カリスマ美容師が教える抜け毛や頭皮のかゆみを改善する頭皮ケア方法の全て

ヘアスタイルは、その人の見た目だけでなく、印象や自信の持ち方まで変えてしまうとても重要なものです。それだけに頭皮や毛髪の状態の悪化は、顔の肌の悪化と同じぐらい大きな影響があると思います。

実際、私のサロンでも、女性・男性ともに髪のケアに関するお悩みの声をたくさん頂きます。

  • 抜け毛が増えてきて不安。
  • 頭皮の皮膚が炎症してかゆい。
  • ブラッシングするだけで痛みを感じる。

というようなものです。

ヘアスタイルは、顔や体型と同じぐらいのインパクトがある重要なものなだけに、このような悩みは放っておいて良いものではありませんよね。そこで今回は、プロの美容師が、ヘアケア・頭皮ケアのために実際にやっていることをご紹介します。

最終更新日:2023年2月10日
中村 飛鳥
執筆者

中村 飛鳥(なかむら あすか)

カリスマ美容師

表参道の人気美容室『hair salon Gallica(ガリカ)』オーナー。関東4000サロンで4店のみ与えられる『HOTPEPPER Beauty AWARD GOLD Prize』を2年連続で受賞。

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はじめに:当ページの使い方

このページでは、頭皮ケアとヘアケアの正しい基礎知識と効果的な方法をお伝えしています。それぞれの目的は以下の通りです。

ケア有効な症状目的
頭皮ケア抜け毛、頭皮の炎症やかゆみ、痛み頭皮の状態を正常に保ち抜け毛を減らす。
ヘアケア切れ毛や弾力感、光沢感、潤いの欠如髪の不足成分を補充し、ハリやコシ、潤いを与える。

もし、あなたが抜け毛・頭皮のかゆみ・痛み・炎症などに悩まされているなら、ぜひ頭皮ケアについての正しい知識と方法を身につけてください。頭皮に問題がない場合で、髪のツヤやハリを、さらに良くしたい場合はヘアケアについてお読みください。

ケアの重要度について

ただし、頭皮ケアにしても、ヘアケアにしても、ケアの重要度は以下の順番であることに変わりはありません。

重要度項目詳細
1髪の洗い方・頭皮に良いシャンプーを選ぶ
・予洗いを徹底する
・髪をこすらない
・頭皮をマッサージするように洗う
・たっぷりのお湯で洗い流す
2トリートメントのやり方・髪に良い成分のトリートメントを選ぶ
・頭皮にトリートメント剤がつかないようにする
・毛先を中心に髪の毛になじませる
・たっぷりのお湯で洗い流す
3髪を洗うときのお湯の温度・最も頭皮の汚れが落ちやすいのは44度
・ヘアカラーをしている場合は色落ちを防ぐ38度
4髪の拭き方・乾かし方・就寝前に必ず乾かす
・濡れた髪は特に摩擦に弱いのでこすらないように拭く
・髪に良いドライヤーを選ぶ
・乾かしすぎない
・気になるならヘアオイルやトリートメントを使う

ケアの重要度は上から順番に下がっていきます。

そのため、たとえばシャンプーのやり方が悪いにも関わらず、トリートメントのやり方を改善しても効果は限られます。頭皮や毛髪の状態を改善したいなら、まずはシャンプーのやり方からです。それがしっかりしていてこそトリートメントが効果を持ってきます。

同じ理由で、髪のダメージが気になるからと高性能なドライヤーに買い換えることを考えている方もいるかもしれません。ドライヤーは確かに重要ですが、シャンプーやトリートメントはさらに重要です。

正しいケアを行って効果を実感するためにも、ぜひ覚えておいてくださいね。

1. 正しい頭皮ケアのために必要な知識

それでは、この章ではまず、効果的な頭皮ケアを行うために、最低限知っておきたい知識についてお伝えします。何のために頭皮ケアを行うかという正しい知識があって、はじめて、自分自身の手で効果的なホームケアができるようになります。

そのためにも、必要なことをできるだけ簡潔にまとめましたので、ぜひ、ここで正しい基礎知識を身につけましょう。

1.1. 頭皮ケアは髪のボリュームダウンを防ぐ

頭皮のダメージが積み重なると髪のボリュームが物足りなくなり、髪が薄く見えて、スタイリングのバリエーションも少なくなってしまいます。

これは頭皮のハリがなくなることによって起きます。

頭皮のハリは、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸というの三つの成分で支えられています。これらの成分は、年とともに減少し、それにつれて頭皮のハリが低下します。頭皮のハリが低下すると、次に、頭の側面や後頭部がたるんできて、頭頂部が引っ張られていきます。その結果、毛穴が広がり、右の図のように頭皮が緩み、毛髪が倒れ、髪の毛がボリュームダウンしたように見えるのです。


画像:GINZA CLEF

1.2. 頭皮ケアは抜け毛やかゆみなどを防ぐ

頭皮ケアで防げるのは髪のボリュームダウンだけではありません。髪の健康そのものにも影響します。

頭皮は、頭蓋骨の上に貼り付いている「帽状腱膜」という膜に乗っかっています。この膜は、頭の筋肉と繋がっていて、それらの筋肉が萎縮すると膜が引き伸ばされます。その結果、頭皮がつっぱり、薄くなり、硬くなってしまうのです。

