は、スタイルや素材が他の家具や住まいのコンセプトにあうものを選択しましょう。

まとめ

注文住宅で間取りを決める際に失敗しないためのポイントや注意点、ありがちな失敗例などについてお伝えしてきました。

間取りを決める時は家事動線や生活動線を考慮し、なるべく移動距離が短くなるように工夫しましょう。また、収納スペースは適材適所な配置を心掛け、どこにどのくらいの容量を収納できると良いのか検討しておくことが大切です。

生活音やプライバシーなども想定し、ストレスにならない間取りの配置にしましょう。また、間取りを決める時に重要なのは将来のライフスタイルの変化も頭に入れておくことです。老後も生活しやすいか、家族が増えた場合に部屋数が足りるのかなど、しっかりと考慮しましょう。

ポイントさえ押さえておけば、注文住宅の間取り計画での失敗を減らすことができます。この記事で紹介してきた内容を参考に、悔いの残らない理想のマイホームをつくり上げてください!