新聞や書籍といった紙媒体はもちろん、Webサイトに掲載される文章に至るまで、公開される前に「校正」や「校閲」という作業が行われます。

校正と校閲は語感が似ているため、同じような作業内容という印象を持たれやすいもの。

「校正と校閲って同じじゃないの?」と思っている人も多いかもしれません。

しかし実は、校正と校閲は明確に異なる作業なのです。

そこでこの記事では、校正と校閲がそれぞれどのような作業なのかをわかりやすく解説します。

校正とは

Web記事における校正とは、主に文章の誤字や脱字を正すことをいいます。

紙媒体の場合は誤植や体裁、色彩の誤りなどを元の原稿と照らし合わせてチェックしますが、Web記事の場合は誤植や色彩の誤りが基本的に存在しないため、作業内容が異なります。

誤字脱字、仮名や漢字の使い方が誤り、変換ミス、漢数字とアラビア数字の区別、複数の表記方法がある漢字の使い方など、表記を正して統一するのが校正の役割です。

校閲とは

校正が表記上の誤りを修正する作業であるのに対し、校閲は内容のチェックを行います。

校閲では、文章の内容を読み込んだ上で、その内容について詳しく確認します。

記事内で書かれたことが事実かどうかの確認や表現方法が誤っていないかどうか、内容に矛盾がないかなどが、校閲で確認されます。

固有名詞やデータなどの数値などが事実に反していないか、歴史的事実が誤っていないかなど事実確認のほか、差別的表現や不快な表現のような不適切な表現が使われていないかなども、校閲で行うチェックポイントです。

校正と校閲の違い

上記の校正と校閲の内容を見てもわかるように、校正と校閲は異なる作業内容です。

校正は内容まで踏み込まずに、漢字や送り仮名の使い方など文章中の記載の誤りを正しますつまり、書かれている文章そのものに漢字の誤用や文法などの日本語としてのミスがないかどうかを確認する作業です。

校閲では文法的なミスを見つけて修正するのではなく、内容のミスや誤りなどがないかを確認します。

書かれている内容が正しいかどうかの事実確認、地名や固有名詞が正しいかどうか、使用されている表現が適切であるかどうかなどの確認を行う点が、校正と大きく異なります。

校正と校閲は誤りを修正する作業という共通点はありますが、このように行う作業内容が重複することはありません。

ただし、Webメディアに掲載される記事においては、校正作業に先述の校閲で行う事実確認などの作業が含まれるケースも多く、校正と校閲がはっきりと分かれていないこともあります。

Webメディアの校正と校閲

新聞や書籍などの紙媒体は出版後の修正や訂正が難しいため、校正・校閲は出版前にしっかりと行われるものです。

これに対し、Webメディアの記事の場合は紙媒体よりも修正がしやすく、公開した後でも何度でも修正や編集が可能です。

このような理由からWebメディアの記事は紙媒体よりも比較的校正・校閲ルールは厳しくはなく、どちらかというとユーザーが読みやすい記事という要素が重視される傾向があります。

しかし、たとえ紙媒体よりも校正・校閲ルールが緩いとはいえ、事実とは異なる内容の記事を発信すればWebメディアの信頼性に関わるため、避けなければなりません。

Webメディアの校正・校閲ルールは厳しくなりつつある

ネット上には、情報源や信憑性が定かではない信頼性に欠ける記事が多数掲載されています。

個人が自由に意見などを発信できるSNSが気軽に利用できる現在、情報源が不確かな情報だけではなく虚偽のニュース、いわゆる「フェイクニュース」も簡単に日本中、世界中に拡散できるようになりました。過去にはキュレーションサイトで信憑性の低い記事が広くネット上に拡散され、問題になった例もあります。

ネット上に一度公開された情報が残り続けるという意味を持つ「デジタルタトゥー」という言葉があるように、一度公開した記事は瞬時に不特定多数の目に留まります。

後で修正したとしても、最初に公開した記事が完全に取り消されることはなく、ログは残り続けると考えるべきです。そのため、現在では記事で取り扱う内容についての信憑性や真偽、情報源などについて厳しいルールを定めるWebメディアも増えています。

校正はツールを使うのも効率的

先述の校正や校閲の作業は一般的にそれぞれの担当者が行うものですが、Web記事の場合はライターが書いた記事を1人でチェックすることもあるはずです。

個人運営のサイトやブログの場合は、書いた記事を自分自身で校正する必要も出てくるでしょう。

そんなWeb記事の校正や校閲には、ツールを使うのがおすすめです。

校正ツールにはさまざまなタイプのツールが見つかります。ツールに文章を入力して条件を設定すれば、長文でも誤字や脱字をまとめてチェックできる、見落としを防げるなどのメリットがあります。

しかしWeb上で使用できるツールでできることのほとんどは、校正にあたる作業が中心です。事実確認などが含まれる校閲の作業は文章の内容を読み込む必要であるため、自動的に行ってくれるツールはありません。

とくに無料で利用できるツールは簡易的な校正が行えるのみなので、本格的に校正に活用するというよりも補助的なツールとして使用するのがおすすめです。

まとめ

Webメディアの校正は、1人では作業量が多く追いつかないこともあります。

そうした場合にはツールを利用するか、外注を検討するのもよいでしょう。

記事作成や構成の作業を外注すれば作業を効率化できるだけでなく、正確性の担保にもつながります。

サイト運営で膨大に発生する業務はツールや外注を上手に使って、より重要な業務に注力できるようにしましょう。