画像:CARINA GINZA

頭皮が硬くなると血流量が少なくなり、髪に充分な栄養を届けられなくなります。そうなると当然、髪の健康は悪化します。髪を洗うときに頭皮マッサージを意識して頂きたいのはこのためです。

また頭皮には毛根があり、その周りには大きな毛細血管がたくさんあります。つまり、頭皮が硬くなって血流量が減ると、毛根への栄養供給も不足して抜け毛の原因となります。頭皮ケアは、そのような「自然脱毛」を減らす効果を期待できます。

新陳代謝による自然脱毛以外のものを「異常性脱毛」というのですが、代表的なものに次のようなものがあります(※1)

異常性脱毛の種類特徴
男性型脱毛症青年期や壮年期の一部の男性で頭頂部の髪が薄くなるものです。毛包がなくなるのではなく、ヘアサイクルの成長期が短くなり、毛髪が細く、短くなることが原因で起きます。
産後脱毛症出産後の女性は抜け毛が増えたり薄くなったりします。妊娠中は女性ホルモンの影響によって、本来なら成長期を過ぎて抜け落ちるはずの毛髪が成長し続けます。出産後に女性ホルモンのバランスが元に戻ると、それまで成長し続けていた毛髪が抜け落ちます。個人差はありますが、半年から1年ほどで徐々に回復します。
脂漏性脱毛症毛穴の詰まりや雑菌の繁殖によって毛髪が抜け落ちます。皮脂の過剰分泌による毛穴の詰まりが原因と考えられています。
ダイエットによる脱毛症極端なダイエットは、抜け毛が増えたり、毛髪が薄くなったりします。毛髪の成長に必要な栄養が不足することが原因です。
粃糠脱毛症細かい粉のようなフケが大量に発生して毛髪が抜け落ちます。細かいフケが毛穴を詰まらせることが原因だと言われています。
びまん性脱毛症女性の薄毛の悩みの中で最も多いものです。頭部全体の髪が均等に抜けて、全体的に薄くなります。30代後半以降の女性によく見られます。

このうち「産後脱毛症」と「ダイエットによる脱毛症」以外の抜け毛は、頭皮ケアによって、かなり改善できる可能性があります。逆に「産後脱毛症」「ダイエットによる脱毛症」でお悩みの方は専門のクリニックや病院で診てもらうことを考えて頂ければと思います。

2. 頭皮ケアのための正しい髪(頭皮)の洗い方

頭皮ケアの意義や目的はお分りいただけたでしょうか。この章では、いよいよ正しい頭皮ケアの方法をお伝えしていきますね。

2.1. 正しい頭皮ケアの第一歩は良いシャンプーを選ぶコト

頭皮ケアの第一歩は、良いシャンプーを使うことから始まります。

誤解されている方が多いのですが、シャンプーは、本来、髪を洗うものではなく頭皮を洗うものです。そして、シャンプーには頭皮に対する刺激が強過ぎるものがあり、それを使っていては、いつまでたっても頭皮の状態を改善することはできません。

だからこそ、頭皮ケアで重要なのは「頭皮に良いシャンプーを選ぶ」ことなのです。そのために必要になるのがシャンプーに使われている「界面活性剤」の知識です。

刺激の強いシャンプーの界面活性剤は頭皮にダメージを与える

美容師の世界では、頭皮を傷つける要因は、

  • カラーやパーマ、シャンプーに含まれている薬剤
  • 摩擦
  • 皮脂の過剰分泌
  • 紫外線

の4つと考えられているのですが、シャンプーの薬剤(界面活性剤)は、そのリスク度合いが最も高いものの一つです。

界面活性剤は、頭皮についた汚れを落とすためになくてはならないものです。しかし、厄介なことに、中には洗浄力が強すぎて頭皮を傷つけてしまうものが数多くあります。そのようなものは、汚れは落とせるのですが頭皮は大きく傷つけてしまいます。

たとえ頭皮を紫外線や摩擦から守るように気をつけていたとしても、使っているシャンプーが刺激性の高いものであった場合、その努力はほとんど効果を生みません。逆に、第一歩であるシャンプーさえ良いものを使っていれば、多少、摩擦や紫外線に対して注意を怠ったとしても、十分に頭皮の改善効果を得ることができます。

だからこそ、頭皮ケアにおいて、低刺激性の界面活性剤が使われている「良いシャンプー」を選ぶことがマストなのです。

低刺激の界面活性剤を使っているシャンプーを選ぶ

それでは界面活性剤にはどのようなものがあるのでしょうか?下の表をご覧ください(※2)

分類成分特徴洗浄力低刺激性
高級アルコール系(石油系)ラウリル硫酸Na洗浄力が高く泡立ちが良い。×
ラウレス硫酸Na洗浄力・泡立ちが良くラウリル硫酸Naよりは低刺激。×
アミノ酸系グルタミン酸系洗浄力・泡立ちは良くないが最も低刺激性。
アラニン系適度な洗浄力と脱脂力で、しっとり感がある。
グリシン系洗浄力と静菌力があり幅広く使用されている。
タウリン系・ココイルメチルタウリンNa
・ラウロイルメチルタウリンNa
含硫アミノ酸といわれるタウリンから作られる界面活性剤。AMTとも呼ばれ、皮膚・毛髪にやさしい低刺激性。
タンパク質由来系ココイル加水分解コラーゲンNa皮膚・毛髪に対してとてもやさしい低刺激性。
スルホコハク酸系スルホコハク酸ラウレス2Na泡の持続力に優れ、高級アルコールよりやや低刺激。
アミドエーテル硫酸系PEG-3ヤシ油脂肪酸アミドMEA硫酸Na高級アルコール系と同じ泡立ちで低刺激。

是非、一度成分ラベルを確認してみてください。スーパーやドラッグストアで手に入る一般的なシャンプーは高級アルコール系(石油系)のものがほとんどです。

これらの高級アルコール系界面活性剤を”多く”含むシャンプーは、洗浄力が強すぎて髪がゴワゴワになったり頭皮が硬くなる原因になります。生まれつき肌が強くて、現状、頭皮のかゆみや抜け毛に悩まされていないのなら問題ないのですが、頭皮ケア・ヘアケアが気になっている方は使わない方が良いでしょう。

一方、アミノ酸系、タウリン系、タンパク質系(特にグルタミン酸系)成分は、もともと人体の皮膚に多く含まれている成分なので、これらが多いシャンプーを使うだけでも、頭皮の状態はかなり改善します。

これらは一般的なシャンプーに比べると、泡立ちや洗浄力が劣るため、洗髪後のスッキリ感はないかもしれません。

しかし、本来シャンプーは髪を洗うためのものではなく、「頭皮を洗い皮膚の健康を保つ」ためのものです。その観点から言うと過剰なスッキリ感がないものの方がホンモノのシャンプーといえます。

次回からは、シャンプーを買うときは、ぜひ成分表を見て、刺激性が低く頭皮に近い成分を多く含むものを選びましょう。ただ、いちいち成分を確認するのも面倒ですし、混乱してしまう方も多いと思いますので、私のおすすめのシャンプーも紹介しておきます。

頭皮ケアにおすすめのシャンプー

COTA i CARE シャンプー

私が美容院でも使っているのが、この”COTA i CARE”です。グルタミン酸系成分で、今まで使ってきた中でももっとも頭皮や毛髪にやさしいシャンプーだと思います。髪質によって1, 3, 5, 7, 9の五つのタイプがあります。「公式ホームページ」に選び方が掲載されています。ただし、高価ですし、ネットでは販売されていないかもしれません。

同じCOTA製品で、”i CARE Y” というシャンプーはネットでも販売されていますので手に入れやすいです。”i CARE”が手に入らない場合は”i CARE Y”を試してみても良いかと思います。

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※リンク先は”i CARE Y”です。

FIOLE F PORTECT BASIC シャンプー

もっと安価なシャンプーにしたい方は、この「Fプロテクトベーシック」が私のおすすめです(写真の向かって右側がFプロテクトシャンプーです)。

このシャンプーは、高級アルコール系、アミノ酸系、スルホコハク酸系などの界面活性剤がブレンドされて作られています。洗浄力を出すために高級アルコール系が含まれてはいますが、300mlのボトルで一本600-800円ほどで手に入りますが、一般的なシャンプーとは明らかに違いを実感できます。質の割に、この価格はなかなかないと思います。

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2.2. 予洗いを十分に行う

頭皮ケアには正しいシャンプー選びが重要だということはお分かり頂けたでしょうか?

ここから正しい頭皮ケアの具体的な方法をお伝えします。しかし、難しいことは一つもありません。頭皮によいシャンプーを手に入れたなら、あとは「適切なやり方で頭を洗うこと」だけです。

その手順をお伝えしていきますね。

シャンプーをつける前に、まずは、たっぷりのシャワーで頭皮と髪をよく湿らせておくことが重要です。理由は二つあります。

  • 湿らせておくことで、頭皮と毛髪に必要以上に摩擦が起きることを防ぐ。
  • 汚れが落ちやすくなる。

多くの方は、予洗いを、髪を少し濡らすぐらいで済ましていると思います。しかし、本当に頭皮の状態を良くしたい場合は、予洗いに5分ほど時間をかけて、頭皮全体をやさしくマッサージするように、しっかりと汚れを落とすように意識しましょう。

実は、チリや整髪剤などの汚れの70-80%は予洗いで落とすことができます。そして、この段階でしっかりと汚れを落としておくことが、シャンプーの効果を100%引き出すために重要なのです。

2.3. シャンプーは手のひらで泡立ててから頭皮全体につける

シャンプーを泡だてている

シャンプーを髪全体につけてしまう方が多いと思いますが、実は、それは良くありません。シャンプーは、しっかりと泡だててから、髪の根元(頭皮)につけるようにしてください。

先ほどお話した通り、シャンプーには界面活性剤が使われています。それを髪につけて、毛髪を洗うようにしてしまうと、髪にとって必要な成分まで流してしまいます。また髪は摩擦のダメージにとても弱いので、毛髪をゴシゴシこするように洗うと髪が傷ついてしまいます。

シャンプーの目的は頭皮の汚れを落として、必要な栄養分が髪に行き届くように、清潔に保つことです。ぜひ、「髪を洗う」のではなく「頭皮を洗う」ことを強く意識してくださいね。

2.4. 頭皮をマッサージするように洗う

シャンプーをつけてマッサージ

頭皮を洗うときは、指の腹で頭皮全体をやさしくまんべんなくマッサージするように行いましょう。「髪を洗う」のではなく「頭皮を洗う」ことが重要です。「髪を洗う」という意識だと、髪の成分がなくなってしまいます。髪をこするように洗ってしまうと、すぐに傷んでしまうので厳禁です。

また、かゆいところがあって、気持ちがいいとしても爪を立てたり、ゴシゴシと強くマッサージしてはいけません。

肌を強くこすると、汚れと一緒に「角質層」まで剥ぎ取ってしまいます。

そして頭皮のバリア機能が低下して、ダメージを積もらせてしまいます。結果、頭皮の炎症の原因になって、またかゆくなってしまいます。

両手の指の腹で、頭をやさしく包んで、円を描きながら頭皮をゆっくり動かすように洗いましょう。これを、頭皮全体にまんべんなく繰り返しマッサージします。

ヘアワックスなどのスタイリング剤が大量についていると強くこすりたくなると思いますが、シャンプーでしっかり泡だてて、そそぐときに丁寧にやれば大体取れます。頭皮は、こするのではなくマッサージするものだと覚えておきましょう。

2.5. 38-44度ぐらいのお湯でしっかりとすすぐ

たっぷりのお湯でしっかりとすすぐ

シャンプーが残らないように、たっぷりのお湯で丁寧にすすぎましょう。お湯の温度は44度ぐらいで流せば、汚れが落ちやすくなります。女性でカラーリングをしている場合は、色落ちを防ぐために38度程度で流すと良いです。

特に、耳の後ろや生え際は、すすぎ残しが多い場所です。すすぎ残しがあると、最近が残った皮脂や汗を栄養として繁殖してしまい、頭皮の炎症につながりますので注意してくださいね。

3. 正しいヘアケアのために必要な知識

頭皮ケアについてはお分かりいただけたでしょうか?

この章では、ヘアケアについての最低限の正しい知識をお伝えします。これを知っておけば、ヘアケアの方法を間違えたり、誤ったヘアケアをしてしまい、全く効果がなかったとか悪化したという状況を防ぐことができます。

それでは説明させて頂きますね。

3.1. 毛髪のダメージには6つのレベルがある

毛髪には、以下のように0から5までのダメージレベルがあります。ご自身がどのダメージレベルにあるかを判断する参考になるでしょう。

レベル状態美容師から見た毛髪の状態本人の感覚
0毛髪ダメージレベル1・トリートメントなしでもオイル分を感じる
・毛先をループにしても弾力性が高く、すぐ元に戻る
・全体につやがある
・くし通りがスムース
1毛髪ダメージレベル2・根元から毛先へ均一な光沢感がない
・部分的にオイル分が不足
・ループをつくるとゆっくり元に戻る
・少々痛みを感じる
・つやがなくなってきた
2毛髪ダメージレベル3・中間から毛先にかけて光沢が失われている
・ループをつくると戻りにくい
・乾燥してパサつく
・毛先がからみやすい
3毛髪ダメージレベル4・毛髪の2/3は光沢感がない
・ループが広がりながらも形をとどめる
・毛先がからむ
・離れて見てもダメージを感じる
4毛髪ダメージレベル5・ザラザラ感じるほどかたい
・ひねると自在に動き、ループの形状をとどめる
・キューティクルがほぼ一枚の状態
・パーマがかかりにくい
・毛髪がギシギシした感じ
・指が通りにくい
・切れ毛がおきる
・クリームをつけても乾燥する
5毛髪ダメージレベル6・人形のナイロン毛のようにかたい
・オイル分がなく全体的に透明感がある
・濡れるとベタベタして引っ張ると伸びる
・つくった大きさのループが残り、結び目ができる
・狙い通りのヘアカラーやパーマができない
・切れ毛がおきる
・水に濡らすと溶けるような感じになる
・ドライすると乾きすぎの状態になる

ご覧いただくとお分かりのように健康な髪ほど表面のキューティクルがピッタリ閉じており、ダメージが大きくなるにつれて表面のキューティクルがささくれ立っていますね。

髪がダメージを受けると、このようにキューティクルが剥がれていきます。そして「間充物質」という髪の内部にある成分が流れでてしまいます。それによって、髪はハリやツヤを失ってしまいます。

3.2. 髪は弱酸性に保つことが大事

それでは、髪はどのようにダメージを負っていくのでしょうか?

髪のダメージは、まずpHがアルカリ性に傾くところから始まります。

pHは「水素イオン濃度指数」といって0-14までの値があります。7より低いと酸性、7が中性、7より高いとアルカリ性です。髪の本来のpHは4.5-5.5です。

画像:DEMI

毛髪は酸性のときはキューティクルが閉じていて、アルカリ性になるほど開いていきます。アルカリ性のまま長時間経つと、CMC(細胞膜複合体)という細胞膜が傷つき、キューティクルを保持できなくなってしまいます。そして、やがてキューティクルは剥がれ落ちてしまい、毛髪の内部から成分(間充物質)が流れ出てしまいます。

成分が流れでた毛髪の内部は空洞化してしまいます。内部が空洞化すると、髪の油分がなくなり、水を吸収して解けるような感じになってしまいます。健康な髪の毛が水を弾きますが、ダメージを負った髪の毛は水を吸収してドロドロになってしまうのは、これが理由です。

まとめると、髪のダメージプロセスは以下の順番で起こります。

  1. pHがアルカリ性に傾く
  2. CMCという髪の細胞膜がダメージをうける
  3. キューティクルが剥がれる
  4. 毛髪内部の成分(間充物質)が流れでて髪が空洞化する
  5. 髪の油分がなくなり水を吸収して解けるような感じになる

このように髪へのダメージは、髪の外側から中側へと起きます。

3.3. ヘアケアの基本は髪の内部から修復すること

さて、髪のダメージは髪の外側から中側へと起きていきますが、ヘアケアは反対に髪の中側から外側へと行います。ここを反対にしてしまうと効果はほとんど得られません。

そのためダメージケアは、ダメージの度合いに合わせて、以下の手順で行っていきます。

使うもの役割
1ヘアマスク・トリートメント髪内部の間充物質を補給して定着させ髪の内部の空洞をなくす
2ヘアマスク・トリートメントCMCを補給して、間充物質を内部に定着させる
3トリートメントキューティクルを再生する
4トリートメント・シャンプーpHバランスを弱酸性に戻す
5ヘアオイル 親油性(撥水性)に戻す

例えば、ダメージ5や4の状態だと上から順番にやっていかなければいけませんが、ダメージ2や1だとpHバランスを弱酸性に戻したり、キューティクルを保護する成分を含んだトリートメントや、ヘアオイルだけで充分に効果があるかもしれません。

しかし、髪は人によって個人差が非常に大きいので、ダメージレベルが深刻な場合は、まずは専門家に相談することをオススメします。そのため、ここではトリートメントを使った一般的なヘアケア方法についてお伝えしていきます。

4. ヘアケアの正しい方法

それでは、ヘアケアのためのトリートメント方法をお伝えします。

シャンプーは頭皮ケアの要素が大きいですが、ヘアケアは、髪に対して実際に必要な栄養分を補給するための方法です。

トリートメントというと女性だけという印象があるかもしれませんが、男性でも、髪質をとてもよくすることができます。例えば、整髪料のノリが悪かったり、全体的にボリューム感がなくしぼんでしまっているなどの場合など、驚くほど症状を改善できる場合が多いです。

ぜひ、参考にしてください。

4.1. 良いトリートメント材を選ぶ

ヘアケア剤には、色々なものがあるので、どれを使えば良いか迷ってしまうことも少なくないと思います。基本的には以下のようにお考えください。

種類役割
リンス毛髪表面のキューティクルを整え、滑りやなめらかさを与える。
コンディショナー毛髪表面のキューティクルを整え、内部にコンディショニング成分を与える。
トリートメント毛髪内部にしっかりとコンディショニング成分を補給し、毛髪を健やかにする。

よくリンスで済ませてしまう方も多いと思いますが、実はリンスには髪の補修効果のある成分は入っていません。

ヘアケアのためにはリンスではなくトリートメントを選びましょう。

また、最近のヘアケア製品は、それ一本だけで、大体のものならカバーできるぐらい高性能なものが増えています。そのため日頃のホームケアではトリートメントだけでも充分な場合もあります。

トリートメントの選び方

トリートメントの選び方ですが、トリートメントには非常に多くの成分が使われています。下図はほんの一例です。

成分代表的な表示名特徴
カチオン界面活性剤・ステアルトリモニウムプロミド
・セトリモニウムプロミド
・ステアルトリモニウムクロリド
・セトリモニウムクロリト
静電気防止作用と、髪をやわらかくしっとりさせる効果がある。
クリーム基剤・セテアリルアルコール
・セタノール
クリーム状トリートメントのベース剤。
ノニオン界面活性剤・セテス2,6,10,15,20
・オレス2,10,15,20
油性成分を可溶化し、乳化する作用がある。
油性・脂性成分・オリーブ油、ホホバ油、アボカド油
・スクワラン
・ミリスチン酸イソプロピル
・イソステアリルアルコール、オレイルアルコール
油性成分を補い、しっとりなめらかにする作用がある。毛髪に艶を出す。
卵黄油、ラノリン、ダイズステロール、コレステロール、セラミド3脂質成分(CMC成分)を補い、保湿性を高める作用がある。
シリコーン
高分子ポリマー
・ジメチコン
・ポリクオタニウム-10
・キトサン
すべり感を高める作用と、毛髪保護作用がある。
加水分解タンパク・アミノ酸成分加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解コムギタンパク、加水分解ダイズタンパク、グルタミン酸、アルギニン、ピロリドンカルボン酸毛髪保護効果、弾力効果、保湿効果がある。
pH調整剤リンゴ酸、クエン酸、乳酸、コハク酸pHコントロール効果、アルカリ中和作用がある。

こうした成分の配合を見て決めるのですが、それにはかなりの専門知識が必要です。そこで、私がオススメするのは、できるだけ髪に近い成分が含まれているトリートメントを使うことです。

またトリートメント剤は「ノンシリコーン」のものが流行っていますが、シリコーンは、髪になめらかさを与え、キシキシ感を減らしてくれるため、むしろ良い成分です。ただし頭皮にとってはダメージを与える悪い成分なので気をつけましょう。

トリートメントはなかなか選びきれないと思いますので、シャンプーでご紹介したブランドと同じところのものではあるのですが、一応、私のオススメとしてお伝えしておきます。

ヘアケアにオススメのトリートメント

COTA i CARE(コタ アイ ケア) トリートメント

COTAのアイケアシリーズは、ケラミドロールというCOTAにしかない成分が含まれていて、より本物の髪と同じ成分に近くなっています。実感として、他の製品と比べて補修効果が高く、全体的にこれが良いです。

また香りが香水のようで、長続きします。髪に香りを閉じ込めて、少しずつ香りが出るようになっています。シャンプーと同じように、髪の質感に合わせて5種類のタイプがあります。「公式ホームページ」に選び方が掲載されています。

同じCOTA製品で、”i CARE Y” というシリーズはネットでも販売されていますので手に入れやすいです。”i CARE”が手に入らない場合は”i CARE Y”を試してみても良いかと思います。

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※リンク先はCOTA i CARE トリートメント Yです。

FIOLE F PROTECT BASIC マスク

シャンプーと同様に、こちらもコストパフォーマンスの良さが際立っているのが特徴です(写真の向かって右側がFプロテクトマスクです)。この低価格で、この質をもつ製品はなかなかないと思います。

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4.2. トリートメントは毛先を中心に根元以外につける

トリートメントをつけている

トリートメントは毛先を中心に、根元以外、髪全体につけましょう。

毛先を中心につけるのは、カットした髪の断面にはキューティクルがないため、成分が抜け出しやすい状態にあるからです。そのため、特にカットしたばかりの頃は毛先につけるのがマストだと言えます。

また、トリートメントの目的は頭皮の状態改善ではありません。髪に必要な栄養分を直接与えることです。そのため、頭皮につかないように髪の根元から3cmぐらい離してつけると良いでしょう。トリートメントには髪にとっては良くても、頭皮には良くない成分が入っていることが多いからです。

また頭皮の毛穴が詰まってしまうと、新陳代謝を悪くしたり、かゆみや炎症につながります。特に、最近のヘアケア剤はトリートメント誠意分が多く、余分な脂で頭皮を圧迫してしまいます。

4.3. クシで梳かしながらつけるのがおすすめ

トリートメントを櫛で

トリートメントをクシで梳かしながらつけてあげることをおすすめします。

トリートメントは毛先を重点的につけるのですが、それは、毛先からの成分の流出を防ぐためです。しかし、ダメージを負っている髪は、毛先以外もキューティクルが開いています。そのため、毛先だけではなく髪の毛全体に伸ばすようにつけることをオススメします。

ただし、トリートメント剤は、髪には良くても頭皮にとっては良いものではありません。

そこで、クシを使うことによって、トリートメント成分を根元につかずに、髪の毛全体に伸ばすことができます。また、洗い流すときも、髪の毛が絡まりにくくなりますし傷みにくくなります。さらに少量でも均一に髪に馴染んでくれてコストパフォーマンスも良くなります。

4.4. たっぷりのお湯でしっかりとすすぐ

たっぷりのお湯でしっかりとすすぐ

最後にたっぷりのお湯でしっかりとすすぎましょう。

トリートメントの成分は残りやすく、頭皮にもつきやすいものが多いです。

そのため、シャンプーと同様に、たっぷりのお湯で丁寧にすすぎましょう。お湯の温度も通常は44度ぐらいで、女性でカラーリングをしている場合は、色落ちを防ぐために38度程度で良いです。

5. 髪にやさしい拭き方と乾かし方

良く質問されるのですが、髪は濡れたまま寝てはいけません。

少し専門的な話になりますが、毛髪が濡れている状態は、内部の水素結合が切れている状態です。水素結合が切れると毛髪は柔らかくなり、とてもダメージを受けやすくなっています。そのため、摩擦などで、バリア機能を果たしているキューティクルが剥がれてしまいます。

寝る前はタオルでしっかり拭いてドライヤーで乾かしましょう。

そのための方法をお伝えします。

5.1. 髪はこすらないように拭く

髪をこすらないように拭く

摩擦は髪にダメージを与える大きな要因の一つです。特に濡れている状態の髪は摩擦に非常に弱いです。

そのため、髪を拭くときは、最初に頭皮をぎゅーっと抑えるようにしながらポンポン叩き、頭皮の水分をしっかり取りましょう。そして、毛先に向かって、タオルで包み込むようにしながら、揉んで拭いていきます。

繰り返しになりますが、濡れている状態の髪は摩擦によるダメージにとても弱いです。ロープが何回もこすると千切れてしまうのと同じです。トリートメントのときに、クシで梳かしておくと吹きやすくなります。

5.2. ドライヤーは乾かし過ぎないように

ドライヤーは根元から乾かしていきいましょう。

根元を乾かすときは、下を向いて乾かすことがおすすめです。十分に乾いたら、頭を起こして、毛先などのまだ乾いていないところに風を当てます。こうすると、根元が立ち上がり、ふんわりと乾かすことができます。

先に根元から乾かす理由は、先に毛先からにすると、乾かし過ぎになるからです。最も乾かしにくい根元から始めて、毛先へという意識を持つと、乾かし過ぎを防ぐことができます。

おすすめのドライヤーも紹介しておきますね。

おすすめのヘアドライヤー

ヘアビューザー レプロナイザー

これはドライヤーでありながら美顔器にもなる製品です。確かに使えば使うほど髪が綺麗になることが実感できます。

それに、今まではドライヤーを顔に使うという概念はなかったのですが、実際にお顔のリフトアップもできますし、肌にもいいので手荒れが治ってきました。私のサロンの、スタッフとかは朝早く来て顔に当てている人までいます。

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NOBBY NB3000

NOBBY N3000

ノビーを知らない美容師はいないと思います。

その中でもNB3000は風量が強く早く乾くマイナスイオンドライヤーです。特に女性はロングの方が多いので、小さいドライヤーだと20分ぐらいかかってしまいます。イオンの効果か、髪の毛の手触りも良くなります。

パナソニックの製品でナノイーという同じ原理のものもありますが、風が弱く時間がかかってしまいます。ノビーは色々な製品を出していて、迷ってしまう方が多いですが、これが一番風が強いのでオススメです。

※「NB3000」の後継機種は「NB3100」です。仕様などの詳細は下記よりご覧ください。

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5.3. ダメージが気になるならアウトバストリートメントも

もしドライヤーをするときに、髪の状態で気になる部分があるならドライヤー前後にトリートメントを使いましょう。今の状態でよければつける必要はないと思います。基本的に、毛先が傷んでいる人はつけた方が良いでしょう

付け方は、シャンプーの後のトリートメントと同じで、毛先に重点的につけることを意識しながら、くしで梳かした方が均一につきます。

アウトバストリートメントは、特に気になる症状に合わせて選ぶと良いです。例えば、潤いが気になるなら潤い成分の多いものを、撥水性が気になるならオイルの多いものをという具合です。

これも私が使っているものを紹介しておきますね。

おすすめのアウトバストリートメント

NAPLA POLISH OIL(ドライヤー前)

ナプラポリッシュオイル

これは、つやを出したい時に使うオーガニックのトリートメントです。ドライヤーで乾かす前につけます。オーガニックは他にもたくさん良いものがありますが、その中で、これを使っているのは単純に見た目がオシャレだからです。私は、置いていてかわいいというのはとても大事だと思います。このデザインなら家のインテリアにもなりますね。

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NAPLA POLISH BARM(ドライヤー後)

これは、髪の毛につや感や柔軟性を持たせるためのオーガニックのバームです。そのままハンドクリームとしても全身につけるオイルとしても使えます。固形なのでスタイリング剤としても少し使える。これは乾かした後につけます。

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ミルボン ELUJUDA トリートメント(ドライヤー前)

これはオーガニックではないですが、性能はとても良いです。保湿力とつや感が強く、つけた後すぐに効果を実感することができます。私は、アレルギーなどがあってこだわらなければいけない場合以外は、髪の毛につけるものに関してはオーガニックでなくてもいいと思っています。そこまでこだわりがない場合は、こちらで良いと思います。これは乾かす前につけます。

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ミルボン ELUJUDA ミルク(ドライヤー後)

これは、ミルクの中でも性能でいえば一番だと思います。髪の毛の中にはケラチンという成分があるのですが、これにはそのケラチンが含まれています。そのため、使うと髪の毛の水分の保持力を実感できます。紫外線からも守ってくれます。これは乾かした後につけます。

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Q&A

ここからは、美容院でお客様から特によくいただくご質問と回答をまとめています。

① 頭皮にダメージを与える要因は?

頭皮にダメージを与える要因は大きく分けて四つあります。

カラーやパーマ、刺激性の強いシャンプーに含まれる薬剤
カラー剤、パーマ剤や、ドラッグストアなどでよく見られるシャンプーは多くの薬剤を含んでいます。それらの薬剤は、頭皮のバリア機能を保つ「皮脂膜」を必要以上に取り去ってしまい、肌の水分を失わせてしまいます。それにより、角質層が剥がれやすい状態になり、皮膚の新陳代謝が阻害されます。

摩擦
摩擦は、バリア機能を果たしているキューティクルが剥がしてしまいます。

皮脂の過剰分泌
薬剤や摩擦などでダメージをおった頭皮は、自らを守るために皮脂を過剰に分泌しようとします。皮脂が過剰に皮膚に付着していると、正常な角質層になれなくなってしまいます。

紫外線
紫外線は、皮膚に酸化ダメージを引き起こし、肌の弾力や潤いをなくしてしまいます。つまり、皮膚の老化を早めてしまいます。

② 髪にダメージを与える要因は?

それでは具体的に、どのような行動が、髪にダメージを与えるのでしょうか?それは4つあります。それぞれ解説しますね。

ヘアカラーやパーマ
残念ながらヘアカラー剤やパーマ剤は髪をいためる原因になります。しかし、それらをするなというわけではありません。私自身、カラーもパーマもしていますし、その人のなりたいスタイルを実現するためには大切な選択肢の一つだと思っています。だからこそ、ヘアカラーやパーマがどのように髪をいためるのかという正しい知識を身につけて、髪の健康を守るために正しいケアができるようになることが大事だと考えています。ヘアカラーやパーマ剤によるダメージを「ケミカルダメージ」といいます。これらの薬剤はアルカリ性なので、髪のpH値をアルカリ性にしてしまいます。

紫外線
紫外線を浴びると皮膚がやけどのような状態になるのと同じように、毛髪もやけどをしてしまいます。そして、キューティクルが傷つき、剥がれやすくなってしまいます。ただし、全く陽を浴びない方がいいのかというと、そうではなく、適度な日光浴は髪の健康にも良いと言われています。


ヘアアイロンの熱も、毛髪のタンパク質変性というものを起こします。キューティクルも髪の中のタンパク質も固まってしまいます。タンパク質変性は160度から起こり始めるので、ヘアアイロンは、それ以下の温度で設定するようにしましょう。

過度なシャンプー、ブラッシング、カット
これらは基本的に物理的なダメージです。シャンプーやブラッシングは適度であれば良いのですが、やり過ぎになるとキューティクルが剥がれてしまいます。またカットした毛髪の断面にはキューティクルがないため、成分が抜け出しやすい状態になります。後ほど詳しくお伝えしますが、トリートメントを毛先につけた方が良いのはこのためです。

③ 髪は乾かして寝た方がいいの?

髪が濡れている状態のときは、内部の成分を結びつけている水素結合が切れている状態です。詰まり、濡れている髪はやわらかくなっており、摩擦によってキューティクルが剥がれやすくなっています。寝る前は、必ずドライヤーで乾かしましょう。

④ 髪は毎日洗った方がいいの?

髪を洗うのは原則一日一回にしましょう。夜髪を洗って、朝も髪を洗う方もいると思いますが、その場合、朝はお湯だけで十分です。

欧米人とくらべて、日本人の頭皮は刺激に対して敏感で乾燥しやすい傾向があるようです。そして、その理由は日本人は髪を洗う頻度が高いからだと言われています。頭皮の表面の角質層は雑菌の侵入や水分の蒸発を防ぐ役割があります。そして日本人の角質層は、シャンプーのやり過ぎの影響から剥がれやすくなっています。欧米は日本より湿度が低く、日本人ほど頻繁にシャンプーをしていないようです。こうした違いから、日本人の頭皮は、デリケートで乾燥しやすくなっています。

髪を洗うのは原則一日一回として、その時は頭皮にやさしい低刺激性のシャンプーを使いましょう。

⑤ ブラッシングはいっぱいしても大丈夫?

ブラッシングのやりすぎは髪にとって負担になります。過剰ばブラッシングにより、キューティクルが剥がれ、毛髪内部の成分が流出しやすくなってしまいます。

⑥ リンスやコンディショナーとトリートメントの違いは?

リンスは髪の毛の表面に作用して、トリートメントは髪の毛の表面から内部に作用します。コンディショナーはリンスにトリートメントの効果を少しだけ持たせたようなイメージです。

トリートメントやヘアマスクには、カチオン界面活性剤や油剤が使われていて、それらが髪の毛の表面に付着して毛髪をなめらかにします。また、油分やアミノ酸、毛髪保護タンパクが毛髪内部に浸透するため、髪を健康な状態にします。

リンス毛髪表面のキューティクルを整え、すべりやなめらかさを与える。
コンディショナー毛髪表面を整え、内部に少々のコンディショニング成分を与える。
トリートメント毛髪内部にしっかりとコンディショニング成分を補給し、毛髪を健やかにする。
マスク傷んだ部位を高濃度のコンディショニング成分で週1~2回集中的に補修する。

⑦ シリコンは髪に悪い?

近年、ノンシリコンの製品が人気になっています。まず、ヘアケア製品に使われるのは「シリコーン」で「シリコン」ではありません。シリコーンは安全性の高い素材として、調理道具にも食品添加物などにも使われています。

そして化粧品用に開発されたシリコーンは、必要以上に髪の毛の内部に蓄積したり、毛穴に詰まったりすることは考えにくいです。上手に使えば、ハイダメージ毛にもツヤやハリを取り戻すことが可能です。

⑧ マイナスイオンって何?

近年、マイナスイオンのドライヤーなどがヘアケアの世界では流行しています。実際、私のサロンでも使っているのですが、実はマイナスイオンは科学の世界で認められている用語ではありません。

メーカーの説明としては、マイナスイオンドライヤーは、空気中の酸素や窒素を分解して、マイナス電荷を帯させることでマイナスの酸素イオン、窒素イオンを発生させます。それらのマイナスイオンが空気中の水粒子と結びつき、毛髪に付着して浸透することで、髪の毛になめらかさや潤いが与えられるようです。

真偽の程は分かりませんが、私自身は、効果を実感しているので積極的に使っています。

また美容師の世界では、毛髪がアルカリ性に偏りダメージを受けるとマイナスイオンが多くなり、酸性に傾くとプラスイオンが多くなると学習します。ドライヤーのマイナスイオンは、毛髪のpHが変わることにより生まれるマイナスイオンやプラスイオンとは別物のようです。

まとめ

いかがでしたか?

ヘアスタイルは、人それぞれの個性を表現するものだと思います。だからこそ、私たちは、お客様が最も輝くヘアスタイルを一緒に見つけて実現できるように、そして、今まで以上に自信や誇りができて、人生がもっと輝くように、日々高めていかなければいけないと考えています。

そして、理想のヘアスタイルを実現するためにも、頭皮ケアやヘアケアは重要です。頭皮や髪の状態が良くないと、スタイリングのバリエーションが少なくなってしまうからです。

ぜひ、一つ一つケアを実践して頂ければ嬉しく思います。

参考文献・参考資料

参考文献

  • 『ヘアケアマイスターブック』 日本ヘアケアマイスター協会

脚注

  • 『ヘアケアマイスターブック』P.75。
  • 『ヘアケアマイスターブック』P.42。

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